第17話:狩猟成功と剥き出しの性交
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前回までのあらすじ:[智哉が果物ナイフを手に食料調達の狩りに挑むも無残に失敗し、家族を守る誓いと裏腹に綾香から拒絶の気配を感じる一方、悠は夫の無力を嘲笑いながら、食の恩義で屈服させた美咲に独占的な奉仕をさせて悦に入る。]
それでは、第17話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、また一つ、文明の理性を剥ぎ取るような沈黙が積み重なった。
この異常な監禁生活が始まってから、十三日目。昨日の無様な失敗から一晩が明け、住人たちは極限の飢えに突き動かされていた。窓の外に広がる原生林は、彼らの生命力を吸い上げるように深緑を濃くし、逃れられぬ支配の檻としてその密度を増している。
101号室の寝室で、金井智哉は割れるような頭痛に耐えながら、研ぎ澄ませた果物ナイフの刃を見つめていた。
「……智哉さん、まだ顔色が悪いわ。無理しないで」
綾香が心配そうに声をかけるが、智哉は力なく首を振った。水分こそ足りているものの、空腹が思考を蝕み、佐藤悠への敗北感が心を削っている。自力で食料を勝ち取らなければ、家族を守る「守護者」としての尊厳は、あの男に完全に踏みにじられてしまう。
(俺が、俺が捕まえなきゃいけないんだ。あいつに頭を下げて、綾香をあんな目に遭わせるのは……もう終わりにするんだ)
智哉は、頼りない果物ナイフの柄を、自らの指が白くなるほど強く握り締めた。
その日の午後、エントランスに再び男たちが集まった。103号室の田中健太、202号室の横山達也、そして204号室の大学生、川瀬涼太。誰もが空腹で瞳を血走らせ、昨日とは違う冷徹な殺気を帯びていた。
「……金井さん、そのナイフで本当にいけるんすか?」
健太が挑発的に笑う。智哉は応えず、ただ無言で樹海の入り口へと足を踏み入れた。
森の深部へ進むと、昨日と同じ獲物の群れがいた。中型犬ほどもある巨体の兎らしき生物が、無防備に二頭、群れから離れて草を食んでいる。
男たちの間に、獲物を目の当たりにした特有の興奮が満ちていく。アドレナリンが駆け巡るのはまだ先だ。今はただ、確実に仕留めるという一念だけが彼らを支配していた。
「いけっ!」
健太の合図で四人は一斉に飛び出した。健太が重いバールを振り下ろし、一頭を地面に叩き伏せる。もう一頭が智哉の側をすり抜けようとした瞬間、彼はなりふり構わず身を投げ出した。割れるような頭痛を無視し、全力で振り下ろした果物ナイフが獣の首筋に深く食い込む。
「……っ、うおおおお!」
熱い血が智哉の手首を濡らし、命が消える生々しい感触が脳髄を打った。その瞬間、爆発的なアドレナリンが血管を駆け巡り、恐怖は「捕食者」としての歓喜へと塗り替えられた。
「やった……やったぞ、二匹もだ!」
健太が野卑な勝ちどきを上げる。智哉は血にまみれたナイフを握り締め、荒い息をつきながら、自分の中に芽生えた狂信的な喜びを、自らの「力」の証明だと確信していた。
アパートに戻った男たちを待っていたのは、極限状態の住人たちが爆発させた、動物的な狂喜だった。血の匂いと肉の感触が、彼らの生殖本能を激しく揺さぶる。
103号室では、健太が田中美咲に、血にまみれた獣の肉を押し付け、自らの欲望をぶつけようとした。
「美咲! 見ろ! 俺が、俺が仕留めたんだ! これで、腹いっぱい食えるぞ!」
健太は興奮し、怒張した下半身を露出させると、美咲を乱暴に抱き寄せた。だが、美咲は冷ややかな瞳で健太を見つめ、その身体を拒絶した。
