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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第九章 巨大な影と、さらなる侵略者

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謎の侵略者"X"

 Xと呼ばれる侵略者達に、永戸らは息を呑んだ。

 狐の獣人の演説は続く。


【私は、お前達がヴィクスと呼んでいた議員の本当の姿です。ここでは"F"と言いましょう。私は以前、この都市の近くに不時着していた我々の船の船長をしていました。ですが、ただそこで止まっていたわけじゃない、仲間を呼ぶために都市に侵入し、改革と呼んではこちら側に仲間が来るように仕向けていました。そしてお前達はまんまと騙され、結果はこのように、都市は制圧されたのです】


 Fの言う言葉が正しいのかどうかわからなかった。だが一つ言えるのは、この都市は今、一難さってまた一難の状況に陥っていることだった。

 そうして映像が切れるが、Fが立っている場所を見て、フィアネリスは嫌なことを思い出した。


「そう言えば、神癒奈さんは、議会に資料を届けに行くと……⁉︎」

「っ! まさか……!」


 永戸は神癒奈と連絡を取ろうとする。だが一向に通信機が繋がらない。


「頼む、繋がってくれ!」


 しばらく音声が繋がらなかったが、しばらくすると、ようやく繋がったのか、神癒奈の声が聞こえた。


「神癒奈! 無事か! 今都市が大変な事になってるんだ! こっちに来られるか⁉︎」


 永戸が必死に呼びかけるが、その時、永戸の声に答えたのは、か細く、弱々しい声だった。


【永戸さん……ごめん……なさい。私……どじっちゃいました】


 ーーー


 時間は数分前に遡る。Fがテレビ用のカメラに映像を録音し、指定の時間に流すよう細工を施していた時のことだった。


『後は、攻撃が止む指定の時間を待つだけね』


 向こうの言葉でそう呟くと、映像のセットが終わる。だがその時、彼女の背後から物音が聞こえた。


「こ……これは、どういう、事、ですか?」


 やってきたのは神癒奈で、倒れていた議員達を見ては、驚いて固まる。そして、Fの姿を見ると、神癒奈は資料を落とし、武器を構えた。


「まさか、貴方がやったんですか⁉︎」


 神癒奈は尻尾を逆立たせながら威嚇の態勢をとる。だがFは余裕そうに振り返ると、神癒奈を見て行った。


「あら? あらあら、小狐が迷い込んできたようね、強い狐の狩場とも知らずに」

「答えてください! これは! 貴方がやったんですか!」


 神癒奈が質問を繰り返すが、Fは答えない。ならばと神癒奈は刀を抜き、Fに迫った。刀による斬撃が入る。だが……。


「何っ⁉︎」


 神癒奈の斬撃が指で受け止められた。焔月式抜刀術が初めて受け止められた。それを気付くと、神癒奈は驚いてしまう。


「甘いわね、小狐」


 Fが神癒奈に向けてパンチをすると、神癒奈は停止の力場でガードしようとするも、それをすり抜けられて打たれてしまう。


「んぐっ!」


 神癒奈は刀を落とし、地面を転がる。再び立ちあがり、今度は加速で神速の速さで刀を取ると、抜刀術零式で斬りかかった。が……。


「っ!」


 唐突に、胸部に鋭い痛みが走る。彼女が下を見ると、零式で斬りかかる前に彼女の胸部を、拳が貫いていた。


「貴方のことは知ってるわ。小狐ちゃん。人類を救った英雄であることも、全能の神である事も。だから、狩るのに手は抜かない」

「かはっ⁉︎」


 心臓の鼓動がなくなっている事に彼女は気づく。それと同時に、自身から膨大な魔力がどんどん抜け落ちていく事にも気づいた。


「貴方は不老不死だと言うけれど、実際は、エネルギーの炉心となる心臓を奪われたら不死性をなくすか弱い存在、そこさえどうにかすれば、倒すことなど容易いものよ」


 Fはそのまま、神癒奈から神格までも奪おうと、力を吸収しようとする。その時、永戸から通信が入ってきた。


【神癒奈! 無事か! 今都市が大変な事になってるんだ! こっちに来られるか⁉︎】


 永戸の呼びかけが聞こえるが、それには、か細く、弱々しい声しか出せなかった。


「永戸さん……ごめん……なさい。私……どじっちゃいました」

【そんな……】

「あら、お仲間さん? 永戸……あぁ、あの英雄殺しのことかしら? か弱いけど勇敢よねぇ、こうしてお姫様の危機に気付くのだから、でももう遅い」

「永戸さんは……か弱くなんか……ないっ!」


 神癒奈がそう言った途端、外から何かが窓を突き破って飛び込んできた。それはフィアネリスで、窓を突き破ると、神癒奈を助けようと剣を振ろうとする。だが、Fは神癒奈を盾にした。


「次から次へと、雑魚が来るわね、小狐の次は鳥だなんて」

「神癒奈さんを離してください。離さなければ……」

「離さなければ、何? 攻撃できるものならやってみなさい、多少物を知りすぎる程度の鳥が、狐の本当の狩りを邪魔できると思って?」


 神癒奈を盾にしては、Fは勝ち誇ったようにそう言う。すると、神癒奈はか細い声で言った。


「やって……ください……フィアネリスさんを……信じてますから!」

「……分かりました、御身のままに」


 一瞬フィアネリスは目を見開くが、彼女がやろうとしていることを悟ると、ホワイトレクイエムで斬りかかった。


「っ!」


 次の瞬間、神癒奈の体が二つに分かれた。八本の尻尾を残した体と、一本だけの尻尾となった体へと。フィアネリスはその一本だけの尻尾の体を抱き抱えると、剣で斬るのはフェイントで、ライトニング波動砲でFをしびれさせ、そのうちに部屋から脱出して行った。

 Fは取り残された八本の尻尾の体を見て、思う。


「あの小狐……一番重要な神格だけを守って、残りの力を全て置いて行ったわね、でもまぁいいわ、彼女のほとんどの力は得られたのだし、最後の神格なんて、今の小狐ならば奪うのは容易い、後々回収すればいいわ。


 そう言うとFは蒼い殺生石に結晶化した心臓を砕き、神癒奈の力を奪った。八本の尻尾の体が消え、同時にFの尻尾が九本へと変化したのだった。


 ーーー


 フィアネリスが、一本だけの尻尾となり予備の体へと変わった神癒奈を抱えると永戸の前に降り立った。


「神癒奈は⁉︎」

「無事です。殆どの力は奪われましたが、彼女は一番大切な神格だけを守り抜き、こんな体ではございますが生還しました」

「よかった……」


 力の殆どは奪われたが、彼女が生きていたのならまだマシとも言えよう。取り返すチャンスはある。永戸は神癒奈の顔を撫でると、彼女はそれにこたえた。


「永戸……さん?」

「無理に喋るな、今は休んでていい」

「すみません……私、こんな風になってしまって」

「構わない、生きててよかった……」


 永戸は神癒奈を少しだけ抱くと、他のメンバーからの通達を聞いた。


「そろそろやばいぞ、地下に逃げ込もう!」

「あぁ、そうだな」


 ライからの言葉を聞くと、永戸達は地下のエレベーターまで走った。

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