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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第六章 あやし妖段三郎商会

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ファーストコンタクト

「……!」


 永戸達が遭遇した宇宙人…らしき存在、それは、全身がケモノのいわゆる獣人のような姿をした存在だった。


「……!」

「これが…」

「宇宙人?」


 思ってた姿とは違うギャップに、永戸達は戸惑う。すると宇宙人らしきものはよく分からない言語を喋っては、通路の奥深くまで逃げていった。


「追いかけるか?」

「相手に時間を与えない方がいいかと、追いかけましょう」


 フィアネリスの言葉を聞き、永戸達はその宇宙人らしきものを追いかけていく。後続に二課のメンバーがいてくれることもあって、クリアリングと探索は高速に進んでいった。


「な、なぁ、永戸っち! アイツ追いかけてほんまに大丈夫なんか⁉︎ おびき寄せてはウチらを一網打尽にする罠なんちゃうか⁉︎」


 その時、シグナイトがこんなことを聞いてきた。確かにそんな事も考えられる。とは言えだ、扉が開けられた以上、見つけてしまった以上、放置するわけにもいかない。


「いや、追いかける。フィーネ、奴の言語はわかったか⁉︎」

「分析中です! もう少しお待ちを!」


 今はフィアネリスが頼りだ。彼女が言語を理解し、コミュニケーションが取れれば、宇宙人と向き合った際に争わずに済む。

 そうして進んでいくと残す区画は10%ほどまで来た。


「マッピング、90%完了、この奥は敵の中枢部となっています」

「鬼が出るか蛇が出るかだ!」


 永戸達が扉を開くと、その先にいたのは、数々の宇宙人? だった。どうやら大広間らしく、他の調査班もここに集結していた。宇宙人らしきものは四方から近寄られ、部屋の真ん中へと集まる。

 目に見えた武器は携帯していない。非戦闘民のようだ。


「……!」


 宇宙人らしきものの一人が出てきては、鉄パイプを持って吠える。その時、フィアネリスが前に出た。


『貴方達はどこからきましたか?』


 フィアネリスの口から、なんとも言えない言語が飛び出す。どうやら分析は完了したらしく、彼女は宇宙人らしきものと対話しようとした。すると宇宙人は逆にこう返す。


『これ以上! 仲間のそばに近寄るな!』


 猛犬のように威嚇する宇宙人、それに対し、フィアネリスは笑って答える。


『そちらに戦意がなければ、我々は戦うつもりはございません。我々は、この星に住む調査隊です。突然来訪した貴方達に対し、脅威がないか調べるべく、ここを調査に来ました』


 フィアネリスはそういうとペコリと一礼する。だが、向こうの戦意はまだ抜けていないらしい。フィアネリスにパイプを向けると吠えた。


『黙れ! ここは我らが征服すると決めた場所! 原住民の言葉など信じるものか!』


 するとフィアネリスは表情を変えた。優しい表情から、いつもの営業スマイルへと。ということは、彼女から慈悲がなくなり、虐殺天使へと変わったこととなる。


『征服? 他艦との連絡を試みてもダメで、敵地のど真ん中に丸腰で取り残された貴方達が、我々を征服? ご冗談を♪』


 フィアネリスは悪い笑みをしてはくすくすと笑う。そんな光景を見せつけられている永戸達はぽかんとしていた。


「どうする?」

「どうしましょう? 相手はマトモな武器を持ってませんし、フィアネリスさんがあの態度ならしばらく傍観します?」


 何を話しているのか分からない、だが少なくともフィアネリスが見下してることはわかる、こんな状況に永戸たちが困惑する中、フィアネリスは宇宙人と話を続ける。


『そもそも、貴方がたはどちらからいらしたのですか?』

『我々は遠い次元の彼方から住処を増やすべくしてやってきた。だが我らが船は航行中のトラブルでこの世界に墜落してしまった。だがこの世界は我々が指定した条件と一致した、母艦と合流次第、征服するのだ!』

