反撃の嚆矢
「嘘……ここに来て、スーパーロボットバトルを見せつけられるのですか?」
「どうやら……そうみたいだ」
敵にはまだロボットがいることは気づかれてないようだった。だがロボットは一歩も動こうとしない。まさか誰も乗ってないんじゃなかろうか? そう思った時、フェレッタからこう言われた。
【あーすまない、パイロットに関しては用意できなかった。いかんせん操作が独特かつ、二人乗りを前提としたロボットだからね、バトルフレームとは基幹設計が大きく異なるのだよ。そもそもこのロボット、工事用の大型アームなどを改造して無理矢理ロボットにしたようなものだし】
さらっと聞きたくない情報を聞かされ、永戸達は嘆く。搭乗者もいないロボットで、一体どうやってあのデカブツを倒すのかと。すると、フェレッタはこんなことを口にした。
【なので、君達が乗り込んでくれ、永戸君、神癒奈君】
「はぁっ⁉︎ 俺たちバトルフレームならまだしも、こんな巨大ロボットの操縦なんて学んだことないぞ!」
【まぁまぁ落ち着きたまえ、そのロボットは心配せずとも素人でも簡単に操作ができる。ただ、適正のあるパイロットがいなかっただけでね】
「……なんだろう、二人乗りといい適正といい、どっかで聞いたことのあるようなロボットに思えて来たぞ」
永戸は目の前の光景とそのロボットの設計から、あるロボット映画を連想した。まさかとは思うがとフィアネリスを呼ぶ。
「フィーネ、火乃香を頼む」
「任されました、行ってらっしゃいませ」
【とにかくコックピットまで走ってくれ、ナウ!】
言われたら仕方ないと火乃香を飛んできたフィアネリスに託すと、永戸と神癒奈はロボットのコックピットに向けて全力疾走した。
「コックピットの位置はどこだ⁉︎」
【頭だ! 横にハッチがある!】
頭の部分までケーブルで上がり、ロボット搭乗用のハッチに入り込むと、中には二人の人間が立って動かすような装置があった。
「やっぱこの方式は有名なロボット映画のアレじゃねぇかぁあああ!」
怪獣と戦うロボットの映画を連想すると。フェレッタの話を聞く。
【パイロットスーツはいらない、頭に思考操作用のヘッドセットをつけてくれ】
驚いている暇もなく。ぶら下がっていたヘッドセットをつけると、二人は操縦桿を持って立つ。
【さぁ動きたまえ鋼の巨人! 超大型決戦兵器"タイタン"よ!】
システムを立ち上げると。OS名にタイタンと表示され、二人の脳が接続される。
【これから君たちの記憶を共有させるよ。何、君たちならば記憶を追いかけることはないだろう、では、脳の同調開始】
フェレッタの指示でコックピットに立つ二人の脳が同調し始めた。二人の記憶……大戦の時の記憶や、一族を滅ぼされた時の記憶が、一瞬で流れ込んでくる。だがそれに耐え切ると、二人の脳が同調され、同時に操作方法などが頭に直接入り込んできた。
【どうやら成功したみたいだね】
「ちょっと酔いそう」
【そりゃそうとも、脳を揺らす体験だもの。だがこれで条件は全てクリアされた、さぁ、一歩踏み出したまえ】
永戸達は言われるがまま足を一歩前にした。すると、巨大ロボット、タイタンが一歩歩き出す。
【いい調子だ、都市はなるべく壊さないでくれたまえよ、市民の流した汗によってビルが建ってるのだからね、これより武装を解放する。思う存分暴れてくれたまえ】
「行くぞ!」
「はい!」
一歩ずつ歩き、永戸達はタイタンを敵怪獣の前に立たせる。
『人間がそんなおもちゃを使って、この戦艦と相手だろうなどはなはだおかしいわ!』
怪獣が吠え、主砲のチャージを行う。
「どうすれば⁉︎」
「とりあえず殴れ!」
こういうロボット作品のお約束、巨大兵器とのプロレスが始まった。主砲をチャージする怪獣に対し、タイタンがアームで頭の部分を思いっきり殴った。
ゴウンッ! と強く叩かれる鉄の音と共に、怪獣の頭が明後日の方向に向き、主砲も外れる。
「もう一発!」
容赦はしないと反対の手で今度はアッパーをかました。再び鈍い音が鳴り、怪獣はのけぞった。が、怪獣も負けじと、変形させた腕でタイタンを殴る。
「あわ、あわわっ!」
「落ち着け! この程度で沈むほどコイツはヤワじゃないはずだ!」
タイタンの性能を信じ、永戸達は立て直すと機械を操作し、今度は腕に電磁パルスを纏わせると放電状態で怪獣を殴った。それは機械によく効いたのか。怪獣は痺れながら一歩下がる。
「まだまだ行くぞ! ロケットパンチ!」
怪獣の首元を掴むと、タイタンの肘からブースターが展開され、噴射すると同時にパンチが放たれた。強い衝撃で怪獣の表面がひしゃげ、装甲がバラバラと崩れ落ちる。
カウンターで怪獣が殴ってきて機体がのけぞる。
「こんのぉっ!」
電磁パルスによる打撃をもう一度行い、怪獣にダメージを与える。
だが倒すにはまだ至らない。
怪獣は副砲をタイタンに向けると、撃ってきた。
「うぅ!」
「損傷は⁉︎」
【あー……少しまずいね、あらゆる技術を統合して作った兵器なのだが、相手の砲台の攻撃までは防げないようだ】
「こっちも何か他に武器は無いのか!」
永戸は何か使える武器がないか探す。するとパルスカノンとレーザーブレードがあった。
「砲台を使えなくすりゃいいんだろ!」
背中のパルスキャノンを展開し、チャージしては怪獣の側面にある副砲の一つを撃ち抜く。怪獣は副砲の爆発でよろけるが、永戸達は容赦せず、追撃を入れた。
「レーザーブレードを使います!」
腕部が展開すると、大型のレーザーブレードが出される。それで怪獣の胴体を斬ると、装甲が溶け、怪獣に大打撃が入った。
『おのれぇえええええっ!』
Fの叫び声と共に怪獣が再び主砲と副砲をタイタンに向けた、副砲が先に放たれ、タイタンは避けようとするが、片腕がもげてしまう。が、レーザーブレードを展開したもう片腕は無事で、その片腕を怪獣の頭部に当てると、主砲ごと頭部をぶち抜いた。
『なっ……負ける⁉︎ 我々次元生命体……が……次元を渡る術も知らぬ人間風情に⁉︎』
「トドメ行くぞ!」
「はいっ!」
頭部を貫かれた怪獣の胴体を、レーザーブレードで貫くと、パルスキャノンを向け、チャージされた弾が全てなくなるまで連射した。結果、怪獣の胴体に大穴が開き、怪獣はそのまま倒れ、地面に崩れ落ちた。
「やりましたか……?」
「流石にもう動かないだろう」
その時、各方面から信号弾が放たれた。その信号弾の色は奪還完了を意味を示す色で、都市ミズガルズは、見事次元生命体Xの手から、落とされるのを防ぎきったのだった。




