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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第四章 妖狐に下される神罰

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『教会』からの刺客

「んー♪ このハンバーガー美味しい!」


 仕事の日の朝、永戸達はいつものダイナーにやってくると、火乃香に美味しいハンバーガーを奢った。


「お父さんとお母さん、いつもこれ食べてるの?」

「まぁそうだな、朝手間をかけたくない時とかはいつも食べてる」

「最も、永戸さんが家事当番の時はほぼ必ずといって来てますけどね」

「こやつ、料理がズボラじゃからな」


 神癒奈と玉藻前が指摘する中、じゃあなんで今まで来なかったんだと火乃香は思うが、察したように永戸が言った。


「お前の手続きやら何やらで忙しかったからな、しばらく行けてなかったんだ」


 コーラを飲みつつ、永戸はそう説明する。火乃香は納得すると、ポテトの方にも手を出した。


「本日の未来予知警報はなし、非常に穏やかな一日になるでしょうね」


 フィアネリスがEパッドで予報を確認する。予報は全てブルーでとてもいい一日になりそうだった。


「オメガが来ないってこと?」

「そう言うこと」


 そう聞くと火乃香はほっとする。あれから学校では、火乃香達はヒーロー扱いで、皆の憧れになっていた。そうなったのはどこか嬉しいのだが、穏やかな学校生活が崩れ、アンフェリア共々騒がしいなと思うようになった。


「何はともあれ、今日は暇な仕事になりそうじゃな」

「そうだな、あったとしてもボランティアだろう」

「ボランティア、今日やるなら何だろう?」

「大戦からもう結構経つし、そろそろ復興作業もしなくてよくなってくると思うけどなぁ、強いて言えば貧困地帯の支援くらいか」


 永戸もハンバーガーにかぶりつく。彼らにとって、非常に穏やかな朝だった。

 だが、そんな穏やかな朝に、影が迫る。永戸達五人がのんびり食事をしていると、この都市にしては珍しい、煌びやかな甲冑を着た騎士が歩いて来た。


「永戸さん、あれは?」

「ん? あれは…何だったっけ? 都市にもいろんな組織があるからな、思い出せないな」


 ガシャガシャと音を立ててやってくる騎士、それが数名いることにきづくと、神癒奈は妙な殺気を感じ取った。


「何、この感覚………狙いは、私と、玉藻様、それと…火乃香?」


 その言葉を言った時、フィアネリスが騎士達を見ると、彼女は叫んだ。


「彼らはただの通行人ではありません! 都市の"教会"、エグリーズの上位粛清騎士です! 警戒を!」

「っ!」


 剣や槍を構えては突撃して来た粛清騎士、永戸は火乃香を庇いながらブレイズエッジⅡを撃つが、鎧に弾かれた。


「効いてない! 矢避けの加護か!」


 粛清騎士が永戸に剣を振り下ろすと、永戸は銃で受け止めた。神癒奈も、ほぼ同時につかれてきた槍を、フィアネリスに防いでもらう。


「お前ら、ウチに何の用だ!」


 永戸が零を使って勢いよく弾き、至近距離で銃を撃つも、やはり攻撃が弾かれてしまう。銃を素早くしまうと剣を抜こうとするが、その時、再び剣が振られた。ガントレットでそれを受け止めるも、粛清騎士はこう言う。


「黙れ、世界を脅かす絶望の存在め、そこの邪神と魔族二匹を渡せ!」

「嫌だと言ったら!」

「殺すまでだ!」


 粛清騎士が永戸を盾で殴るが、永戸は一歩も引かず、火乃香を守る。火乃香は自分を守ってくれた父親に叫んだ。


「お父さん!」

「前に出ちゃダメだ! 火乃香は神癒奈と玉藻と一緒に逃げろ!」

「はい!」

「お父さん! フィーネ!」


 火乃香が心配するが、永戸が優しく声をかける。


「心配するな、こいつら程度、俺とフィーネで倒してみせる」

「こっちじゃ! 四課までは裏路地を通ればよいのじゃな!」

「あぁ! 頼む!」


 玉藻前と火乃香を逃がすと、二人は戦闘態勢を取る。粛清騎士の3人も身構え、ダイナー前は一瞬にして戦場になった。


「にぃちゃん! これは何の騒ぎだ⁉︎」

「頭下げてろ! 厄介な揉め事だ!」


 ダイナーの店長にそう告げると、店長は頭を下げ、永戸は切りかかった。聖剣で粛清騎士を斬るが、切った所から再生される。


「こいつら不死身かよ⁉︎」

「いいえ! 彼らは自身の崇める神の加護を受けています! 致死性のある一撃でしか倒せません!」

「だったら! 零に還れ!」


 左手に思いっきり零の力を込めると、粛清騎士を殴った。その瞬間、神の加護が破れ、粛清騎士の力が下がる。


「こいつ!」

「出し惜しみはしない! 絶望よ! 世界に仇なせ!」


 永戸が呼び出した途端、黒い狐の使い魔がトラバサミのように粛清騎士を甲冑ごと噛み砕いた。ばりっごきっと肉と骨が潰れる音が聞こえ、粛清騎士は一人死ぬ。


「美味いか、人の肉は、喜んでくれて何よりだ」

「絶望の、化け物がぁ!」


 フィアネリスを襲っていた他の粛清騎士が永戸に迫る、だが次の瞬間、フィアネリスが剣で騎士の片腕を切り飛ばした。


「あがぁあああ!」

「脆い脆い! 粛清騎士とは言え所詮は人間、容易く切れるというもの!」

「貴様ぁああああ!」


 粛清騎士が呪文を唱えると、水の矢が形成され、永戸達に降り注ぐ。永戸は魔力バリアで、フィアネリスはフォースバリアでそれぞれ攻撃を防ぐ。


「死ね!」


 スイッチして来た粛清騎士が、槍を永戸に突き刺す。だが永戸はそれを手先に魔力バリアを集中させ、弾いた。


「いい防御です!」

「伊達にいつも神癒奈と訓練してないからな! 次くるぞ!」


 粛清騎士が槍を持って高く飛び上がると、空中から槍を突き下ろして来た。同時に複数の槍が幻影となって降り注ぐ。流石にこれは永戸だけでは防ぎきれないので、永戸とフィアネリスは二人で盾を持つ。


「防御全開だ!」

「Ready!」


 降って来た槍を、二人は互いの防御を合わせ防ぐと、粛清騎士の攻撃を弾ききってみせた。


「なんて硬さだ!」

「今度はこっちから行くぞ!」


 永戸が聖剣を振りかざすと、光が放たれる。そのまま剣を構え、突っ込むと、フィアネリスが波動砲を撃ち、その後ろから攻撃する二段構えの攻撃をとった。


「ぐほぁっ!」

「このまま、死ね!」


 波動砲で体に風穴が空いた粛清騎士に、永戸が縦一閃で体を真っ二つにした。これで二人目を撃破し、残すは片腕を失った奴のみだ。


「覚えていろ…!」


 粛清騎士が逃げ出すが、永戸は容赦しない、ゼロで近づき頭を掴むと、そのまま地面に叩きつけた。


「ぎゃっ!」


 その一撃で、粛清騎士は気絶し、事態は収束する。


「…にぃちゃん、もう出ていいか?」

「あぁ、店前で騒いで悪かったな、チップ払うよ」


 そう言っていつもより多めに金を出すと、気絶させた粛清騎士を持ち上げ、フィアネリスの転移ゲートにぶち込んだ、四課で取り調べを受けさせる必要があると。

 ひとまず永戸達は、四課へ急いで向かったのだった。

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