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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第二章 造られたもう一人の天使

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翼二つ、高く羽ばたいて

【ボギーが接近中! フィアネリス、状況の確認をお願いできますか?】

「彼女達は敵です。オメガの汚染体。ここで撃墜します!」

「撃墜するって、嘘でしょ!」


 アンフェリアが驚いて顔を青くするが、フィアネリスは彼女をつかむと無理やり引っ張って飛んだ、次の瞬間、汚染体の天使から射撃が飛んでくる。


「うわぁあああああっ!」


 弾幕が飛ぶ中、フィアネリスとアンフェリアはフォースバリアを駆使して防ぎながら飛ぶ。


「まずい、振り切れません! このままだと追いつかれます! アンフェリア! 手を離します! これより戦闘になりますので生き残ってください!」

「生き残ってって⁉︎ 無茶言わないでよ!」

「もたもた飛んでると墜とされますよ! これは実戦なんです! 健闘を祈ります!」

「ちょっと! 待ってってば!」


 二人は別れ、次の瞬間、アンフェリアに汚染体が二体接近してきた。

 その姿を見た時、フィアネリスに見せられた映像を思い出す。


「く、来るな!」


 汚染体の射撃が飛んでくる。それをフォースシールドビットで防ぎ、彼女は飛び始めた。


「……来てる! しかも、私より速い!」


 向こうは汚染された体をフル活用しているのか、高いGがかかる飛行も平然と行っていた。アンフェリアは追いかけてくる二体から必死になって逃げるが、食らいつかれて離せない。


「どうすれば、ええと、こういう時、飛行機のゲームだと…何したっけ!」


 アンフェリアは考える。どうすれば、この状況を打開できるか。そして、手を思い付いた。

 汚染体が脚部のミサイルポッドから、ミサイルを数発発射する。アンフェリアはそれを見ると雲海の雲の中に体を突っ込んだ。

 汚染体はそれを追いかけては雲に飛び込む、雲の中は冷たく、ミサイルのロックが定まらず、アンフェリアがGをかけて急旋回し、フレアを炊くと振り切れた。

 そして、雲から出てくるが、出てくると状況は反転して、アンフェリアが後ろを取っていた。


「ガン斉射!」


 フォースシールドビットからガンを射撃し、一体を撃ち抜く。一体はそのまま空中から落下していき、隙を見せた。


「墜ちろぉおおおっ!」


 バスターライフルをアックスモードにするとオメガの汚染体の一人を核ごと真っ二つに両断した。それにより一体が霧散しアンフェリアの方は、残すは後一体になる。


「敵一体を撃破!」

【気を抜かず! もう一体の撃破を!】

「分かってる!」


 フィアネリスからの指示に、アンフェリアは聞くともう一体を追従するのだった。


 ーーー


 一方で、フィアネリスの方では二体と同時にドッグファイトを繰り広げていた。


「ミサイル発射!」


 多弾頭ミサイルを撃つが、汚染体達が装備するビットがミサイルを捉えるとそれを撃ち抜いて破壊する。


「敵は我々とは違う系統の装備をしています! 画像データを送ります!」


 フィアネリスが自身の目で見た映像を画像として天界の天使達に送る。それを見た指揮官の天使が言った。


【敵の装備は、我々のフォース技術とは違う、ビットに突出した技術を持っています、ビット性能では向こうのほうが上です、ですが、防御手段であるフォースバリアなどの技術は見られません、波動砲を使わずとも、ガンで墜とせます】

「それならば!」


 フィアネリスはガンで汚染体の一体を狙うが、次の瞬間、汚染体が急ブレーキをかけると体勢を上に上げ、フィアネリスの背後を取った。


「コブラ軌道⁉︎ 普通の天使の体なら翼に負荷がかかる行為を、平然と⁉︎」

【挟まれてます! 注意を!】


 前方と後方の敵からガンとビットの射撃をされるフィアネリス。だが、フィアネリスは奴らのその上を行った。


「そっちがコブラなら、こっちは!」


 フィアネリスは敵と同じように急ブレーキをかけると体を反らせ、背後に向いた、そしてそのまま、飛んできた汚染体を仰向けで切り裂く。飛んできた勢いで両断された汚染体一体は、そのまま霧散した。


