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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第十四章 初めての異世界管理
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暗い闇からの目覚め

 次に目を覚ますと、二人は神域に横たわっていた。手をかざしてみれば、侵食のない、元の体に戻っている。


「マスター! 神癒奈さん! よかった…お二方の意識が、こちら側に戻ってきて」


 フィアネリスの安心する声と共に、ジュリアスや玉藻前、渚が寄ってくる。


「…戻って、来れたのか? 俺達は」

「はい! 絶望も中和され、貴方達は無事に帰還しました!」


 どうやら絶望の復活も阻止できたらしく、二人は体を起こすと、感覚を確かめる。神癒奈は元の九尾の体に戻っていて、二人とも、神としての神格や希望と絶望の力を使うことができた。それだけじゃない、以前よりもその力がより強くなったのを感じ取る。


「絶望となった君達二人が、それを乗り越えた事で、より強く力を使えるようになったんだ」

「…それはいいけど、みんな大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫、おにぃちゃんが元に戻ったら、ボク達の体も治ったよ」

「うむ、大事はない、二人とも、よくぞ帰ってきてくれた」


 それを聞いて二人はほっとすると、そう言えばと星儀を確認しようとする。すると、星儀はもう映される事がなくなっていた。


「世界の役目が終わったのでしょう、あの世界に再び飛ばされ、絶望から体を取り返した貴方達の脱出と共に、異世界エアレリアは消滅されました」

「そう…ですか」


 もうあの世界は帰って来ないのかと神癒奈は悲しむも、ジュリアスに諭される。


「世界はダメになったが、君達は無事だ、それだけでも、儲けたものとなるだろう、あの世界を滅ぼした真犯人の目論見通りにならなかったのだから」

「そう言えば、結局この事件の黒幕はなんなんですか?」


 神癒奈はふと気になったので聞いてみる。するとフィアネリスが苦しい表情で答えた。


「フォーチュンです。彼が世界を狂わす転生者を送り込み、神癒奈さんを絶望させ、それを止めるマスターをわざと絶望になるように呼び出させたのです」

「あの転生者は、結局誰だったのでしょうか?」


 最初に殺人を起こした転生者が一体誰なのか、神癒奈は考える。


「既に顔は割れてます、名前は野村響也(のむらきょうや)、元の世界の地球では殺人犯として名を知られており、死刑で死んでおります、本来であれば転生されることのない魂です」


 そう聞くと、神癒奈は悲しむ。自分の世界が、たった一人の暴走によって、狂わされた事に。だがフィアネリスは少し否定した。


「彼一人のせいではありません。フォーチュンは彼に、魔想体を持たせ、襲撃を行わせました。これにより、世界が狂ってしまったようなのです」


 成る程と神癒奈は納得する。魔想体まで持ってたとなると世界が狂うわけだと合点がいった。そして、これから先どうするのか、二人は考える。


「フォーチュンに関しては、数々の世界を捜査しましたが、彼の居所は依然として掴めずです」

「そうか…」

「これからも、このような形でフォーチュンが絡んでくる危険性があります、二人とも、十分に警戒をしてください」

「分かりました」


 そうして神癒奈は立ちあがろうとするが、体に力が入らない。永戸も同様に、まだ体が馴染んでない感じがした。


「無理はせずに、しばらくはお二方は検査入院を取る形になりますので」

「入院?」

「ああ、なんせ二人とも絶望に近い存在になったのですから、しばらくは絶対安静にとのことです。

「そうか…」


 玉藻前やフィアネリスに支えられると、永戸達はその場から去ろうとする。すると、ジュリアスからこう言われた


「二人とも」

「ん?」

「本当に…よく戻ってきてくれた」


 ジュリアスがそう言うと、永戸と神癒奈二人はほっとした表情で微笑んで見せた。そうして彼らは神域から消えていく。その場に残されたジュリアスは、そんな彼らの姿を見てこう呟いた。


「まだ、負けたわけではない、あの二人がいる限り、ここからでも、我々は巻き返せる」


 そう言うと、ジュリアスも自らの神殿へと戻って行ったのだった。


 ーーー


 ある場所にて、フォーチュンは響也と共にいたが、フォーチュンは、絶望が消えたことを感じとる。


「おや、絶望の力がおさまった? あの状況から、絶望を救って見せたと言うのですか?」


 フォーチュンは首を傾げると、響也は言う。


「ナンだぁ? 俺のしたコトは失敗したのかァ?」

「どうやらそのようですね、純粋なあの狐を絶望させ、彼を呼び込んで力を取り込ませ、絶望にさせようとしたのですが、どうやらしのぎ切られたようですネ、しかしいったいどうやって」


 フォーチュンは考える。だが彼には分からないだろう、さまざまな力と想いが、彼らを繋ぎ止めた事に。


「まぁいいでしょう、それならば次の策を練るまでです、世界を滅ぼす策を」


 くくくとフォーチュンは笑う。そうして彼らは、永戸達の知らないところで、また別の策を企てるのだった…。

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