第13話:白昼の情事、汚れた妹の自負
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前回までのあらすじ:夫の命を繋ぐために妹への対抗心を燃やした綾香が、鏡の前で悠に身を捧げ「聖女」としての矜持を完全に喪失し隷属へと沈む一方、その変貌を察した舞香はさらなる堕落への決意を固める。
それでは、第13話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、十度目の夜を越えた、重く湿った朝の霧が停滞していた。窓のサッシには指でなぞれば跡が残るほど厚く埃が積もり、かつて平穏だった「日常」がもはや遠い記憶の彼方へ消え去ったことを物語っている。太陽が南中を過ぎ、廊下に熱気が籠もり始めても、人影はない。極限の渇きが生理的な限界を塗り替え、人々の関心は支配者たる佐藤が握る「一滴の潤い」へと、盲目的に集中しつつあった。
101号室の空気は、病的な沈黙に支配されている。
「……智哉さん、もう少しだけ頑張って。今、お水を……」
金井綾香は、昨日佐藤から持ち帰った水を、意識の混濁した智哉の唇に運んでいた。彼女の指先は、智哉の肌に触れるたび、微かに震える。昨夜、鏡の前で佐藤にすべてを暴かれ、深奥まで熱く満たされたあの感触が、今も体の芯にこびり付いて離れない。智哉を救うための行為だと言い聞かせながらも、その潤んだ瞳には、夫には決して与えられない「充足」を知ってしまった女の艶やかさが宿っていた。
その光景を、部屋の隅で冷ややかに見つめる視線があった。綾香の妹、鈴木舞香である。昨日、佐藤の部屋から戻った時の、あの毒気に当てられたような、それでいてどこか「女」として徹底的に暴かれ、満たされてしまった姉の姿。自分よりも先に、姉が佐藤の深い部分を受け入れたのだという直感が、舞香の胸を焦燥と独占欲で焼き焦がしていた。
「お姉ちゃん、そんなに少しずつ分けていたら、智哉さんが目を覚ます前にまたなくなっちゃうわよ」
舞香は立ち上がり、姉の横を通り過ぎる際に、わざとらしくその耳元で囁いた。
「お姉ちゃん一人にいい思いをさせるのは、妹として心苦しいわ。今日は私が、佐藤さんのところへ行ってくる」
「舞香、行っちゃダメ……。あそこは、貴女が思っているような場所じゃ……」
「お姉ちゃんに言われたくないわ。自分だけが『犠牲』のフリをして、あんなに幸せそうに蕩けた顔で戻ってきたくせに。……私の方が、お姉ちゃんよりずっと上手く佐藤さんを満足させられるって、証明してくるから」
舞香はサンダルを突っ掛け、部屋を飛び出した。彼女の胸を支配しているのは、これまでの人生でずっと自分より上だった「聖女」の姉を、佐藤という絶対的な力を使って引きずり下ろし、自分がその上に立ちたいという、歪んだ執着だった。
201号室のドアの前に立ち、舞香が意を決してノックをすると、すぐにドアが開いた。
「……入れ。昼間に来るとは、随分と渇いているようだな」
佐藤悠の声が、舞香の鼓動を跳ねさせた。佐藤は椅子に深く腰掛け、傲岸な態度で舞香を迎え入れた。
「お姉ちゃんに代わって、来ました。水……まだ、ありますよね?」
「水ならいくらでもある。だが、舞香が差し出すものは昨日の姉を超えられるか? あの女は、智哉のためと言いながら、俺の足元で跪き、悦びに身を震わせていたぞ」
「私は、佐藤さんに壊されたいんです。お姉ちゃんよりずっと、汚れる準備ができています。だから……」
舞香は佐藤に歩み寄り、その首筋に手を回し、しがみつくようにして貪欲な口付けを求めた。昨夜の姉がどのような奉仕をしたのかは知らない。だが、自分はそれ以上の執着を差し出す。
佐藤は獰猛な笑みを浮かべ、舞香を椅子に座らせると、おもむろに自身の昂ぶりを彼女の目前に晒した。そして、拒絶する隙も与えず、その猛りを彼女の喉奥深くへと強引に突き入れた。
「……っ!? げほっ、んぐぅ……っ!」
舞香の小さな頭を両手で掴み、逃げ場を奪うように固定すると、佐藤は激しく腰を振り、彼女の口内を蹂躙し始める。昨日、姉を屈服させた時とは違う、獲物を食い散らかすような乱暴な扱い。舞香の瞳は涙で潤み、鼻からは苦しげな吐息が漏れるが、佐藤は構わず最奥を突き続けた。
やがて、白濁した液にまみれた熱量を口から抜くと、舞香は激しく咽せながらも、その視線だけは佐藤から逸らさなかった。
白昼の光が、重なり合う二人の肢体を鮮明に照らし出す。窓の外では他の住人たちが渇きに喘いでいるというのに、この部屋の中だけは、濃厚な湿り気と生命の熱気が充満していた。
佐藤は舞香を床に跪かせると、自分もその前に屈み、互いの秘部を貪り合うように促した。背徳的な奉仕に耽る二人の姿を、午後の陽光が無慈悲に焼き付ける。
姉よりも激しく、姉よりも深く。舞香は自らの羞恥心を焼き捨てるように、佐藤の欲望に顔を埋めた。
「見て……私、お姉ちゃんよりも、ずっと……汚れてる……っ!」
舞香は佐藤を仰向けに寝かせると、自らその上に跨り、騎乗位の姿勢で腰を揺らし始めた。
佐藤の瞳を覗き込み、自分が彼に選ばれ、支配されているという確信を脳に刻み込んでいく。
佐藤の動きが激しさを増し、終焉への予兆が訪れる。彼は舞香の腰をガッシリと掴み、彼女の最奥へと、容赦のない衝撃を叩き込んだ。
「……あ、っ……あああああぁぁぁ……っ!!」
舞香は全身を硬直させ、叫び声を上げながら絶頂に達した。同時に、佐藤の熱い奔流が彼女の深奥へと直接、注ぎ込まれた。
事後、舞香は佐藤から受け取った二瓶の水を抱え、101号室へと戻った。
「……遅かったわね」
綾香が、入り口で妹を待っていた。その目は、舞香の首元に残る生々しい紅い痕と、その股立ちから漂う、自分も知っている「あの匂い」を逃さなかった。
「……ふふ、これ。佐藤さんからのプレゼント」
舞香は勝ち誇ったように水の瓶を差し出した。
「お姉ちゃん、明日……一緒に佐藤さんのところへ行きましょう。私、佐藤さんに言っておきましたから。『二人で行く』って」
綾香の顔が、恐怖と絶望で歪んだ。だが、その瞳の奥には、妹に居場所を奪われることへの、無意識の焦燥が混じっていた。
姉妹の絆。それは今、一人の支配者を共有するという名目のもと、逃れられない泥沼へと沈み込んでいく。
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