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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第五章 ざまぁ系の行き着く先は…
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虚しい物語の終わり

「魔想体によって一人のシーカーの冒険者は狂わされ、ざまぁ系になるはずが終わらぬ復讐譚になる所でした、おしまい」


 本を読み終えてフィアネリスはパタリと今回の冒険の本を閉じる。四課のオフィスで聞いていた皆ははえーっとなるが、神癒奈はふと思った疑問を言った。


「なんとかなりはしましたけど、イサキさん達はあれからどうなったんですか?」


「ドラゴンキラーは解散、イサキは後年の冒険者の育成に携わるようになり、メイはその補佐をしたとか」

「今回の魔想体の暴走は、ざまぁ系の物語を改変してざまぁを続けさせることだったんですね」

「まぁそう言うことになりますね」

「なんだか…虚しいですね、仲間だったはずのものが魔想体の作り出した影で、歪な物語をより歪にさせたのですから」


 神癒奈はお茶を飲みながら思う。ざまぁ系の物語はざまぁをやりとげた後その後のストーリーがないと。フィアネリスが言うには蛇足の普通の異世界ものになるらしいが、今回はそれを永遠に続けさせようとしたのだ、イサキをあらゆる手段で痛めつけることによって。


「そういえば、永戸さん、絶望の力を最近使うようになりましたよね、この前の月の都の時もそうでしたし、使い方がわかったんですか?」

「いや? 全然? アズウルがやってたことを真似しただけだ、自身の使い魔となる魔物の召喚や絶望による攻撃の無効、後は足止めか、これくらいしか直接戦闘で役に立つものはない」

「デメリットも大きいですよね、絶望に侵食されるだなんて、私の希望で浄化しないと体が飲み込まれてしまうとは」

「長時間の使用は危険だな、注意するよ」


 永戸はそう言うと回収した魔想体のデータを見る。

 これまで回収した魔想体はサイズは大小バラバラだが、恐らくは流通ルートは全て同じだろう。今回ヒルトに手渡された魔想体も、例の白い仮面の男が関係していると思われる。だが肝心の相手の姿もいる場所もわからない。


「そもそも、魔想体って何故生まれるんですか?」

「仮説だけどこんなことが囁かれてたな、世界の狭間にてそれは世界の不和によって生まれると。そうして生まれた不和のそれは、世界へと渡り、やがては世界を死に至らしめる、いつ、どの狭間で発生するかもわからないから世界に渡る前に回収も何もすることができない、だけど、そいつは何故かそれを入手するルートを持っている、どう言うことだろうな」


 永戸はうーんと考えるが、考えてもわからず、どうしようもねぇやと頭を抱える。


「まぁ、今は回収だけを目的として動くしかない、それしかないか」

「それはそうですけど…」

「まぁまぁ、悩んでても仕方ありません、きっと相手はいずれ尻尾を出しますよ、そのときに引っ張り上げればいいのです」


 フィアネリスが装備の新造を本部に要請しているところでふぅっと神癒奈は悩む。


「こんな戦いに、またこれからも巻き込まれるんでしょうね」

「魔想体を流す元凶に会うまではな」


 そうしてああ厭だ厭だとなりつつ彼らは仕事をしていく。きょうものんびりと。


 ーーー


 一方、ある場所にて、ソレは彼らの戦う光景を見る。


「絶望が遂に力を使い出したか! あっははは! 体を酷使して、魔想体が使われるのを阻止したか! 滑稽だネ」


 ソレは楽しそうに手を叩くと、ふむ…と今度は何をしようと考える。


「絶望があんな性格なら、無茶をすれば染まり切るだろう、だったら、絶望に無茶をさせまくって、あの体から存分に引き出してしまえばイイ」


 永戸の姿を見ると、ソレは笑う。


「踊れ踊れ…私の手のひらの上で、破滅まで…」


 そうしてソレは次の手を考えて動き始めた。



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