【クルビット軌道! 流石はフィアネリス!】

「後一体です!」


 残す一体が、ビットを撃ちながらフィアネリスから逃げるように飛ぶ。フィアネリスがそれを追いかけて撃つが。ビットに阻まれた。


「ちぃっ!」


 速度を上げ、追いかけるが、向こうの身体の耐久力が上回っているのか、なかなか追いつけずにいた。そこで、フィアネリスは一度相手から離れる。相手は旋回し、フィアネリスと正面を向きあった。


「ヘッドオンで墜とす!」


 汚染体がビットを射撃しながらも近づく中、フィアネリスと火器を斉射しながら近づく。そして、互いがぶつかる距離となり、向こうが剣を抜くとフィアネリスは言った。


「貴方を試します! ホワイトレクイエム!」


 自身が持つ機剣の名を言うと、フィアネリスは汚染体と剣を合わせた。次の瞬間、相手の剣がバラバラに砕け散ると、そのままフィアネリスに切断され、相手は撃墜される。


「二体撃破!」

【こちらでも把握しました! 後はアンフェリアの一体だけです!」

「了解!」


 遠くでの戦闘の光景を見ると、フィアネリスはすぐさま彼女の元へと向かった。


 ーーー


 そして、アンフェリアの方に視点を戻すと、激しい攻防戦を繰り広げていた。


「いい加減! 墜ちてよ!」


 アンフェリアがバスターライフルを撃ち続けるも、汚染体は避けては反撃のガンを撃つ。アンフェリアも防御するが、戦闘は互いに食いつき、離れてを繰り返していた。

 しかし、互いに雲の中に入ると、姿が分からなくなる。


「どこに⁉︎」


 アンフェリアは飛びながら敵を探す、HUDのレーダーには敵が映らない。雲の中からでると、彼女は敵の姿を探した。すると敵は、自身の真上から奇襲を仕掛けてきた。


「痛っ!」


 ガンで射撃され、アンフェリアの翼の一枚が損傷する。速度が落ちかけるが、彼女は気合で立て直し、飛行を続けた。どうやら敵が映らないのは、自身のレーダーと敵が重なっていたかららしい。彼女はそれに気づいて飛び続けるが、背後はずっと取られている。

 フレアの残弾もゼロになっていて、次ミサイルを撃たれたらまずい状況になっていた。


「こうなったら、一か八か!」


 アンフェリアは速度を落とすと。わざと敵の射程内に入る真似をする。敵はここぞとばかりガンを撃ってきた。が、アンフェリアは次の瞬間急旋回をすると、見事な宙返りを見せ、敵の真上をとった。


「獲った!」


 バスターライフルが撃たれ、敵の翼がもがれる。敵は飛行できなくなり、落下していくが、アンフェリアが追撃でアックスで両断すると、二体目も霧散した。


「やった、あたし……勝てたんだ…」


 アンフェリアは喜ぶが、その時、彼女の翼が破損し、羽を撒い散らせながら落ちていく。


「無理……しすぎちゃったかな、ガラにもないことをして」


 このままだと海水に叩きつけられるが、彼女は残った翼で飛ぼうとするも、高度はどんどん落ちていく。その時だった。彼女の手を掴み、引き上げる者がいた。


「アンフェリア! 無事ですか!」


 フィアネリスがアンフェリアを持っては引き上げる。落ちかけていた高度はどんどんあがり、アンフェリアはなんとか生存した。


「ファースト……どうして?」

「どうしても何も、貴方は私のバディじゃないですか、助けに来たんですよ。ですが、貴方は初の実戦で、たった一人で、二体撃破を成し遂げたのですね。お見事です」

「……どうも」


 恥ずかしそうにパーカーのフードを下ろすアンフェリア。だが、フィアネリスの見せた笑顔は、以前見せたような底の見えない恐ろしい笑顔というより、頑張った後輩に見せる、優しい笑顔に見えたのだった。

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