「……触らないで。血の匂いがするわ。汚らわしい」
美咲の声には、かつてのやつれ気味な雰囲気はなく、健太への冷徹な嫌悪が宿っていた。彼女は健太を突き飛ばし、自らの欲望を彼にぶつけることを拒んだ。健太は舌打ちをし、美咲を睨みつけたが、彼女の冷たい瞳に気圧された。
それでも獲物を仕留めた健太のギラギラとした興奮は治まることはなかった。美咲はこのままだと健太が他の住人、特に五十嵐咲希や辻姉妹を襲いかねないと判断した。彼女は手淫だけを許した。美咲は無表情なまま、健太の欲望を、その手でした。健太は熱い白濁液を放出させつつも、不完全燃焼だと不満を漏らした。
202号室では、小野香織が興奮により横山達也の下半身が硬くなっているのに気付き、ベッドに誘った。達也も普段の自分とは違う、死線を越えたことによる「猛々しさ」に驚きつつ、香織を強く抱く。疲れている達也を気遣い、香織は彼を仰向けに寝かせると、自ら跨って腰を振った。香織の激しい動きに翻弄され、横山はあまりの刺激に耐えきれず、彼女の奉仕に満足することなくすぐに果ててしまった。香織は舌打ちをし、無様に横たわる横山を見下ろして嘲笑った。
204号室では、居間に辻姉妹や神田がいるため、川瀬涼太は石堂陽菜を水の出ないお風呂場へと連れ込んだ。初めて命を奪った高揚感が、若さゆえの欲望を歪ませる。狭い浴室の壁に陽菜を押し付け、涼太は背後から彼女を乱暴に組み伏せた。陽菜は彼の荒々しさに翻弄されながらも、生の実感を得ようとしがみつき、自らの手で口を押さえて声を殺しながら、狭い浴室で立ったままの後背位で彼を受け入れた。閉ざされた空間には、若者たちの剥き出しの喘ぎが、どこか空虚に響き渡っていた。
そして101号室。智哉もまた、かつてないほど激しく綾香を求めていた。
「綾香……俺が、この手で、家族を救ったんだ……!」
智哉は血の匂いが残る体のまま、綾香をベッドへ押し込んだ。彼は家族のために戦った自分を承認してほしいという独善的な要求から、正面から彼女を激しく貫いた。
「……ええ、そうね。智哉さん。すごいわ」
綾香は夫を受け入れた。しかし、その瞳は開いているものの、覆い被さる智哉を見ずにどこか空虚を一点に見つめ、心はどこか遠い場所を彷徨っている。
(智哉さんは、あんなに必死に……。でも、私の体は……)
彼女の脳裏にあるのは、佐藤悠のあの冷徹な指先。鏡の前で自分の醜態を晒され、徹底的に支配された時の、逃れようのない快楽の残滓。智哉が必死に己の「愛」と「力」を刻もうと躍起になればなるほど、彼女の心は皮肉にも冷え切っていく。彼女はもはや、夫の温もりよりも、佐藤が与えた冷酷な支配の中にしか、真実を見出せなくなっていた。
201号室。
佐藤悠は、高級缶詰をおかずにアルファ米を二袋平らげた。満たされた胃の重みを感じながら、彼は「支配庫」を開き、空になった袋を丁寧に収納した。この箱庭における徹底したリソース管理こそが、彼の王としての権威を担保している。
佐藤は窓の外を眺めていた。壁を越えて聞こえてくる男たちの無様な咆哮と、女たちの偽りの嬌声。
佐藤は暗闇の中で静かに、喉の奥で笑った。
男たちがどれほど血を流し、獲物を仕留めたところで、彼らが拠り所にしている女たちの心は、すでに佐藤という毒に侵されている。男たちが「支配」を確信したこの瞬間こそが、彼らがすべてを失うための、甘美な序曲に過ぎなかった。
アパートを囲む樹海は、そんな人間たちの浅ましい営みを飲み込むように、音もなくその影を伸ばし続けていた
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