VS円卓 side火乃香&アンフェリア
「うーわ、あたし達の相手、すっごいケバい」
「魔法少女ってアレだよね? 何かと契約して戦う女の子の魔法使いで、あんなふうにキラキラした格好をしたの…だっけ」
火乃香とアンフェリアの前に立ち塞がるのは魔法少女ティアだった。
「えー? あーしの相手は狐と天使のガキ? ウケる、あーしのこと舐めてかかってるのが」
「魔法少女のくせして、話す言葉はギャルなんだ…」
アンフェリアは理想とのギャップにちょっと幻滅した。一方火乃香は毛を逆立たせ、威嚇している。
「さっさと倒して、アディールの助けに行かないと、なんかアイツの相手やばいみたいだし」
「残念だけど、ここは通さない!」
火乃香が剣を構えて、ティアと向き合う。ティアは虚空から魔法のステッキを出すと火乃香達に向けた。
「はんっ、アンタらなんか、あーしの魔法でイチコロだし。雑魚が調子に乗んな」
ステッキが振られると、途端にビームが火乃香に向けて飛ぶ。だがそのビームは、アンフェリアが展開したシールド三枚に防がれた。
「ちっ、一撃で片付けるつもりだったのに、邪魔すんなし」
「あたしの友達を怪我させようとしたら、ただじゃ置かないんだから」
アンフェリアが残る装備も装着すると、バイザーをおろし、システムチェックを始める。
「チェック一部省略、FCS正常、システムブートアップ、サイレンスハウル起動。ラグナロック2、エンゲージ」
「行くよ!」
火乃香とアンフェリアが駆け出すと、ティアはステッキを振り回すと、次々と砲撃しだした。
「当たるもんか!」
火乃香が陽炎を使いながら避け、ティアに肉薄する。
「邪魔なんですけど!」
ティアがステッキの形状を変えると、それは大きな鎌になった。それが振り回されるが、火乃香は避けずに受け止めた。
「アン!」
「分かってる! 照準補正よし、ファイア!」
サイレンスハウルから波動砲が放たれるも、ティアは魔法陣のバリアで防ぐ。
「…やっぱこの程度じゃ効かないか」
アンフェリアがフォースシールドビットを六枚並べながら飛ばすと、ビットの横からビーム刃が飛び出してきた。六枚のそれで切り裂こうとするも、火乃香を弾き飛ばしたティアは、鎌でそれら全てをパリィする。
「鬱陶しい武器なんか使って、ウザい」
「ならこれなら!」
鎌が他所を向いているうちにと火乃香は格闘戦を挑みティアを足でキックする。しなやかな肉体の妖狐から放つ一撃だ。命中すると、ティアは押し込まれた。
「こんな攻撃、あーしの前では無意味だし」
ティアは押し込まれたが、キックによるダメージは少なかった。だが、火乃香の攻撃は一撃だけではない。
「もう一発!」
空中で横に回転すると、今度は焔と魔力によるブーストで蹴り飛ばす。一撃と思わせておいての二段攻撃。ティアは再び押し込まれ、今度は明確に火傷の跡がついた。
「あっつ! 炎使いだなんて聞いてないし!」
「まだまだ!」
さらに蹴ったところから空中に飛び上がると宙返りをして足を蹴りおろした。二段を超えた三段攻撃。流石にガードが崩れたのか、ティアがよろける。
「今だよ!」
「了解!」
アンフェリアがバスターライフルを撃つと、ティアの服が少し破れ、ダメージが入った。
「調子乗んなっつってるでしょ!」
ティアが鎌を振りかざすと、アンフェリアに向けて投げる。アンフェリアはそれをフォースシールドビットを何枚も重ね合わせ、弾くが、ティアに急接近されると鎌で何度も攻撃される。
「くっ!」
「アンタを先に消したほうが面倒がなくなりそうだ、邪魔だからさっさと逝っちゃいなよ!」
「いいのかな? あたしにだけ目を向けて」
アンフェリアが不敵に笑うと、ティアは背後からの殺気を感じた。
「光よ蘇れ! イクセリオス!」
赤いマフラーをたなびかせながら、火乃香は霊剣イクセリオスを振るう。ティアはそれを鎌で防ぐも、高い威力で地面にめり込んだ。
「冗談キツいし、それ、ただの剣じゃなかったの⁉︎」
「私の剣は、英雄達から代々受け継がれてきた、大切な武器、甘く見ないで!」
「あーうざったい! さっさと死ね!」
指先を回すと、魔法陣が展開され、そこからガトリングのように光弾が飛び出てくる、火乃香はそれを回避して下がると、駆ける。 アンフェリアも下がると、空中に飛び出しフォースシールドビットを撃ち込みながらバスターライフルの射撃を続けた。
