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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
最終章 それは語られることなき英雄譚
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待ち望んだ再戦の時

 永戸達バトルフレーム部隊が、他の英霊達と仲間達に支えられながら、奥へと突き進んでいく。


「英雄達を送り出せ!」

「彼女達を守るのです!」

「それが、ボク達の役目!」

「私達が望む、希望への道筋なのだから!」


 ジュリアス、八尾乃、渚、アステリス、そして幾多の英霊達に送られ、永戸達はバトルフレームで薙ぎ倒しながら先へと進む。


「これなら戦線を突破できそうだ!」

「あぁ! だけど、そう簡単には通してはくれないみたいだぞ!」


 永戸の言葉にケイがそう返すと、その先で待っていたのは屈強な勇者の死体達だった


「隊長! ここは俺たちが抑える! 隊長と神癒奈ちゃんとフィーネは先に行け!」

「クレス⁉︎ けど!」

「いいや、その案には我らも賛成でありまする! 隊長殿達は四課の英雄! ここで三人を通せば希望が生まれると言うもの!」

「行って! そして必ず、勝って帰ってきて! 私達は、ちゃんとみんなで待ってるから!」


 クレスにフローレア、メルトもそう言うと、前方に立って敵を押さえ始める。他の四課のメンバー達も交戦すると、丁度永戸と神癒奈、フィアネリスが通れるだけの道ができた。


「渚!」

「なにー⁉︎」

「この機体、好きに使っていいぞ! お前の大好きなロボットゲームだ、好きに遊べ!」

「ほんとー⁉︎ やったぁ♪」


 そうして永戸と神癒奈が機体から降りると、代わりに渚が一機に乗り込んでは動き始める。永戸の時と比べると、渚が乗ると軽快な動きを見せた。


「うひょー! これ、ボクの自家用車にしていい⁉︎」

「組織の所有物だからダメだ!」


 ちぇーっと声が聞こえる中で、渚は機体に取り付けられた銃火器を撃っては暴れ出す。そんな中で、永戸と神癒奈、フィアネリスの三人は、チームが作ってくれた、僅かに開いた道の中を駆け抜けて行ったのだった。


 ーーー


 三人が駆け抜けていくと、たどり着いたのは一つの聖堂だった。中に入ると、崩壊した世界ながら美しい聖堂の中が見える。そこに、フォーチュンと、彼の使いとなる殺人鬼、響也がいた。


「おやおや、ここまで来れたのは貴方達三人だけですか。それも、絶望の力の持ち主は本来の体ではない仮の体、舐められたものですネ」

「フォーチュン、決着をつけにきたぞ」

「ワタシが戦ってもいいですが、まずは目の前の彼から倒していただけないと」


 永戸はマフラーを巻いた顔で睨みながら、背中から剣を取る。一方でフォーチュン側は響也が前に出た。


「アンタら…いい血の臭いだァ…殺しをしてもイイか? ナァ」

「…私の世界を壊した、その精算をさせて頂きます!」

「アンタの世界? あぁ、あの殺しに塗れタ世界かァ! アレは楽しかっタナァ、俺が少し殺し方を教えれば皆ソレに染まって」

「人として狂っている…私はそんな貴方を許しはしません」


 それぞれが身構え、戦闘を開始する。永戸が零の力を使わず、魔力ブーストで響也に近づくと、大剣で彼を切る。響也はそれをナイフ一本で受け止めると、もう片手でロングソードを切り込んできた。


「っ!」


 見たことない斬撃に、永戸は驚きながら受け止める、

 そこに神癒奈が入り込み切ると、響也は下がった。

 その時、フォーチュンは言った。


「彼を相手にしろとは言いましたが、ワタシを置いておくのは愚策でしたネ、"永戸は10秒後に死ぬ"」


 死の宣告が施され、永戸は響也の攻撃を耐え凌ぐ中、十秒後に死が下される、だが、パリンと何かバリアのようなものが砕ける音と共に、その死は無効とされた。


「おや、全能神様の加護で生き延びましたか、ですが次はないでしょう、永戸は10秒後に…」

「させません!」


 フィアネリスが飛び込み、死の宣告が施される前に防ぐ。永戸はギリギリのところで助かり、フォーチュンはフィアネリスと向き合う。


「邪魔な真似を…たかだか全知の天使のくせして」

「私はマスターの守護天使、ならばマスターを全力で守るのが我が使命!」


 フィアネリスがグッと剣を押し込むと、フォーチュンは飛びのく。その一方でフィアネリスはフォーチュンに追撃を行う。

 永戸達は響也と向き合う。彼が剣とナイフを振り回すのを、2人は互いにカバーしながら戦う。


「見たことない剣術!」

「そりゃソウだァ、俺の剣は殺しの剣、生半可な奴じゃよけれナイぞォ」


 響也が流れるような剣で神癒奈に切り掛かる。神癒奈はひたすら弾いていき、永戸が横や背後から切り掛かるが、響也は互いに切らさないようにナイフと剣で受け止め、斬撃を続ける。


