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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第四章 妖狐に下される神罰

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狩る側はどちらか

「何ウチの娘に手を出してんだこの邪神が!」


 リボルバーを握る永戸がマイルズに対して声を上げる。マイルズは吹き飛んだ手を見て、永戸を見ると、憤怒の表情を見せた。


「オレに傷をつけるなど、この人間風情がぁああああ!」


 剣を振って斬撃を飛ばすが、永戸は前に飛び込み斬撃の応酬の中に入る。


「バカが! 生身の人間がオレの斬撃を止めれるものか!」


 マイルズは高笑いしながら斬撃を飛ばしていくが、なんと永戸はその斬撃を一つずつ弾きながら接近した。


「何っ⁉︎」

「歯ぁくいしばれ!」


 永戸はマイルズに向けて、ガントレットをつけた拳の一撃を零を込めて喰らわせる。瞬間、マイルズは勢いよく殴られて吹っ飛んだ。


「ただの人間に! どこにこんな力が!」


 マイルズは驚きながら体勢を立て直すが剣を振っても斬撃が出なくなった。


「オレの能力が、使えなくなっただと⁉︎」

「まだだ!」


 永戸が聖剣を振り下ろすと、マイルズの剣とぶつかり、赤黒い稲妻を迸らせる。マイルズはその力を見て、目を見開いた。


「テメーまさか⁉︎ そうかテメーが! テメーが英雄殺しか!」


 マイルズは剣を切り払って永戸を突き放す。永戸は綺麗に着地すると、神癒奈が隣に立った。


「奴の能力は抑え込んだ! 決着をつけるぞ!」

「はい!」

「クソがぁあああ!」


 マイルズが突撃してくる中、永戸は二刀流で構えると、神速で振られる三本の剣を零を使用して全て弾き返す。パワーなら彼の方が劣っていた。だが、普段からの鍛錬の積み重ねか、攻撃を受け流すことができていた。


「英雄殺し! 大戦の死に損ないが! オレに歯向かうんじゃねぇ!


 マイルズの攻撃の速度が更に早まる。だが永戸はその斬撃を全て捌き、彼女の頭部に飛び蹴りをぶちかました。


「んぐぁっ! オレの顔に蹴りだと⁉︎ ふざけたマネしやがってぇええええっ!」


 マイルズが永戸を仕留めようと剣を振り上げる。だがその中で、神癒奈が永戸と交代すると、刀の一撃で振り上げた腕を切り飛ばした。


「オレが負けるはずがねぇ! オレは狩の女神だ! 狩人が獣に喰われてなるものか!」


 空から落ちてきた剣を残った腕で拾うと、焔月式抜刀術の零式と同じ、不可避の斬撃を三方向から永戸に斬り込んだきた。

 神癒奈に斬撃が迫りよるが、彼女は刀を構えると、斬り返すように零式で全ての斬撃を弾き返した。


「永戸さん!」


 再び永戸に交代すると、今度は永戸が零式を使い、二刀流で不可避の斬撃をマイルズに斬り込んだ。それをマイルズは受け止めようとするも、その瞬間、彼女の剣が砕け散ったのだった。


「オレの剣が! こんな奴らにぃいいいい!」


 マイルズが手刀を永戸に突き刺す。だが、永戸は手刀してきた腕を剣で叩き斬ると、そのまま彼女にバク宙で足を蹴り落とし、彼女を地面に叩きつけた。


「もう終わりだ、天使たちによる攻撃も、こちらの迎撃で制空権は取られた」


 空にいた天使たちはほとんど墜とされ、今ではフィアネリス達が空を悠々と飛んでいた。


「神様なんだ、命だけは見逃してやる。これ以上戦うのはもうやめろ」

「誰が……誰がやめるものか! 俺は狩の神様だ! 決して獣に情けなどかけられてたまるかぁあああ!」


 マイルズが永戸の首を掴もうとした。が……。


「……ア?」


 体が動かない、もう肉体が朽ち果てたかのように。最後に見ようとすると、永戸のそばにいた神癒奈は、いつのまにか自身の背後に回られていて振り下ろした刀を、彼女は納刀した。


「狩人になる側は、私達です」

「…ありえ…ねぇ」


 その言葉と共に、マイルズはバラバラになり、決着はついたのだった。残された神格が最後の抵抗か、蘇生のために自らの天界に戻ろうとするも、神癒奈は魂を掴み、そのまま自分達の天界へ送り込んだのだった。それを見届けると二人は語る。


「……これで終わりですよね?」

「終わってくれないと困る」


 ーーー


 戦闘が終わって、無事な永戸達は、四課のオフィスに戻った。だが部屋は半分抉り取られていて、残っていたのは永戸達の椅子くらいだった。

 教会側からはようやく連絡が来て、今回は魔神を崇める一部の邪教徒が起こした事件だと説明、後日魔女狩りをすることを宣言した。


「まぁ、皆生きてただけで御の字かな?」


 ユリウスが残っていた椅子に座りながらホッとする。一方で神癒奈達はズズズと座布団に座りながらお茶をすすっていた。


「はぁ…この時期の熱いお茶は体に優しいのう」

「えぇ、玉藻様、そろそろ冬ですし、寒さには気をつけないとですね」

「もう、お母さんとお婆ちゃんってば、年寄りみたいに言って」


 並んで茶をすする姿がなんともシュールというかなんというか、頭もポヤポヤしてて先ほどまでの殺気は嘘のように消えていた。


「フィーネ、あの魔神結局どうなるんだ」


 そういえばと永戸はフィアネリスに質問した。するとフィアネリスは当然ながらと断言した。


「まぁ、神格を剥奪されては地獄行きでしょうね」

「そもそもなんで魔神なんか身内にいたんだ?」

「魔の神など、どの世界のどの神話にもどこにでもいます。タロットに正位置と逆位置があるように、表裏一体なのです」


 ふぅんと永戸は納得する。だがもう一つ疑問点があった。


「お前のコールサインってラグナロックだろ? それって北欧神話の単語のはずだ、ゼウスはギリシャ神話、全然違うもののはず、なんでごちゃ混ぜになってるんだ?」

「地球の日本の神話では、八百万の神がいると伝えられてますね? 神々の世界はそれぞれ違っているようで、それぞれ繋がっているのです」

「んな闇鍋みたいな」


 永戸が苦笑し、仕事終わりのエナドリを飲む。兎も角とユリウスは部屋を見渡しては説明する。


「このオフィスとは今日でお別れかな? 明日からは別のオフィスに引っ越す事にでもするか、そうだねぇ、メンバーも増えたし、また大きなオフィスでも頼もうかねぇ」

「俺たちも大所帯になりましたね」


 これだけメンバーが増えると四課も立派なチームだ、皆が新しい職場に希望を持つ中、永戸達は外を見た。綺麗な夕焼けがさし、彼らを優しく迎えていたように見えたのだった。

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