「めんどっ! こうなったらひとまとめに片付ける!」
すると、ティアはステッキを掲げ、巨大な光弾を作り上げた。
「食らえ!」
「火乃香! 手を!」
「うん!」
光弾から多数のホーミングレーザーが二人に襲いかかる。アンフェリアは素早く火乃香を持ち上げると空中へと飛び出した。
普通のミサイルなら撃墜できる、だがこのレーザーは撃ち落とすことができない。アンフェリアはフォースシールドビットでレーザーを一発ずつ防ぎながら、火乃香と一緒に空を飛ぶ。
「きゃあああああ⁉︎」
あまりにも立体的な動きに火乃香は目を回しそうになりつつも、アンフェリアはあちこちを飛び回りながらレーザーを防いでいく。
全てのレーザーを防ぐと、ティアはその巨大な光弾を丸ごとぶつけてきた。
「フォースバリア! 全開!」
フォースシールドビットを六枚合わせ、バリアを全力展開する。光弾が炸裂すると、凄まじい熱波が発せられ、六枚あるうちの二枚のシールドが破損し、地上へ落ちていった。
「シールドビットが⁉︎」
「きゃっはははは! あーしは魔法少女、キンベルの奴と比べて、数より質はあっとーてきに上だっつーの、天使がそんなロボットみたいな武器を使ったって無駄だし!」
フォースシールドビットが破られた事に、アンフェリアは焦りを抱く。なぜ別の戦線で戦うフィアネリスが装備ごと無傷で、アンフェリアの装備が破られたか、それは、チートの火力の差でまずキンベルとティアの間で差があった事、次に、アンフェリアの装備は次世代機とはいえまだ不安定な試作型、シールドを組み合わせた防御やバリア性能ではフィアネリスより上だが、反面、シールド単体の防御性能と耐久性はこちらが下で、光弾の威力に一部のシールドの耐久力が持たなくなったからだ。
と言うことは、残る四枚のシールドもこのままだと破られることを意味する。アンフェリアはシールドの耐久値をHUDで見ると、全てのシールドがレッドゾーンへと入っていた。
「もう一発食らわせれれば、アンタのうっとーしいその盾、壊せそう、きゃっははははは!」
ティアの高笑いに、アンフェリアは動揺する。基本的に天使用装備の防御はこの盾が担っている。フィアネリス達の既存装備ならば機能を失っても防御自体は可能だろうが、こちらはビット、破損したら二度と防御手段として使えなくなる。どうするか、アンフェリアは悩んだ。
するとその時、火乃香がこんなことを言い出す。
「ねぇ、さっきの攻撃、もしかしたら、私達の反撃に使えるかもしれないよ?」
「えっ?」
「えっとね…」
火乃香がアンフェリアの耳にヒソヒソと話す。その光景を見たティアは不満そうに言った。
「何二人でコソコソ話し合ってんの、アンタたちはあーしにまけるの、分かる?」
二人で作戦会議を終えると、アンフェリアは残る四枚のシールドを構え、向き合った。
「今度こそ、あーしが終わらせたげる」
再びティアが光弾のチャージに入る。するとアンフェリアはシールドを全てその光弾にぶつけた。
「っ! あーしの攻撃に、盾を⁉︎ 何をする気!」
「それは、こうするんだよ!」
耐久値がレッドゾーンのシールドビットをぶつけると、それは、破損と同時に爆発した。その衝撃で光弾のエネルギーがコントロールできなくなり、大爆発を起こす。それを二人は地面に落ちた破損した二枚のビットでその衝撃波を防ぐも、ティアが立つのはその爆心地、彼女は爆発に呑まれる。
「あぁあああああ! あづいぃいいい! よくもぉおおお! よくもやってくれたなぁあああ!」
全身を焼かれたティアがしぶとく怒り狂いながら魔法を二人に連発する。だが火乃香はそれを盾を捨ててすり抜けるように接近すると、ゼロ距離を取った。
「焔月式抜刀術! 壱式!」
火乃香が聖剣を光らせながら斬ると、ティアの体は上半身と下半身がなき別れした。
「ぁ…え? あーしの体…!」
上半身だけで動こうとするも、大量出血で力が出ない、やがて力尽きると、彼女は何も言わなくなったのだった。
「大丈夫? アン?」
「大丈夫、火乃香のおかげだよ」
火乃香が振り返ってピースをする。するとアンフェリアもバイザーを挙げて素顔を見せ、ピースをした。




