問題児二人、学校に行く
都市の三番街にある高等学校、この学校では、かつて桐枝が在学していた学校で、今では彼女は卒業した学校だった。そんな学校で、今日も学業が始まる。
「皆さん席について〜、朝のホームルームを始めますよー」
「はーい」
生徒達が席について、ホームルームを受ける。
「今日はこのクラスに転校生がやってきます」
それを聞くと、生徒達は転校生がどんな人なのか想像しながらガヤガヤする。
「転校生かぁ、可愛い子がいいなぁ」
「いやいや、かっこいい子がいいよ!」
「はいはい静かにする、それでは二人とも、入ってきてください」
『えっ、二人?』と生徒達が衝撃を受ける中、教室の中に、二人の新たな生徒が入ってくる。それを見た生徒達は、皆口をぽかんとさせた。
「はい、今日から彼女達が、貴方達の新しい仲間になります。では自己紹介を」
「焔月火乃香です! よろしくお願いします!」
「アンフェリア……よろしく」
生徒達から見て、片方は狐の耳と尻尾が生えた可愛い亜人、もう片方はとても綺麗な姿をした美少女だった。その姿に、生徒達は見惚れる。
「では、火乃香さんとアンフェリアさんは後ろの方の席を使ってください」
「はーい」
「分かりました」
そうして二人は後ろの方の席へと向かう。二人とも席につき、カバンから学習道具を取り出す中、ホームルームが終わり、休み時間、学生では恒例の転校生への詰め寄りタイムとなる。
「ほ、ほのかちゃん、と言ったっけ! 俺ケビン!」
「ばーか、下心見え見えなんだよ、にしても君可愛いね、どっからきたの?」
「下心見え見えなのはアンタたちじゃん…気にしないで火乃香ちゃん、男子の連中はバカだからさ」
「あはは…これからよろしくね」
火乃香は男子の方からその可愛さから大人気だった。女子にフォローされる中、男子に詰め寄られ、火乃香は困った表情を見せる。
「アンフェリアさんってなんだか素敵……ちょっと近寄りがたい所がミステリアスな所を感じる!」
「趣味とかなんなんだろう? ピアノとかやってるのかな?」
「あの美しさ、まるで天使みたい、だれかはなしてきてよ」
「……ばっかみたい」
一方でアンフェリアは女子達に大人気だった。俗に言うメロい見た目をしていて、女子達からは注目の的になっていたからだ。
何故彼女達が学校に来ることになったのか、時は数日前に遡る…。
ーーー
『学校?』
学校と聞いて疑問を浮かべる火乃香とアンフェリアに、フィアネリスが答える。
「そう、学校、聞けば貴方達は、最低限の知識だけ与えられ、まともに学問を学んだことがないと聞きました」
「それは…」
「確かにそうですけど」
フィアネリスの言葉に、二人は何も言い返せない。
「火乃香さんは学校のない破滅した未来から来て、アンは堕天してからは引きこもり生活、いくら基礎教養がなっていても私としてはこれからが不安です。そこで、貴方達には学校に行って学業に励んでいただきます」
ぱんっと手を叩き、フィアネリスはにっこり笑う。その後、あの手この手の手続きを受けて、二人はこうして学校に入ったのだった。
ーーー
と言うわけで話を戻して、今は授業の時間、皆が授業を受ける中、火乃香は窓際の席でポカポカとした陽気に当てられながらぐっすり寝て、アンフェリアは隠れてレトロゲームをする。勉強をさせて二人の成長を促す、そういうフィアネリスの狙いなど知ったことかと言わんばかりに二人は過ごしていた。
「火乃香、起きないとまずいんじゃ」
「そう言うアンもゲーム辞めたら?」
互いにそんな会話をするが巧妙にも互いに幻惑魔法で先生にバレないようにしている。
火乃香とアンフェリアの関係だが、二人は神癒奈とフィアネリスの映し身のような関係で主従関係こそないものの、精神年齢的に近く、すぐに仲良くなった。休みの日には、二人で買い物に出かけたりするほどの仲になったらしい。
「火乃香、パス」
「うん! 決めるから!」
続いて体育の時間、バスケをしていたが、火乃香がアンフェリアからパスを受けると、男子の間を縫うように通っていき、そのままダンクを決めた。
「すっげぇ、ブロックを全部かわして決めやがった」
皆から称賛される中、火乃香とアンフェリアはナイスプレーとハイタッチする。
「やったね! アン!」
「火乃香もナイスゴール」
息のあったプレーで、火乃香とアンフェリアは二人仲良く笑う。唯一体育の時間は二人伸び伸びとしていて、すごいプレーをしては皆からの憧れの的になっていた。
そうして時間はお昼休みになる。
「アン、一緒に食べよ」
「うん、そうしよっか」
火乃香とアンフェリアはカフェテリアに行き、椅子に座ると、ご飯を食べる。火乃香は家で自分で作った弁当を、アンフェリアは学食の焼きそばパンを食べていた。
「アンは焼きそばパンだけでいいの?」
「うん、私は割と省エネだから」
「でも、この前怪我した翼、まだ治ってないんでしょ、だめだよ、栄養のあるものを食べなきゃ」
「いいの、どうせすぐ治るから」
あれこれ理由をつけて断ろうとするも、火乃香はアンフェリアの方にハンバーグや卵焼きを押し付け、無理やり食べさせた。
「美味しい…」
「でしょー、私料理は得意なんだ」
「普段レトルトの管理栄養食しかたべてないから、こんな濃い味付けは久しぶりかも」
「普段の食事もダメなの⁉︎」
「話聞いてた? 普段食べてるのは管理栄養食、一日の栄養が計算された立派な健康食品なの」
ガーンと火乃香がなる中、アンフェリアが説明する。だが火乃香はイマイチ管理栄養食がなんなのか分かんなかった。
「そんなもの食べてて、美味しいとは思わないの?」
「別に不味くはないけど、味付けが薄いの」
「ふぅん、じゃあ今度ご飯作りに行ってあげよっか?」
「本当に? 助かる、食費が浮くから」
「ご飯の味とか求めてないの⁉︎」
再びガーンと火乃香は悲しむ。いちいちうるさい子だなぁとアンフェリアはおもうが、焼きそばパンを食べ終わると、自販機で栄養ジュースを買ってきた。
「体に悪いよう、そんなの飲んだら」
「大丈夫、ビタミンCたっぷりで、滋養強壮にもなるから」
「アンの食生活、心配になってくるなぁ」
火乃香がそう言うが、アンフェリアは気にせずごくごくのむ。そして飲み終えるとプラシーボ効果が、元気一杯になり、力を込めるのだった。
「これで午後の授業も頑張れる」
「どうせサボるくせに」
「体育の時間以外ずっと寝てたあんたに言われたくはない」
こうして二人は学校生活初日を(ある意味)楽しみ、一日を豊かに過ごしたのだった……が、四課のオフィスに行ったらフィアネリスに怒られたのは、言うまでもない。