「こいつ! ただの殺人鬼にしては手強いぞ!」

「そりゃソウさァ、俺に刃物を握らせたラ、右に出るやつはイネェからナァ」


 天賦の才能というやつか、テンプレートにナイフを舌で舐めると、彼は再び切り掛かってきた。


「反撃に転じる暇がない!」

「なら、それは俺が作る!」


 響也の斬撃は続くが、神癒奈は焔月式抜刀術参式ではじきかえす中、永戸が神癒奈と同時に切り掛かった。


「バカが、何度やってモ同じコトサァ!」


 響也は永戸と神癒奈の剣を受け止める。だが、ドスッと腹部にナイフが突き刺さった。


「…ァ?」


 響也は初めて感じた痛みに呆ける。永戸は大剣を振り回すだけではなく、手持ちの白銀製のダガーも同時に突き刺していたのだ。彼に悟られないよう、大剣でダガーの刀身を隠しつつ。

 そのまま、永戸は攻撃を続けた。


「後ろがガラ空きだぞ!」


 永戸が剣で切り掛かるも、響也はナイフに突き刺されながらも、その剣をノールックで受け止めた。


「何⁉︎」

「その攻撃を受け止めた⁉︎ ダメージは与えられてるはず!」


 永戸と神癒奈は驚く。響也がダガーを抜くと。腹部から流れる血を舐め、喜んだ。


「コレが俺の血の味カァ、イイね、イイねイイねイイねェ、美味しくテたまらなイ、オレを殺せルんだろ? もっと楽しませテくれよォ!」

「くぅっ!」


 響也が喜びながら剣を振り回し、神癒奈に傷をつける。だが神癒奈はダメージを最小限に抑えながら、刀を振るう。すると僅かに、隙が生まれた。


「そこっ!」


 神癒奈が雷撃のように刀を神速で切り返す。それにより、響也が切られると、片腕が千切れた。


「痛イねェ! けど! この痛みもまたイイ味を出している!」


 後はもう怖くない相手だ、響也が無茶苦茶に剣を振り回すが、神癒奈はそれを弾くと、響也の懐に入り込んだ。


「これで終わりです! 焔月式抜刀術零式・改! 『月隠!』」


 その一撃で響也の体はズタズタに切り裂かれ、彼から大量の血が溢れ出した。


「死ぬのモまた、最高ダァ……」


 最後まで恍惚とした表情で、響也は死んだ。


「地獄に堕ちろ…」


二人で血を払うと今度はフォーチュンに永戸と神癒奈は狙いを定めた。


「コレは不味いですネ、ではここで一言」


 フィアネリスを振り払うと、フォーチュンは素早く言った。


「"神癒奈とフィアネリスは5秒後に動く力を失う"」

「なっ⁉︎」

「しまっ⁉︎」


 直後、神癒奈とフィアネリスは糸が切れた人形のように地面に倒れ伏した。


「動…けない!」

「マスター! お気をつけを…!」

「二人とも! クソッ!」

「コレで邪魔する者はいなくなった、後は絶望を始末し、力を取り込むだけですネ」


 そう言うと、フォーチュンは永戸が飛び込んでくる中、言った。


「"永戸は10秒後に死ぬ"」


 死の宣告が再び発動し、永戸の体は十秒後、ズタズタに切り裂かれる。


「ククク…コレでワタシの勝ち……何⁉︎」


 次の瞬間、永戸からパリンと仮の体が砕け散ると、本来の体が現れ、同時に永戸は本来のスタイル、二刀流を解放した。


「そうか! あの体は! ワタシの死の宣告を受け止める為の身代わり! 本体はまだ存在していたと言うわけですカ!」

「あぁ! よくもまぁ引っかかってくれたな!」


 永戸は清々しい表情で騙されてくれたなと喜ぶと、フォーチュンと一騎討ちをする。


「だが! ワタシが一言を発すればアナタは死ぬ!」

「そうなる前に叩き斬る! 絶望よ! 世界に仇なせ!」


 絶望の力を使い、狐の使い魔を出すと、永戸はフォーチュンに同時に攻撃を行った。


「クッ! えぇい! 邪魔をするな!」


 使い魔に噛みつかれ、その場に留められるフォーチュン、そこに、永戸が迫る。


「光を放て! イクセリオス!」


 光る斬撃で、フォーチュンの片腕が斬られる。使い魔もその腕を捕食すると、再びフォーチュンを追いかけた。


「絶望の力とて本物のソレとは威力が落ちている! 倒すのも、容易イ!」


 残った片腕で使い魔を切り裂くと、使い魔は痛みで苦しみ、消えた。


(絶望しなければやれることを知っているのか!)


