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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
エピローグ

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グランドフィナーレ

『二人とも! 結婚おめでとう〜!』


 袴と白無垢を着た永戸と神癒奈の二人に、四課やその他の課の知り合い達、ナハトヴォルフのメンバーに月の国の者たちまで来た。様々な種族と仲間たちが入り乱れる中で、永戸達は並んで歩く、

 和風の形式ではあるが、実際は洋式のアレンジになっており、二人は焔月の神社の前で、フィアネリスが神父代わりとなって誓いの儀を行う。


「マスター、神癒奈さん、ご結婚おめでとうございます♪ 確認する必要もないですが一応聞いておきます。貴方たちはこれから、病む時も苦しい時も、共に分かちあい、共に戦って生きていく事を誓いますか?」


 それを聞いた二人は、笑顔で答えた。


『誓います』

『わぁあああああーーーーー!』


 その言葉で、会場内は大盛り上がり、二人がようやくくっついてくれた事に喜ぶ者が大勢と、兄と孫が結婚する事に泣きたくなる二人がいた。


「ひぐっ、おにぃぢゃんのバカァ! ボクと結婚じでほじがっだのにぃいいいいいっ!」

「ひっくっ……神癒奈が、妾から遠く離れていってしまう……これが、娘を見送る事なんじゃな……えぐっ!」


 渚と玉藻前の二人はそれでも泣きながら永戸たちの結婚を喜んでいた。まぁ、相手を奪われたり孫が遠くにいってしまったりと色々複雑な気持ちはあったが、だが、二人は泣きながら永戸たちを見送った。


「二人の結婚に、従者たる私は幸せに思います。さぁ、誓いの指輪を」


 そうして永戸は指輪を取り出そうとするも…………あれ?


「指輪がない」


 衝撃的な出来事に会場は騒然とする。あの朴念仁の事だ、どこかに落としてしまったのだろう、そう会場の人が頭を抱えていた時だった。


「なんちゃって、どうせマスターに持たせるとトラブルに巻き込まれると思ってましたから、私自らが隠し持ってました♪」

『ふっざけんなよクソ天使!!!』


 にぱーっと笑うフィアネリスに会場の一同が総ツッコミをする。だが、仕方のない奴めと思いながら、永戸はフィアネリスから指輪を受け取り、以前買ったのとは違う新しい指輪、二匹の狐が重なる指輪をはめると、彼は言ったのだった。


「殺すことしかできないこんな俺だけど、本当についてくる気なんだな」


 それを聞いた神癒奈は、何を今さらと晴々とした笑顔で、こう答えた。


「えぇ、貴方との旅はいつだって辛かったけど、けど、退屈しない旅でしたから!」


 そうして二人は結婚し、共に幸せな生活を誓いあったのだった。


 ーーー


 そうした結婚式の舞台の裏で、ある魂が、漂着してくる。


「やぁ、君は……どうやらここにくるのが初めてのようだね? ここはそうだね、異世界物語で言う転生の場とでも言おうか」


 ー転……生?ー


 迷える魂は、その言葉に一つの希望を見出した。"自分には、まだ次があるのか?"と。


「そうだね、テンプレ的に言えば、"貴方は異世界に転生する転生者として選ばれました"と言うべきか。君は生前死力を尽くして世界の為に戦ってきた。違う次元の存在ながら、私は自分の娘から託されてね、君の功労を評し、転生させることが決まったんだ」


 ーあの、何を、言って?ー


 思わず次々に浮かぶ疑問を声に出そうとする。だが声が出ない、まるで一方的にやる事を突きつけられてるように思えた。


「要するに、君はまだ死んでも死にきれないので絶対に生きろ、と無理矢理生き延びらされた訳だ。君の次の魂の行き先は、そうだね、"ある英雄と九尾の狐の神の二人の娘"だ」


 ーそれって!ー


「あぁ言っとくけどクーリングオフは無しだよ、君が望んだ事らしいからね、それでは、楽しい異世界の冒険の旅へ、行ってらっしゃい!」


 ーわぁっ!ー


 そうして一つの魂は、転生の光の中へと飛び込んでいく。




 ずっと夢を見ていた

 終わらない悪夢を

 記憶の底にこびりついた地獄は、今でも覚えている

 けど、いつからだろう、そんな終わらない悪夢も、気がつくと、楽しくてくだらない旅を描いた夢に変わっていた

 その夢は儚く、瞬くようなわずかな時間しか見られなかったけど、けど

 私の中で、絶望を希望に塗り替えるほどの、眩い光を放っていた

 星の海を渡って、私は、始まりへと還る

 今度は確定された悪夢じゃない、予測不能な未知の未来へ

 暗い星の海を渡れば、いつか夢見た希望の景色が見えてきた

 さぁ、今度こそ始めよう、今度はもっと楽しくて、もっとくだらなくて、終わりのない物語を紡ごう


 ーーー


「隊長、じっとしてないと病院の人に怒られますって」

「けど心配なんだよ」

「心配なさらずとも、神癒奈さんと"あの子"は必ず産まれますって、私が太鼓判を押しますから」


 一年後、病院の待合室にて、永戸とフィアネリス、そしてアンフェリアは待つ。なぜ待っているか……と言われると、もう分かりきっていることだろう。


「名前は決まってるんでしょ? まさか変えるとか言い出さないよね?」

「バカ言え、"あいつ"が来るって分かってるんだ、名前を変えるものか」


 じっとしていられずドキドキしながら待つ永戸に、アンフェリアがこんな時でも隊長はバカなんだからとため息をつく。

 一方でフィアネリスも待っていて楽しみなのか、ニコニコしていた。

 そうしていると、手術中の光が消え、手術室から神癒奈が医者と共に出てくる。


「神癒奈! やったのか!」

「えぇ……永戸さん……すっごく痛かったですけど、けど私も、"あの子"も、頑張りましたよ」

「じゃあ、この子が!」

「えぇ、貴方が望んでいた彼女ですよ」


 神癒奈からそう聞き、医者から永戸は生まれた赤子を受け取り、一同はじっと見つめる。その子は、神癒奈にとてもよく似た金色の耳と尻尾を生やし、蒼い瞳を持っていた。そして、必死に声をあげ、息をしながら泣き喚く。それを見た永戸たちはゆっくり微笑むと、言った。


『はじめまして、火乃香』


 その声を聞いた時、赤子は懐かしい安らぐ声に喜びを感じたのだった。


 ーうん、はじめまして、お父さん、お母さんー

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