『おや、宇宙人かと思ったのですが、どうやら違うみたいですね? ですが、興味深い存在なのは確かです』


 次々と話される中、フィアネリスからEフォンに会話ログが流されてきた。それを見た永戸達は驚く。


『別次元の人⁉︎』


 どうりで宇宙人らしくないわけだと二人は思う。だが同時に気になる一言があった。


「征服って言ってたよな? と言うことは、もし他の奴らと連絡が取れたら、アイツらはこの世界を征服に来るのか?」

「そうなりますね? でも、こんな超技術を持つ相手がもし征服に来たら…」


 そんなことを考えて、二人はゾッとする。もし別次元生命体が本気で攻めに来たら、どうなるかを。


『今ならばまだ間に合います。他の仲間を連れて我々の都市で暮らすことを検討してみては?』

『バカを言え、我らは原住民の施しなど受けぬ! もう賽は投げられたのだ!』


 そうして次元生命体はパイプを振るってはフィアネリスに攻撃するが、そのパイプを掴み、返すように相手から奪うと、彼女は敵の首元にそれを突きつけた。


『この状況を見てよくまだそんな軽口が叩けますね、選んでください、ここでひき肉にされるか、あるいは我々との生活を受け入れるか♪』

『うぐ……!』


 次元生命体はフィアネリスを見て憎そうに唸る。だがフィアネリスはにっこりと笑顔を崩さないままだ。すると次元生命体は、こう答えた。


『わかった……お前達の…提案を飲もう』

『はーい、ではでは私達の都市へごあんなーい♪』


 フィアネリスが永戸にもう大丈夫とサインをすると。永戸はその場の全員に通信で伝える。


「警戒は解いていいそうだ、相手は降伏したらしい」


 それを聞いた他のメンバーはふぅっと肩の荷を下ろす

 一方で、ここにいた次元生命体達が外へと連れ出される時、永戸達の前を通りかかる時、こんなことを言った。


『猿どもが…今に見ていろ、あのお方がお前達の世界に入り込み、我々の艦隊が、お前達の住む場所を真っ先に占領しに来るぞ』

「?」


 こんな言葉を残し、去っていったが、永戸達には分からず、首を傾げることしかできなかった。


 ーーー


 その後は船内のあらゆる箇所を探索し、何かオメガを倒す手段がないか探した。しかし、どうやらこの船は非武装の移民用の船のようで、マトモな武装は残されてなかった。


「……なーんにもないな、なんかこう連続でジャンプできるアイテムとか強力なビームを撃てるアイテムとか期待したんだが」

「現実とは非情な物です。とはいえ、一つ気になる部屋ならばあります」

「どこだよ?」

「この部屋なのですが…」


 フィアネリスにマップに指をさされ、その部屋まで永戸達は行く。

 その部屋は、他の部屋と比べて少し豪華な船長室っぽいところだった。中に入ると、そこは、少し獣臭い匂いと共に、一つのタブレットが置かれていた。試しに手を取って見ると、まだ電源がつくのがわかる。セキュリティは不用意にもかけられていない、試しに見てみると、そこには一つの資料があった。


「読めるか?」

「ふーむ……読めますが、ダメですね、これは航海日誌で何も情報はございません」


 フィアネリスはそう言いながらも資料のページをめくるが、あるページを見た時、彼女はぴたりと止まった。


「どうしましたか?」


 神癒奈が何か見たのだろうかと思い、聞く。すると、彼女はこう答えた。


「日誌の最後のページですが…こう書かれております。今読み上げますね」


【船が不時着し、私達は助けが望めない状況下で、ある一つの決断をした。それは、この船に非戦闘民を残し、残った戦闘可能な者だけを出撃させ、近くの街を占拠すること。だが相手は強大か、とても大きな街を壁を作っては暮らしている。この街をおとすのはいくら我々でも並大抵の事じゃない。だから私が、内部からじわじわと攻め落とすことにした。まずは奴らの文化を学び、そしてその上で取り込んでいかねばならない。静かに、毒のように。そして内側から我々の形に染め上げていく。やがて来る仲間達の楽園が作れるように…】


 そのページを読み上げられた時、永戸達は震え上がった。もしこの話が本当なら、すでに都市の中にこの船にいた生命体が侵入し、暗躍していることになると。


「……マスター、これは、イストリアに提出した方がいい資料かと思われます」

「あぁ、俺もそう思う。こいつは、放置してはいけない問題だ」


 だがその侵略がいつになるかはわからない、ひとまず永戸達はその資料をEフォンのデータに書き納めると、その場を去っていくのだった…。

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