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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第三章 火乃香とアンフェリアの学校暮らし

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私達のスクールウォーズ

 週末、学校に集まった火乃香達は、バスに乗って八番街の植物園に向かっていた。


「皆さん、植物園ではくれぐれも、展示された植物に触れないようにしてくださいね、それから…」


 先生の説明を聞き流しながら、二人は覚悟の準備をしていた。


「火乃香、わかってると思うけど…」

「うん、出るんだよね、オメガ」


 今日、天気予報の未来予知警報では、都市では初めての時空の歪みという未知の警報が八番街に出ていた。

 そんな中で、火乃香達は飛んで火に入る夏の虫と言いますか、八番街の植物園へと着く。


「それでは、各自自由行動です。よく観察しては、後でレポートとして出すように」


 火乃香とアンフェリアは二人で植物園を歩く。そこには異世界で見れる奇妙な植物がたくさんあった。


「オメガが来るにはおあつらえ向きな場所だね」

「オメガってさ、取り込んだやつの姿に変身するんでしょ、植物取り込んだらどうなるの?」

「殺人植物になるね?」

「うーわ物騒」


 ガムを噛みながら植物を見るアンファリアに対して、火乃香はしっかりとレポート用に写真をとっていく。


「課題はちゃんとやるんだ」

「当たり前だよ、またフィーネに怒られたいの?」

「それはそうだね…」


 アンフェリアも植物を観察しては記録していく。その時だった。


「おい、アレを見ろよ、空に変な雲があるぜ?」


 生徒の一人が声を上げた先を、二人は見る。するとそこには、見覚えのある黒いもやがあった。


「っ! みんな逃げて! アレは雲なんかじゃない! 次元転移の予兆だよ!」

「次元? なんだそりゃ、とりまツゲッターに上げよ」

「バカなこと考えてないで逃げて!」


 火乃香がそう言っていると、黒いもやからゲル状の物体が降ってきた。べちゃりと落ちたそれは、火乃香達に気がつくと、降りかかってきた。


「な、なんだあいつ! スライムの怪物だ⁉︎」

「ここから逃げて! 早く!」


 この状態のオメガは攻撃しても効果はなく、暴れ回られるだけだ。万が一人が取り込まれたら大変なことになる、生徒達を火乃香とアンフェリアは逃がすと、武器を取り出した。


「ねぇ、あたし達だけで本当に倒せるの?」

「倒さなくちゃならないの! そうしないと、みんなが悲しむことになるから!」


 そう言ってると植物園にイストリアの兵士が入り込んできた。


「危険対象を確認、これより排除する!」、


 兵士達は銃を撃つも、オメガにはやはり効果が出なかった。


「やはり攻撃に効果がない! 至急、特査の出撃要請を!」

「待て! あいつ、何かする気だぞ!」


 オメガが体を引きずらせて植物の方へと向かうと、食虫植物を取り込んだ、次の瞬間、オメガが形状を変え、植物の化け物の姿になる。


「変身した⁉︎」

「隊長! もう一度! 攻撃の許可を!」

「あぁ! 総員攻撃を…うわぁっ!」


 オメガが食虫植物を伸ばすと、兵士たちの隊長に噛みついた。そのまま空中に持ち上げると、ゆっくりと捕食していく。


「ぎゃあああああ! 熱い! 体が溶けるぅううう!」


 そうして兵士たちの隊長の上半身がなくなり、残った下半身だけがぼとりと落ちてきた。


「隊長! くそっ! 応援はまだなのか!」


 兵士たちがそう言ってると、駆け出す二人の少女を見た。


「待て! 君達! ここは危ない!」

「大丈夫、私たちは、みんなを助けるヒーローだから!」

「何⁉︎」


 火乃香は虚空から武器を取り出すと、首に血のように赤いマフラーをまとい、構えた。片手は聖剣の力が失われた霊剣イクセリオスが、そしてもう片手にはガンブレード型の刀が握られていた。


「それが…あんたの武器?」

「私は英雄殺し、陽宮永戸の娘にして、九尾の神、焔月 神癒奈の娘、二人の力はなくても、想いは受け継いでる!」


 火乃香がオメガに向かって焔で加速し、接近する。対してオメガは蔓を伸ばしては火乃香を迎撃するも、その蔓は、火乃香にズタズタに切り裂かれた。


「私でも! 戦える!」


 赤いマフラーを翻しながら、火乃香はオメガに対して十字を描くように切り裂いた。


「やれる! このまま行けば!」


 火乃香が飛び上がっては食虫植物の一本を切り裂き、霧散させた。だが、敵は依然として健在、火乃香は足を掴まれると振り回される。


「うわぁあああ!」

「火乃香!」


 慌ててアンフェリアも、自身の装備を展開する。そのカラーリングは、模擬戦の時と違っていて、片翼にオレンジが塗装されていた。


「火乃香を離せ!」


 アンフェリアがバスターライフルを撃つと、火乃香を掴んでいた蔓を撃ち抜き、彼女を解放する。そのまま彼女を走ってはダイレクトキャッチすると、二人は身構えた。


「ありがとう、アン!」

「どういたしまして! 後でジュース一本奢りね」

「うん!」


 互いにそう言い合うと、火乃香は接近戦を挑み、アンフェリアは砲撃戦へと移る。フォースシールドビットを火乃香につかせると、バスターライフルをアンフェリアは構えた。


「火力を抑えて、周囲に被害を出さないようにしないと!」


 バスターライフルの威力を下げ、射撃を行う。貫かれてオメガの花弁が舞う中、火乃香が突撃してきた。


「焔月式抜刀術、壱式!」


 爆炎で加速させたガンブレードが、オメガを切り裂く。オメガは花から溶解液を溢れ出させるが、フォースシールドビットによるバリアがそれを防ぐと、火乃香はもう片手の武器、聖剣を光らせた。


「光よ蘇れ! イクセリオス!」


 永戸の持つそれとは鈍い、薄い輝きを発せさせながら、イクセリオスが振り下ろされ、残った食虫植物を両断した。残るは本体の花だけだ。


『狐火!』


 火乃香が狐火を放つと、オメガは熱く燃え上がる。燃えて焦げた先から、どんどんと体を減らしていった。


「そのまま抉り取ってやる!」


 アンフェリアが3点バーストでバスターライフルで射撃すると、花を支える茎が崩れ、花が垂れてきた。そして、そこにオメガの核があるのを確認する。


「火乃香! トドメを!」

「わかった!」


 フォースシールドビットを足場にして飛び上がると、火乃香は空中で回転しながらイクセリオスを核に向けて振り下ろした。それは深々と突き刺さり、ピシッと音を鳴らすと、オメガの核が貫かれ、霧散する。

 クルクルと回転しながら着地すると、火乃香はオメガが倒されるのを見た。


「やった…私、初めてオメガを倒したんだ! やったぁ!」


 今まで逃げることだけしかできなかった彼女が、オメガを倒せたことを知ると、喜んだ。アンフェリアもほっとすると、武装を解除して火乃香に近寄る。


「やったじゃん、火乃香、連携プレー、決まったね」

「うん!」


 火乃香はアンフェリアとハイタッチをすると、二人の仲の良さを確かめ合うかのように笑った。

 それを見た兵士達は唖然とする。


「なんなんだ、彼女達は…」


 それを聞いた火乃香はこう答えた。


「私達、こう見えて特査の者ですから」


 その言葉で、兵士達は驚く者もいれば、納得する者も出たと言う。

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