尋問(拷問マシマシ)
四課にたどり着くと、そこでは神癒奈達が既に逃げ込んでいた、部屋の隅にはエグリーズの粛清騎士が縛り付けられ、今日予定されていた事を全部蹴り、粛清騎士に皆目を向けていた。
「さて……この者をどうするかだね」
ユリウスが冷たい目線で粛清騎士を見る。粛清騎士の腕は斬られたままだったが、適切な治療により、再生を封じた状態で傷口を塞いでいた。
「その紀章、き…貴様ら! イストリアのどこの部隊の者だ!」
ユリウスの首の襟につけられたワッペンから、イストリアの者だと相手は把握する。だが四課の事までは知らないのか彼が一体どこの部屋にいるのか、今一体誰と話をしようとしているのかわかっていなかった。
「おや? 聞いたことはないかね? 我々は異世界特別調査隊四課だ」
「四課? あぁ、ご大層な名前だけ与えられて、ボランティアだの何だのする窓際部署と呼ばれた四課か、はは! ははは! これはエグリーズとの交流問題に発展するぞ! 今すぐ私を治して解放しろ!」
エグリーズの粛清騎士は吠える、だがユリウスは首を横に振った。
「それは出来ない相談だ、教会側に連絡しても何故か電話が通じなくてねぇ、相手はこちらが一体どう言う存在かわかって封してるらしい、だが上位粛清騎士である君に何も伝えてないと言うことは……彼らの君より上の存在は、我々に関して何も知らないまま処理しようとしたようだ」
「それって…どう言うことだ?」
粛清騎士の兜が剥がされ、彼はユリウスとその仲間達を面と向かって見る。
「お前達って、ただの窓際部署じゃないのか?」
「君は、都市伝説は信じるかね? 根も歯もない噂話は? 論者が語る拍車のかかった陰謀論は? ネットの掲示板のくだらない疑問のスレッドは?」
「教会の騎士は、そのような邪な情報など耳にしない、我々は神の啓示を信じて戦うのだ」
「まぁそう答えるだろうね、君が頭が硬く、教会のためならどんなことでも身を差し出す愚か者だと分かったよ」
ユリウスは近くの椅子に座り、足を組んでゆったりとすると、粛清騎士をじっと見た。
「では、こんな噂話を耳にしたことがあるかな? "異世界特別調査隊四課は実は殺し屋の部隊"なんて言う話は?」
「そんな噂など信じるものか! 貴様らが殺し屋? 馬鹿馬鹿しい!」
「まぁ確かに馬鹿馬鹿しいね、君の言う通りだ。全くもって、馬鹿馬鹿しい」
ふふふとユリウスは笑って見せる、それに粛清騎士の表情が緩むが、直後、氷よりも冷たい目線が、粛清騎士に突き刺さった。
「だが、残念なことにそんな都市伝説にも陰謀論にもなる馬鹿馬鹿しい話は本当だ、我々イストリア異世界特別調査隊四課は、目的のためなら手段を問わない超法規的活動が認められた特殊部隊だ」
「なっ⁉︎」
「ここからは甘い言葉や嘘は慎みたまえよ、でなければ」
ぱちっと指を鳴らした次の瞬間、エイルが腰のポーチから大量の拷問器具を出した。昔使ったような毒薬だけではない、高圧電流、火責め用の焔月特製ライター、ハサミにカッターに死にそうな時の過剰回復を促す回復アンプルなど、よりどりみどりだった。表情も恍惚としていて、久方ぶりの尋問の時間に彼女はとても喜んでいた。
「はーい……それでは、楽しい尋問の時間です……♪ 正直に吐けば痛くありませんから」
エイルが粛清騎士の肌に注射針を突き立てる。だが粛清騎士が言った。
「こんな拷問で! 我々の心が折れるとでも思っているのか!」
「うむ、君は頑固で死んでも吐かなさそうだしね、ならば、一度死んでもらおうか」
「ぁっ…⁉︎」
次の瞬間、アラクネのエイルから採れた特製毒液が注射器によって注入された。次の瞬間、粛清騎士は激痛でのたうち回ることとなる。
「あぁあああああ! 体が! 身体中が痛いぃいいいいい!」
「静かにして」
エイルに頭を麻袋に入れられ、彼は悶える。ジタバタ暴れるが、ユリウスは質問をした。
「君を差し向けた教会の人物、あるいは神は、どこのどなたかな?」
「絶対に言うものかぁああああ!」
「エイル君、高圧電流」
「はーい♪」
粛清騎士に高圧電流を流すと、男は声にならない声をあげてビクビクし出した。失禁までして、その場にいた元第二支部四課のメンバーはドン引きする。
「隊長…流石にやりすぎなんじゃないですか?」
「これが本部の四課流だ」
「た、隊長殿…フローは…流石にこれは人権を害するものだと思うのでありますが…」
「これが本部の四課流だ」
メルトとフローレアがそう言う中、これを見ていた永戸自身もいつの間にこんな拷問技術が発達してたんだと白い目で見ていた。するとフィアネリスが横でこんな耳打ちをする
「開発部のフェレッタさんが兵器開発の合間に暇つぶしにと適当な拷問器具をいくつかでっちあげてくれたそうですよ」
「流石マッドサイエンティスト、やる仕事が違うなぁ」
でっちあげでこのスケールかと永戸は思う。フェレッタには後で人権問題に関して幾つか聞くべきなようだ。そうしていると粛清騎士は力付き、ぐったりと倒れる。
「ショックで倒れたか、死んだかね?」
「はい、死にました」
「では禁忌の薬と行こうじゃないか、回復アンプル過剰投与」
「はーい♪」
エイルが回復アンプルを大量に投与すると、粛清騎士の意識は無理やり蘇生され、今度は息ができなくなるほど苦しむこととなる。
「がぁあああ⁉︎ かはっ! はっ!」
「どうかね? 一度死んで蘇った感想は、さぞかし、天に昇る気分だっただろう」
「ふざけ……息…!」
「ああ可哀想に、オーバードーズで体が麻痺しているようだね、まぁそれもそのはず、今投与した回復アンプルは通常の十倍の濃度だ、魂が星に還るまでに投与すれば死者が蘇る本当に奇跡の薬だよ、まぁただ濃度と量を増やしただけの試作品でオーバードーズでこのように生死の境を彷徨うことになるがね」
ユリウスはコリーにお茶を頼むと言っては優雅にティータイムをしながら質問をする。
「はぁっ…はぁっ……」
「良かったねぇ、拷問で死ななくて、いやそれとも、ここで死んだ方が幸せだったかな?」
「やめろ…もう、やめてくれ……」
「では言うんだ、君に指示したのは誰かね?」
「それは……っ⁉︎」
麻袋を外され、よく話せるようになり、粛清騎士は誰か言いかけるが、その時、彼はユリウスの背後を見た。その視線の変化に気づいたユリウスは、質問を重ねる。
「待て、今君は……"何を見ている?"」
「殺される……お許しを! マイルズ様!」
「今君は何を!」
「っ! 皆様! 頭を下げてください! なるべく低く!」
フィアネリスが何かに気づくとそう言い、全員が下げた途端、次の瞬間、四課のオフィスに轟音が響くとともにビルに風穴があくのだった。




