VS円卓 side永戸&神癒奈
「英雄殺しであっても、僕のチートキラーの前では敵ではない!」
アディールが剣を持って永戸に近づく。それを永戸はリヴァンジェンスⅣとイクセリオスを合体させた形態、通常のバスターソードで斬り合う。
「何故イクセリオスを抜かない⁉︎」
「お前なんか! これだけで十分だ!」
永戸はアディールを蹴り飛ばすと、リヴァンジェンスを変形させ、バスターマグナムモードにして撃つ。撃つ瞬間、魔力回路が効率よく接続され、聖剣の光がビームとなってアディールを襲った。
「見たことない武器だ…!」
アディールが光を剣で弾く。永戸はバスターマグナムを連射するが、その全てが外れるか弾かれた。まだ永戸には中距離以遠の射撃は慣れないようだ。だがそれでいい、牽制さえできれば。
「はぁあああっ!」
永戸が撃っているうちに、横から神癒奈が斬りかかる。アディールは光を回避しつつも神癒奈の斬撃に対応する。が…。
「抜刀術零式!」
神癒奈が不可避の斬撃をアディールに振るう。アディールはその不可避の斬撃を敢えて受け止め、最低限の傷で済ますと、神癒奈に斬り返す。だが、その時、永戸のビームが目の前を横切った。
二人は互いに距離をとって体勢を整える。
「成る程、永戸は援護、神癒奈が攻撃、アタッカーとして優れた神癒奈が前衛に立って、零を使う永戸が時折支援攻撃を行い相手を削る戦法か、教科書通りの戦い方だね!」
(こっちの動きを読もうとしてる!)
(だが、狙いはそこじゃあない)
永戸はリヴァンジェンスを再びソードに変形させると、ブーストさせながら斬りかかる。ブーストによる炎の線が描かれながら斬られるが、さすが勇者とも読むべきか、全ての攻撃を避けてみせた。
「これなら!」
永戸の肩に乗り、飛び上がった神癒奈が上から刺突を行う。しかしそれがパリィされ、剣が神癒奈を襲った。
「やらせない!」
神癒奈を狙う斬撃を、永戸が横から切り崩し、体勢を崩させる。神癒奈は斬撃の代わりに空中で回転すると、アディールを踏み台にして宙返りをした。
「抜刀術壱式!」
空中からの神速の斬撃と、永戸のブーストによる斬撃が同時に斬り込まれる。が、アディールはその斬撃を、ほんのわずかなタイミングで二つ防ぎきった。
「まだだ!」
「えぇ! まだです! 弐式!」
二人はそれぞれ剣と刀を斬り返すと、神癒奈は再び宙返りしながら斬撃をし、永戸は剣を一回転させた。
胴体部と首のうなじを狙った二つの同時攻撃、今度こそは防ぎきれない。すると、アディールは空中に浮いては横に回転して、攻撃を避けてみせた。
「なっ⁉︎」
「鎧を着てて、この動き⁉︎」
どこまでも化け物じみているのかと二人は歯噛みする。だが、永戸らにもまだ対抗手段が失われたわけじゃない。アディールが着地した隙を狙い、永戸は零の力のこもったパンチをした。その次の瞬間、立ちあがろうとしたアディールもパンチをして、二人の拳がぶつかり合い、零とチートキラーの能力が炸裂する。
「能力が干渉しあって、相殺してる⁉︎」
永戸の零とアディールのチートキラーは同じ系列の能力だ。永戸は攻撃速度の速さや回避など、さまざまな面で応用できるが、アディールのそれは応用が効かない分、単純な弱体化の力が高い。互いに能力がぶつかり合うと力場が干渉しあい、引き剥がされた。
「つっ!」
「やるね…!」
互いの拳が潰れるが、永戸は零の巻き戻しで再生し、アディールは単純な回復で治す。どうやらまだ互いに能力は使えるようだ。
「たとえ二人でかかろうと! 僕を超えることはできない!」
「いいや、超えてみせるさ! 俺達は!」
「死神部隊! 四課なのだから!」
神癒奈が再び零式を放つ、唯一この攻撃だけは彼は受け止めた。神癒奈は膝裏や首などのウィークポイントを狙い、斬撃を放つ。だが今度は、驚くべきことに不可避の斬撃を彼は全て剣で受け止めたのだ。
「その斬撃! 見切った!」
恐るべきことに、先ほど一撃見せただけで、彼は攻撃を見切ったと言うのだ。斬撃を全て受け止めると、アディールは勝ち誇ったように剣を振るおうとする。
しかしそこが、神癒奈の狙い目だった。
「ふっ!」
「なっ⁉︎ 剣を足で踏んだだと⁉︎」
神癒奈の靴が、アディールの剣を踏みつけた。彼は剣を持ち上げようとしても剣が上がらずもたつく。
「永戸さん!」
「あぁ! ここだぁあああっ!」
永戸がホルスターからブレイズエッジⅡを抜き、彼の腰に押し付けると、引き金を引いた。瞬間赤黒い光と共に彼の腰部へと弾丸がめり込み、内部へと突き刺さる。同時に、白銀と零の効果が発動し、彼に絶大な痛みを与えた。
「がっ…⁉︎ かはっ⁉︎ な……なんだ、この弾丸は⁉︎ これが白銀か⁉︎」
「いいや…ちがう!」
永戸は間髪入れずに片手のブレイズエッジの残った五発を撃ち込む。
それは鎧すら貫通し、ダメージを与えると、彼からチートキラーの力とその他諸々を奪い取った。
「力が抜けるぅうううっ!」
「お前みたいな大バカを殺すために作られた特注品の弾丸さ! 今のお前はレベル1の村人以下だ! さぁ! 決着をつけるぞ!」
「黙れぇえええっ!」
力が抜けても、アディールはそれでもなお剣を振るう。永戸はそれをひらりと避けながらリヴァンジェンスⅣからイクセリオスを分離させると、光と共に彼の腕を切り飛ばした。
「腕が…僕の腕がぁあああ!」
腕が斬られ、戦う術を無くしたアディールは、永戸に降伏する。
「頼む! 許してくれ! 僕を殺さないでくれぇえええ! 僕にはまだ、国を救うと言う大義があるんだ!」
アディールは震えながら彼に許しをこう。が、彼から下された審判は非情だった。
「俺は英雄殺し。誰かの助けるためなら、人だろうが、神だろうがなんだって斬る。これで、終わりだ」
永戸が剣を振り上げた時だった、落ちてきた剣が地面に突き刺さるのを見て、アディールはその剣を取り、永戸へと突き刺そうとした。
「バカが! まだ僕は戦える! 終わりなんかじゃな……!」
次の瞬間、アディールの目線が地面に落ちていくのが見えた。
「……ぁ?」
アディールは見上げると、そこには、首のない自分の体があり、そして、体があるはずの方へ向くと、首から下がなくなっていることに気づく。
「お前の儚い夢も……ここまでだ」
永戸が納刀すると。斬首されたアディールの体から血が溢れ出し、永戸のコートに降りかかる。その姿から、アディールは、か細い声で言った。
「えいゆ……ごろ……し」
彼が死ぬと共に、永戸たちは、一つの英雄伝説に決着をつけたのだった。




