忌み子から戦士へ
村に帰ってくると、フローレアは仲間達に出迎えられた。
「フローレア! 無事だったか⁉︎」
「大丈夫⁉︎」
「心配はいりませぬ、フローはこうして無事故」
フローレアは胸を張るが、とはいえ無傷ではなかった。先ほど切られた部位が、切断された跡がないとはいえ、軋んだ。
「全く、一人で戦うなんて無茶言いやがって、なんでそんな行動に走ったのかねぇ」
永戸も呆れるようにそう言うが、だが、ふっと笑うと彼女を見た。
「けどま、よくやったよ、普段から俺達と訓練をしてるだけあるな」
「隊長殿…!」
フローレアは褒められて目をキラキラさせる。犬系の亜人とかであったならば今頃尻尾を振っていたであろう彼女は喜んだ。
「フローレア…なんでしょ?」
村人の一人が怖がりながらもフローレアに近づく。他の村人も何やら申し訳なさそうにフローレアを見ていた。
「フローレア…貴方、いつの間にあんな強く…一体どこで」
「決まっているであろう、外の世界で学んだのだ!」
それを聞いた村人達はざわめく。かつてのフローレアの印象など、彼女達からすればとうにかけ離れただろう。フローレアは永戸から借りた剣を掲げると言った。
「フローレア・ランディスノートはここに、英雄として舞い戻った! 今の私は! 忌み嫌われるだけの存在ではない。虐げられし民達を守る剣である!」
先ほどと同じように高らかに叫ぶと、多くのエルフ達が圧倒される。彼女からは、最初出会った時のような憧れを持つ心ではなく、英雄としての覇気が宿っていた。
そこに、村長が現れる。
「フローレアは、呪われた力を自らの祝福へと変えて舞い戻ってきました。私達も、彼女のように、前へ一歩踏み出すときではないでしょうか?」
「村長? それってどういう…」
「我々も、外の世界へ旅立ち、新たな景色を見る時が来たのです。この村の者達よ、彼女のように気高きエルフであるならば、外と交流を持ち、その気高さを改めて証明してはいかがでしょうか?」
村人達は尊重の発言を聞き、重く頷くと、フローレアの言葉を聞いた。
「まずは我々だけでもいい、外と交流を持つのだ! そこから徐々に世界を広げていき、やがては全世界へと足を運べ!」
フローレアの言葉に、村人達は息を呑むと、一人一人、ぽつりと一言を言っていく。
「フローレア…ごめんなさい、貴方をいじめたりなんかして、貴方は、立派なエルフの戦士よ」
「魔法の適正がないからと言って馬鹿にしてすまなかった……ごめん」
「…村の皆!」
フローレアは涙ぐむが、それを堪えると、掲げた剣を振り下ろし、笑顔で話す。
「フローは…今感激の極まりであります! 村の者からこうして認められて!」
そうしてフローレアは村人達と話していくが、永戸達はそれを振り返って見送ると車の方へ向かった。
「見守らなくていいんですか?」
「大丈夫だろ? 今のあいつなら、それに……わだかまりも無くなったっぽいしさ」
そう言っては永戸達は先に行く。こうしてフローレアは、村人達に外と交流を持つことを言い、まずはと四課との交流を約束すると、村の皆と心良い時間を過ごした。




