わずかな見返りと不穏な影
魔想体の回収は完了したが、同時に勇者が完全に死に絶えたと言う情報が国中にすぐに広がった。
「なんてこった! これから俺たちは! 誰を誇りにして生きていけばいいんだ!」
「勇者がいなければ、この国の平和はない! だれがこの国を守っていくと言うんだ!」
案の定国は大混乱で、勇者がいなくなったことで住民達はショックを受けていた。そんな中、永戸達はトラックに乗って道を行く。
「なんだか…可哀想でありますな…死した英雄に縋らなければ生きていけないなどとは」
「フローが英雄の話で可哀想と言うとは珍しいな、どうして可哀想と思うんだ?」
「だって…彼らは自分の足で歩く力を知らないのでありましょう? 今までずっと、英雄に守られる夢を見ていた、私は、そんな彼らが可哀想に思いまする」
「そうか…」
永戸はトラックの中でレーションのゼリーチューブを飲みながら、そんなフローレアの話を聞く。
「けど、これでこの国は、ようやく前を向いて歩き出すチャンスを得た、後はそれをどうするかは彼ら次第」
「しばらくは…立ち直れそうにないですけど…」
南雲が外の喧騒を見てそう言うと、メルトはそれに一言言う。
「さて、この国での旅はおしまい、皆さん帰りましょう!」
「あぁ、帰ろう、都市に」
転移ゲートを開き、都市へワープする。そして見えてきたいつもの魔導都市の景色にホッとする。
「いつもの都市に帰ってきたな」
第二支部のガレージに戻ってきて、四課のメンバーはため息を吐きながら魔想体を回収班に渡す。そうしてオフィスに戻るうちにふと、神癒奈はこんなことを考えた。
「そういえば、回収した魔想体はどこへ向かうんでしょうか? その場に残されてると危険ですし」
「存在抹消機、それに放り込まれる、簡単にいえばパソコンのゴミ箱みたいなものさ。存在そのものを消されてじけんはかいけつ、そういうことになる
「ふぅん、便利な機械もあるものですね」
そういうわけでオフィスに戻ってきた永戸達はランジー課長に報告して椅子に座る。
「そういえば、お前らの活躍を証して本部から賞状が来てるぞ」
「ほんとうでありますか⁉︎」
そうしで全員が賞状をランジーから受け取るが、永戸はぼやく。
「賞状渡すなら俺たちを本部に戻して欲しいよ」
「そもそも、なんで第二支部なんて生まれたんでしょうか? 本部だけでも十分回ってるのに」
「確かに、言われてみれば、なんで第二支部存在するんだ? 一番街と三番街だから本部とそれほど距離は離れていないだろう」
うーんと考えるが、ここでランジーが口を挟む。
「余計なこと考えてないで仕事しな、ここはお前らの左遷場所、最初にそう伝えたろ」
「だとしても変ですよ、他の国や世界に支部を作るなら分かりますけど、なんで同じ都市に二つも支部を作ってるんですか」
「……お前らはなんでそう謎にいちいち首を突っ込むかねぇ、いいから仕事に戻りな」
そう言ってはランジー課長は出ていく、それを永戸達は見送るが、フィアネリスだけは、目を光らせていたのだった…。




