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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第五章 ざまぁ系の行き着く先は…
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物語の異変の始まり

「アイリスです、よろしくお願いします!」

「もう二人目の仲間ができたのか」

「はい、これも永戸さんに支えられたおかげです」


 ヒルトはココとアイリスを連れて席に座ってはジュースを飲む、永戸達は相変わらず笑って過ごすが、警戒は解かずに見守っていた。


「なぁ、ドラゴンキラーの話は聞いたけど、いいのか? あいつら、仲間だったんだろ?」

「もういいんです、彼らは僕を利用してただけに過ぎません、だから僕は彼らを突き出しました」

「けど、Bランクに降格で済んだのはいいことなのか悪いことなのか…」


 永戸はドラゴンキラーのメンバーを心配するも、ヒルトは暗い表情を見せた。どうも様子が変だと思った永戸は別の話題に変える。


「そう言えば、Cランクに昇格したんだってな、おめでとう」

「ありがとう、これからも頑張ります」


 こうしてコップを交わすが、話をしていたらドラゴンキラーの人がやってきた。


「くそっくそっ! ヒルトのせいでランクはBランクになっちまった!」

「あたしたちは何も悪いことしてないのに! 悪いことしたのは向こうなのに!酷くない⁉︎」

「見てください! あそこにヒルトさんがいますよ!」


 リメリルが指差した先では、永戸と飲むヒルトがいた。


「ヒルト! それに、そこにいるのはこの前のDランク! テメェらグルだったんだな! この前はよくも!」


 そうしてイサキがヒルトを掴もうとすると、ヒルトはドスの効いた声で言った。


「黙れよ、弱者は座ってろ」

「っっっ⁉︎」


 ヒルトに命令され、イサキは震え上がると座り込む。それを見た永戸はヒルトの異常性に違和感が湧いた。


「な…何で俺たち、座ってるんだ⁉︎」

「ヒルト! 今何をしたのよ!」

「今の力、ただの力ではありません! 邪な物が混ざっていました!」

「うるさい、黙って跪け」


 跪けと言ったら本当にイサキ達は跪いた、しかも生命的本能で危機感を抱いたのか、震えてまでもいた。


「ヒルトにもうこれ以上悪いことしないでよね!」

「そうです、ヒルトさんにこれ以上余計な事を言わせないでもらえますか?」

「なん…だ…なんで…俺…⁉︎」


 ココとアイリスにも言われ、イサキはあり得ない表情でヒルトを見る。その時、彼は全身から冷や汗がブワッと出るほどの何かを感じ取った。


「お前は……何なんだ!」

「僕はヒルトに決まってるだろう、お前の元仲間の」


 すると、ヒルトは跪いたイサキの頭を踏みつけた。それを見て永戸は言う。


「なぁおい、もうその辺にしとこう、あんまり良くないぞ?」

「そうだね、蛆虫にくれてやる時間はない、永戸、後で飲み直そう」

「あ、あぁ…」


 永戸は外へ出て行くヒルト達を見て、ふぅっと落ち着くが、跪くイサキ達を何とか立たせられないかとする。


「なぁ、立てるか?」

「立てねぇ…足が震えて……一体さっきのは…何だったんだ…」

「教えてくれ、お前は彼に何を見た」

「暗い、とても暗い、ドス黒い何かだ! お前は、あいつの何かを知ってるのか⁉︎」

「いや…俺も、知らない、すまない」


 立ち上がれないイサキ達だが、このままでは可哀想だと思い、神癒奈は口に指を当てると言霊を言う


『もう大丈夫ですよ』


 その言葉を聞いた途端、イサキ達はぜーぜーと息を吐きながら楽な体勢になる。空想の能力や精神操作は何もフローレアやメルトの能力だけじゃない、物質の出現はできないが、多少の人心操作などは神癒奈にだってできる。ただし。神の力の行使になるため、普段は使わないが。