 永戸がフォーチュンが絶望を打ち破るカラクリを知っていることに驚く。だが、その隙が仇となった。


「そして、コレで終わりです。"永戸は10秒後に死ぬ"」


 とうとう言われてしまった。もう永戸には、死の宣告を防ぐ手段はない。ケタケタと笑い、その場に浮くフォーチュン。永戸は死ぬ前に一矢報いろうと飛びかかる。


「アッハハハハハ! 終わりダ終わりダ!コレでアナタはおしまいです!」


 永戸が眼前に迫る中、そして、約束された10秒が経つ。次の瞬間、永戸は今度こそズタズタに切り裂かれた。


「永戸さんっ!」

「マスター!」


 永戸から血が溢れ出し、それを見た神癒奈とフィアネリスが悲鳴をあげる。


「おしまいダおしまい! アッハハハハハ!」


 勝ちを確信したフォーチュンは崩れ落ちる永戸に近づいては笑いながら絶望の力を抜き取ろうとする。その時だった。


「ハ?」


 ぽんっと、フォーチュンの肩が掴まれた。その時、フォーチュンはこう感じた、「嘘だ、ありえない」と。


「誰が、おしまいだって⁉︎」


 血だらけの永戸がそう言うと、フォーチュンに向けて、頭突きをする、その時、フォーチュンの仮面が砕け…中から醜い悪魔の顔がでてくるが、彼は叫んだ。


「バ、バカな⁉︎ 確かに、因果律を捻じ曲げて殺したはず!」

「あぁ! "死ぬほど"痛かったぞ!」


 永戸は片手にまだ握りしめていた聖剣でフォーチュンのもう片腕を切り飛ばした。フォーチュンは下がると必死に死の宣告を唱え始める。


「"永戸は死ぬ!" "永戸は死ぬ!" バカな、バカなバカなバカな! 何故死の宣告を受けて耐えている!」


 死の宣告を受け続けて、永戸は何度も体をズタズタにされる。因果律を捻じ曲げての攻撃だ、零で防ぎようがないはず。なのに彼は耐えていた。


「バカな! 彼は不老ではあっても不死ではないはず! いつの間に、不死の能力まで会得していたんだ!」


 フォーチュンはバカなと連呼し続けるも、現に永戸に押され、両腕がない中斬られ続けていた、血が溢れ出る中で、フォーチュンはその血を通して彼を見ると、よく見ると彼から一本の線が神癒奈へと通じていくのが見えた。


「まさか⁉︎ 狐と繋がった彼が、狐が持っている神格に引っ張られて、彼女の持つ不老不死の力を賜ったと言うのか⁉︎」


 それを聞くと神癒奈はハッとなって永戸との魔力パスを確認する。すると、以前より彼との繋がりがより強く、強固につながっているのがわかった。

 それが分かると、神癒奈は叫ぶ。


「行けー! 永戸さん!」


 神癒奈に応援されると、永戸は、神癒奈との特訓で覚えていた奥の手をここで出す。


「全魔力解放!『アフターバーナー!』」


 その瞬間、永戸から溢れんばかりの焔が九尾の耳と尾の形に出ると聖剣に光だけでなく焔までもが宿る。そして彼は剣を構え、フォーチュンに向けると、高らかに叫んだ。


「焔月式抜刀術! 零式・改!『ムーンライト!』」


 三日月を描くように焔光の線が縦一線に走り、フォーチュンの体は、真っ二つに両断される。


「……ワタシが…負けるはずは……運命が…決めてな……い」


 そうしてフォーチュンは倒され、神癒奈達の力も、元に戻る。


「なぁ、二人とも、俺、やってみせたよ…」


 永戸が振り返るが、一瞬、神癒奈と同じ蒼い瞳を見せると、アフターバーナーが解け、反動で彼は神癒奈からもらっていた魔力が底をつき倒れた。


「永戸さん⁉︎」

「マスター! しっかり!」


 二人は永戸に近付き介抱するが、どうやら魔力切れなだけらしく、彼は信じられないほどに落ち着いた脈で眠っていた。

 二人はほっとすると、永戸を持ち上げ、その場から立ち去ろうとする最後の一瞬、振り返るが、聖堂には静寂しか残っておらず、フォーチュン達が今度こそ倒されたことを確認したのだった…。

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