第26話:商品価値の証明
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前回までのあらすじ:息子の死と夫の暴虐に心を壊した美咲が、佐藤悠の複製したベッドが並ぶ「聖域」で自ら進んで肉体を捧げ、喪失感を支配の快楽で塗り潰すことで完全な隷属を受け入れる一方、妻を奪われた健太は佐藤への激しい憎悪を募らせ、奪還という名の略奪を誓う。
それでは、第26話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
惨劇から二日が経過し、廊下のすすり泣きすら絶え果てたアパートは、墓標のような静寂に包まれている。放置されたゴミの異臭と、赤黒く染まった広場の土だけが、日常の無惨な終焉を物語っていた。
昨日。大愛を失ったパニックが冷めやらぬ中、田中健太、横山達也、川瀬涼太の三人は、飢えに突き動かされるように再び森の入り口へと向かっていた。
そこで彼らが目にしたのは、引き裂かれた作業着の破片と、生々しく削り取られた人間の肉塊だった。かつての隣人、木村保の「残骸」である。
「うわっ……これ、木村さんじゃないっすか……?」
川瀬が顔を背け、横山もそのあまりの無残さに足を止めてたじろぐ。狼に喰い散らかされ、もはや原形を留めていない遺体からは、死の腐臭が漂っていた。
しかし、健太だけは違った。彼は眉ひとつ動かさず、血に汚れた衣服の塊に歩み寄ると、躊躇なくそのポケットをまさぐり始めた。
「健太さん、何やって……」
横山が呆然とする中、健太の指先が金属の感触を捉える。彼が引き抜いたのは、血糊の付いたアパートのキーホルダーだった。
「……よし。これで102号室は俺たちのものだ」
健太は指先で鍵を弄びながら、二人に向けて不敵な笑みを浮かべた。
「あいつの部屋には水も食料もたっぷりあるはずだ。ほら、お宝ゲットだぞ」
この瞬間、102号室は本来の主を失い、田中健太ら三人が一階を支配するための略奪拠点へと変貌を遂げた。
現在、102号室。死者の遺産に囲まれ、他人の生活臭が残る空間で、彼らは「勝者」としての歪な快楽に浸っていた。
「……ねえ、横山君。次は誰に、私を貸し出すの?」
床に膝をつき、虚ろな瞳をした小野香織が掠れた声で問う。彼女は、三年間養ってきた「ヒモ」の横山が、この異界で豹変し、自分を道具のように扱う姿に、絶望を通り越した諦めを抱いていた。
「健太さん、見回りに行く前に景気付けといきませんか。しっかり『おもてなし』させますから」
横山は下卑た笑みを浮かべ、抵抗すらしない香織の背中を、モノのように健太の方へと突き出した。
「いいっすね! じゃあ、まずは俺から……!」
川瀬が我慢しきれず身を乗り出した。だが、その肩を健太の太い腕が掴み、背後の床へと突き飛ばした。
「待て。まずは俺とやりたいだろ? 香織ちゃん」
健太は香織の顎を乱暴に掴み上げた。自分を拒絶した女への屈辱を、暴力的な征服欲へと変えて香織にぶつける。健太は彼女の腕を掴み、寝室へと引きずっていった。
扉が閉まると同時に、衣類を獣が獲物の皮を剥ぐように引き裂く。
「……木村の時はもっと必死だったよな。俺に従っていれば、水も飯も食えて幸せだろ?」
健太の手は止まらない。恐怖に支配された彼女の身体は、生理的な拒絶で石のように強張っていた。
「ちっ、シケたツラしやがって。全然、準備ができてねえじゃねえか」
健太は苛立ち、彼女を強引に反転させ、屈辱的な倒錯姿勢でねじ伏せた。
「ほら、お前の口でどうにかしろ。……こっちも無理やりこじ開けてやる」
奉仕を強要しながら、健太は自らの指で、乾ききった彼女の窄まりを強引に拡張していく。それは愛撫ではなく、ただの「作業」だった。
「……健太さん、そこまで準備できたなら、俺にも分け前をくださいよ」
扉を開けて入ってきた川瀬が、欲望を剥き出しにして迫る。健太は鼻で笑うと、香織の頭を掴んで川瀬の方へと向けさせた。
健太は四つん這いにさせた香織の背後から、容赦なくその剛直を突き立てた。
「あがぁっ……! いたい、痛い……っ!」
香織が叫ぶ隙を与えず、正面の川瀬が彼女の呼吸を奪うように口内を蹂躙する。
前後を塞がれ、蹂躙される惨状。それを見つめていた横山が、濁った熱を帯びた瞳で身を乗り出した。
「……健太さん、俺、もう我慢できないっす。後ろ、いいっすか?」
「ちっ、しょうがねぇなぁ」
健太は一度離れると、ベッドの上で仰向けに横たわった。
「おい、香織。俺の上に乗れ」
香織は無理やり跨がされ、健太の欲望をその身に飲み込まされた。そこへ、背後から達也が、彼女が死守しようとした最期の聖域に、自らの欲望の先を押し当てた。
「あ……待って、達也くん。そこは、そこだけは無理……お願い……っ!」
かつての恋人に向けた、最後の懇願。だが、達也は冷たく言い放つと、何の躊躇もなくその禁忌の場所へ強引に侵入した。
「うるせえよ。俺の言うことが聞けねえのか?」
「ひ、ぎっ……! あ、ああぁあああ!!」
二方向から同時に貫かれ、香織は逃げ場のない激痛に狂乱する。だがその叫びすら、川瀬が彼女の口内を深々と叩き込むことで、くぐもった悲鳴へと変えられた。
絶頂を迎えた男たちが入れ替わり、行為は凄惨さを増していく。
力なく横たわる香織を、川瀬が執拗に揺さぶり続ける。顔を横にした彼女の口には、健太が自らの処理をさせるために欲望をねじ込んでいた。達也は彼女の肌を獣のように貪りながら、次の順番を冷酷に待っている。
やがて達也が再び彼女を貫くが、香織はもう、喘ぐ声すら上げなかった。
心はとっくに壊れ、ただの人形のように、されるがまま。
「……おい、泣いてんのか? 泣くほど俺たちが効いてるのかよ!」
一筋の涙を見た健太が、歪んだ笑みを浮かべて腰をさらに激しく打ち据えた。
数時間後。三人の男による蹂躙を終え、床に転がる香織を放置して、彼らはリビングで肉を喰らっていた。
「……健太さん、使い潰せる駒をもう一人、引き入れられませんか?」
川瀬が提案する。
「裏切らない保証があるならな」
「いい奴がいるんすよ。友人の神田英雄って奴なんですけど、あいつ、まだ女を知らない『童貞』なんすよね。ここで香織ちゃんをあてがって『いい思い』をさせてやれば、恩義を感じて簡単に落ちるはずっすよ」
「ほう……。女の味を覚えさせて、共犯者に仕立て上げようってわけか」
健太はニヤリと口角を上げた。一度女を蹂躙する側に回れば、もうまともな道には戻れない。それは確実な『繋ぎ止める鎖』になる。
「いいだろう。そいつを連れてこい。香織ちゃん、頼んだぞ。しっかり教育してやってくれよ」
健太は脂ぎった手で、床の香織の髪を乱暴に掴み上げると、寝室へと放り込んだ。
窓の外では陽が沈み、不気味な夜が訪れようとしていた。一階の底辺で、若者の心までもが音を立てて腐り落ちようとしている。
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