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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第九章 巨大な影と、さらなる侵略者

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迫り来る怪物

 いつものように仕事に出勤してきた永戸たち、コーヒーを飲みながら、四課のオフィスのテレビを見る。


【最近の議会では、ヴィクス議員が有力な議員として名を上げてきています。彼女は都市で議員になってからまだ数週間ですが、都市に目まぐるしい改革を求めようと努力しております】

「おや、最近話題の都市の議員様ではありませんか、色々活発的に活動しているようですが、何がしたいものやら」

「どうせつまらない変化だろ?」


 テレビでは女議員があれやこれやと討論する姿が映っていた。それを見ては頑張る奴もいるんだなぁと永戸は感心する。


「テレビなんか見たって何もありませんよ? 今日も一日、お気楽能天気に仕事、ですから」

「ん? まぁ、そうだな」


 テレビを消すと、永戸達はデスクワークにつく。

 落ち着いた朝だ。こんな日はのんびり仕事するに限る。そう思っていた。

 突如として室内に警報が鳴り響く。


【緊急事態発生! 都市より離れた場所に大型の次元転移反応を感知! 対象は未確認の敵です!】


 その警報を聞くと、永戸達は一斉にパソコンに来た通知から情報を見た。敵は都市よりだいぶ離れたところに転移していて、その大きさは超大型の魔物のそれだった。何よりも、特徴的な黒く毒々しい色をしたそれは、間違いなく奴らだった。


「オメガだ……それも、これはかなりの巨体だぞ」

「こんな大きさと戦わなきゃならないの?」

「よく見たらこれ、ただのオメガじゃない、複数の魔物が重なってる、まるでブロックみたい」


 火乃香とアンフェリアが少し怖気付く。モニターに映るオメガは、体長が今までのとは違いかなりの大型で、体は脚部、前面部、後方部と三つのブロックに分かれていた。こんな大きさの敵だ。倒すのも一苦労するだろう。


「……どうします? 明らかに私たちの出番ですけど、こんな大きさのは初めてですよ、倒せるんですか?」

「倒すしかない、フィーネ、敵の状況は?」

「都市に向かって侵攻中とのこと、このままだと数時間で都市に到着されますよ」


 フィアネリスが図を出すと、大型の信号が真っ直ぐ都市に向かってきているのがわかった。


「……こればかりは、少し作戦を練る必要があるねぇ、では、諸君、仕事の時間だ」


 そう言うわけで作戦会議が始まる。するとフィアネリスは転移してどこかに行った。


「フィアネリスさんがどこか行きましたよ?」

「先行偵察だ、彼女くらいだからな、敵のデータを把握できるのは」


 そうして永戸達はフィアネリスから連絡が来るまで少し待つが、そうしていると連絡が来た。


【こちらフィアネリス、敵を視認しました。これは驚きましたね……やはり敵は複数体が合体して出来上がった超大型の敵です。データ、送ります】


 送られてきたデータを見るに、敵は様々な人間の部位を重ね合わせた非常に醜悪な見た目をしていた。

 同時に核の情報も共有されるが、核の数は全部で三つ、そう簡単に倒せそうではなさそうだった。


「ふむ……迎撃するとするならば」

「都市の外郭、そこを防衛ラインとして使う。これほどの敵だ、都市の壁も楽々突破してきそうだ」


 侵攻による被害の予想を見ると、かなり大きいものだった。都市内部で迎撃するのは危険だろう。となると、守るならば外郭、と決まった。


「あの大きさを相手に核を貫くとなると、かなり高火力な武器があるが、そんなの都市にあるのか?」


 ここでクレスが手を挙げてそういう。すると、ユリウスはあることを思いついた。


「都市の外郭の壁には、対大型魔物用のレールキャノンが複数台配置されている。それをうまく使えば、核を貫けるはずだ」

「ユリウス課長、それって確か……」

「あぁ、機械兵大戦の後にマシンノイドの技術で作った兵器だ。威力はあるが電力をよく喰らうものでね、使う機会もなかったし埃をかぶっていた代物だよ」

「それに都市の命をかけると言うのですか」

「現状それしかないねぇ」


 ランジーが焦りながらユリウスと話す。使うのは今まで使われてこなかった兵器だ、そんな反応をとられても仕方ないだろう。


「しかし、侵攻してきている敵の方へ配置されているレールキャノンは二台しかない。チャージにも時間はかかる。核を二つ破壊しても、残りの一つは人力で破壊しなければならない」

「悩みどころですね……二つ破壊してブロックを霧散させたとしても、最後の一つだけでも十分大きいです」


 メルトがそんなことを言いながら、どう倒そうか悩む。するとその時、モニターを通して通信が入ってきた。


【はーっはっはっは! こう言う時こそ、開発部のエンジニアの力が必要だと思わないかね⁉︎】

「フェレッタ君、何か策があるというのかい?」


 連絡してきたのはフェレッタだった。彼女はいつもの高笑いをしながら、あるものを見せる。


【さっきの警報は聞いた、都市の外郭にオメガが来ていることをね、君たちならば、おおむね、外郭の壁に設置されたレールキャノンで迎撃すると考えるだろう。しかし都市の貴重な電力をドカ喰いし、さらにチャージに時間がかかるからあの敵を倒すには足りない、そう考えているとみた】

「天才と呼ばれるだけあって、全部正解だよ」

【確か、アンフェリア君の天使用装備にはカートリッジが使われてたね? そこでだ、それを参考にレールキャノンも相応の電力を蓄えたカートリッジを用意すれば、二発目も即座にチャージされて発射できる筈と考えた。言わば超大型の電池だよ。まぁそれでもエネルギーの収束に30秒のタイムラグが生じるがね】


 フェレッタから送られてきたデータを見ると、カートリッジがあるのとないのとでエネルギーのチャージ時間が大幅に違ったのが見えた。それで……とフェレッタは話す。


【レールキャノン用の白銀弾は試作型だが三発ある、ちょうどあのデカブツの核と同じ数だ、この三発で仕留めきれれば我々の勝利だろう】

「もし、それで倒せなかったらどうするでありまするか?」


 フローレアが心配そうに聞く。するとフェレッタは首を横に振った。


【その時は諦めて人力で倒すしかないねぇ、でも、こう見えてこっちも対なり損ない用として作った決戦兵器をもう一つ急ピッチで作りあげてるところだ。そろそろ完成する頃合いだから、上手くいけばそちらに手渡すよ、じゃ、忙しいから切るね、頑張ってくれたまえ】


 そう言い残すとフェレッタからの通信が切れた。この話を聞けば、超大型のオメガを倒せるかもしれない、そう永戸達は思った。


「この通りだ、一か八かの賭けにはなるが、オメガを倒せる可能性が生まれた。後は、一課のメンバーとも共闘して戦う事になるだろう」

「文字通りの総力戦ってところですね」

「そうだ、いつも通り、この都市の命運を賭ける事になるが、構わないね」


 ユリウスのその言葉に、全員が頷く。それを見たユリウスはにっこりと笑った。


「いい覚悟だ。これより四課は都市外郭部にてオメガの迎撃作戦を行う、総員出撃!」


 そうして永戸達は、準備をすると、都市の外郭へと向かったのだった。

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