「お前らは…一体…」

「さてな、だけど、もう分かっただろう、ヒルトとは関わらない方がいい、これからは心を入れ替えて、Bランクからやり直せ」

「あぁ! あぁ! そうする!」


 そう言うとドラゴンキラーは去っていった。これで壊滅は避けてくれればいいがと永戸はそれを見送ると、遠くで見守っていたフィアネリスにどういうことか聞いてみる。


「なぁ、どう思う?」

【妙ですね、完全にカーストが逆転しています。ヒルト自身の精神にも何か変調がきたしています、はっきり言って変です】

「何かが干渉している可能性は?」

【無きにしも非ずですが、ここ数日彼の行動を監視して変だった行動は一度もございません】


 じゃあ一体何なんだと永戸達は思う。しかし、考えても浮かぶものはなかった


「仕方ない、また明日動向を探るか」

「それがいいと思われます」


 永戸は神癒奈を連れてヒルトの所と向かう。その夜は静かで、暗闇に覆われていて、不気味な夜であった。


 ーーー


 そして翌日、思わぬ事件が起きることになる


「大変だ! ドラゴンキラーの魔法使いの女が!」

「っ!」


 先にギルドに来ていた永戸達はその喧騒にいち早く食いつく。ギルドの医療室に運ばれてきたのをみると、ドラゴンキラーの魔法使いの少女、メイが胸元を切り裂かれていた姿で運ばれてきた。


「息はあるのか?」

「あります! ですが、傷が酷くて…!」

「代われ! アンプルを打つ」


 メイに向けてイストリア謹製の回復用アンプルを打つ。するとメイの体は即座に治り、話せるくらいには回復した。


「何があった、話してみろ」

「昨日の夜、宿屋に帰ろうかって思った時、あたし、魔導書を買わなきゃと思って二人と別れて後で帰ることにしたの、そしたら、暗闇の中から、黒い影が……あたしを、襲って…あぁああああっ!」


 正気を失ってるのか頭を抱えて震える。やはり昨日から様子が変だ。他の二人が心配になり、永戸は神癒奈に言う。


「神癒奈! ドラゴンキラーの残る二人を確認してくるんだ! 生存してるかどうか!」

「はい!」


 そうして神癒奈はギルドを飛び出し、フィアネリスのナビを受けながらドラゴンキラーの泊まる宿に向かう。今、神癒奈の中でも不安からくる警笛が鳴り響いていた。

 そして宿に着くと、泊まっている部屋を確認し部屋へと向かう。そして扉を開けると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。


「り…リメリル……なんで……!」

「イサキさん! 無事ですか…………そんな」


 神癒奈の目の前には、イサキが立っていたが、その隣には、イサキの持つ剣で胸元を貫かれ、死んでいたリメリルがいた。


「これは、一体……」

「違う! 俺はこんな事をしてない! 俺は無実だ! リメリルを殺してなんかない!」


 イサキは必死に弁明をする。すると、フィアネリスからこんな情報が流れてきた。


【イサキは無実です、彼は昨晩、しっかり寝ておられました。ですが、原因不明の存在が部屋に干渉、イサキの剣を持つと、リメリルを貫いたようです】

「原因不明⁉︎ フィアネリスさんでもわからないのですか⁉︎」

【残念ながら…私にもわかりません、ヒルトの豹変も、メイの通り魔事件も、何もかもがベールで包まれてます】


 それを聞くと、神癒奈はひとまずイサキを連れては安全な場所へと連れ出そうとする。


「待ってくれ! リメリルが!」

「もう彼女は死んでます! それよりも、あなたの命の方があぶないです!」


 神癒奈はイサキの手を引っ張り、誰も狙えそうにない人々の往来のあるところまで連れてくる。すると、間が悪いのか、あのパーティーと出会ってしまった。


「あっ…」

「神癒奈さん、何でその男を連れているんですか?」


 そこに立っていたのはヒルト達だった。彼は震えながら逃げるイサキを見ると言う。


「そいつは僕を追い出したクズですよ? 何故その男を連れてどこかへ行こうとしてるのですか?」

「それは…この人が狙われているからで……それに、この人の他の仲間は重傷を負ったり、死んだりしてしまって」

「そんなことはどうだっていい! そいつはクズで! 僕の事を何も考えてくれない悪なんだ!」


 ヒルトがそう叫ぶと、ドス黒い殺気が剣気となって飛んで来る。神癒奈は刀を構えて守ろうとするが、ここであることに気づく。


(この攻撃、防ぎきれない! 防ごうとしたらこの人を傷つけてしまう!)


 これほどの剣気だ、下手に防ごうとすれば攻撃が届き、本気で防げば防げると思うが逆にイサキまで傷つけてしまう。どうしたものかと思った時、彼女の名前を叫んだ。


「フィアネリスさん!」

「Yes! Majesty!」


 呼ばれたフィアネリスが転移で現れ、防御に入り、ビットとフォースシールドでガードする。ヒルトは初めて見る顔に不思議に思うが、ここで何かに気づく。


「ああそうか、誰かに見られてる感覚があったけど、それは貴方でしたか。で、その男を守ったってことは、敵でいいんですよね?」

「来ます! 構えてください!」

「はい!」


 イサキを守るべく、神癒奈とフィアネリスは構える。今度はヒルト達を敵として。

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