蒼天の勇者達
勇者の集会所にて、レジスタンスと共に入ったフィアネリスは、中にいた敵を制圧し、奥にいた天使たちの檻を見つける。
「貴方は……⁉︎」
天使たちはフィアネリスの姿を見て声を上げる。まぁ当然だろう、自分たちの知らない天使が、急に助けてくれたのだから。
「私は、貴方たちを助けるためにとイリエルさんから頼まれてきました」
「イリエルが⁉︎」
「アディール達はどうなったの⁉︎」
檻を開けようとするが簡単な施錠がされている。フィアネリスは開錠の魔法で容易く鍵を外すと、言った。
「彼らは死にました。もう貴方たちが檻の中で怯える必要性はございません」
その言葉で天使たちは、自分たちがもう囚われの身にならなくて済むと知り、ほっとしたのだった。
ーーー
一方で、永戸たちは王城を突き進み、王のいる間へと辿り着いていたのだった。
「なっ⁉︎ 勇者達の反乱だと⁉︎ 者ども! 彼らを捕えろ!」
王が命令を出すが、次の瞬間、王の頬を赤黒く輝く弾丸が通り過ぎた。
「いいのかな? アンタの命を握ってるのは俺たちだ。俺が引き金を引けばアンタの命なんか容易く刈り取れる。それでもいいと言うならどうぞお好きに衛兵をお呼びいただければ」
永戸の言葉でぐぬぬと王は睨むが、彼は吠えた。
「まだだ! 強力な勇者を再び呼んで! この状況を巻き返して…!」
「それはさせません」
すると、転移ゲートが現れ、中からイリエルが出てきた。凍りついた鉄の剣を握ると、勇者召喚の陣に剣を立て、神力を流し込んで破壊する。
「これ以上、ボク達のような不幸な人を増やさせはしない。勇者召喚の連鎖は、ここまでです」
イリエルが剣を王に向けると、王は後がなくなり、椅子にぐったりと座り込んだ。ひとまず、これで依頼は達成なのだろう。後は他の勇者達に任せ、永戸達は城の中で一休みする。
「極寒の地を歩き歩き…疲れたな」
「ですね、帰ったらフィアネリスさんの部屋でポカポカしたいですね」
「あの部屋暖炉あるもんなぁ、クッションでも置いて寝転びたいところだ」
永戸はこんなこともあろうかとと、レジスタンスの拠点から神癒奈が持ち出してきたお茶を水筒から出し、二人で飲む。極寒の地で飲むお茶は、それはそれはあたたかく、体の芯から熱を与えてくれた。
「おとうさーん! おかあさーん!」
火乃香がアンフェリアを連れて手を振ってやってくる。永戸と神癒奈は互いに手を振ると、二人を迎え入れた。
「やったね! 私達! また一つ悪を倒したよ!」
「あぁ、そうだな」
悪を倒したと聞いて、永戸は目を閉じる。王国と勇者の蛮行も、これで無くなるはずだ。永戸達はお茶を飲み切ると、立ち上がっては歩き出す。
「あったかいものが食べたくなったな? 都市に美味しいシチューを作る店とかあったっけ?」
「ホットペーパーでも調べます?」
「私ボルシチっていうの食べたーい!」
「ボルシチかぁ、確かにこれならありそうかもな」
すっかりオフのモードになった永戸達は、城から出ると、極寒の地から去っていくのだった。




