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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二部第二章 造られたもう一人の天使

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模擬戦

 カタパルトから飛び出し、フィアネリスとアンフェリアは高速で雲海の中を飛ぶ。


「うぅうううっ!」

「もしや、飛ぶのは初めてですか?」

「今まで飛んだことなんて、数回しか、ない!」


 アンフェリアはそう言いつつ、飛行時の挙動を制御する。

 フィアネリスのカーテンコールと比べると、アンフェリアのサイレンスハウルは武装に比重を置いた、スマートな装備だった。フィアネリスが全身を覆う甲冑と例えるなら、アンフェリアはバイタルポイントだけを抑える軽装といったところだ。

 初めて装備して飛行するため、不安定な挙動でアンフェリアは飛行していくが、やがて慣れていったのか、まっすぐ飛べるくらいには矯正される。

 そして、雲海を乗り越え、海と空がよく見える場所に到着すると、二人は急ブレーキをかける。


【飛行時の挙動はクリア、軽装な分、やや風や大気に流されやすいか?、次は戦闘のテストを行う、フィアネリスとアンフェリアはこれより二人で模擬戦を行うように】

「かしこまりました」

「えっ⁉︎ 模擬戦って、まさか、ファーストと戦うの⁉︎」


 アンフェリアは目の前でフル装備のフィアネリスに対し、急に戦えと言われて困惑する。だが、フィアネリスは待ってくれなかった。


「行きますよ」

「えっ!」


 フィアネリスが突然攻撃してきた事に驚き、アンフェリアは手と武器であるバスターライフルで体を守ろうとする。すると、彼女の相場のうちの一つ、六枚のフォースシールドビットが、フィアネリスの攻撃を弾いた。


【フォースシールドビット、並びにフォースバリア、正常に起動、続けてください】

「はい!」

「ちょっ! 待ってってば!」

「待ちません!」


 フィアネリスは剣で何度も斬り込むが、フォースシールドビットに阻まれる。アンフェリアはただひたすら防ぐだけで、状況は動かなかった。


【ただ守るだけではテストになりません、フィアネリス、次の攻撃方法を試してください】

「では…これで!」


 フィアネリスはサイビットを飛ばすと、アンフェリアの後ろへ回り込ませ、ビーム刃で切り掛かる。


「なっ⁉︎」


 すぐさま回避軌道を取り、サイビットをスレスレでかわす。アンフェリアはそのまま空を飛行していき、後ろを振り向くとフィアネリスを捉えた。


「やらなきゃならないんでしょ!」


 そうしてアンフェリアはバスターライフルを撃とうとするが、フィアネリスに照準を向けた途端、トリガーがロックされた。


「あ、あれ? 武装のセーフティは解除したはずなのに⁉︎」

「IFFを切ってなかったでしょう!」

「きゃあっ!」


 フィアネリスが剣から波動砲を撃つと、アンフェリアは吹き飛ばされた。空中から自由落下していくが、途中で体勢を立て直すと、水上を飛行しシステムのIFFを触る。


「IFFカット、これで!」


 アンフェリアがバスターライフルを構えると、フィアネリスに向けて撃った。極太のビームがフィアネリスに向けて飛ぶが、彼女は容易く回避すると、アンフェリアに銃口を向ける。


「外れた⁉︎ もう一度!」


 フィアネリスとアンフェリア、二人の砲撃が交差し、攻撃が二人を掠める。


「これ模擬戦だよね⁉︎ なんで実弾で撃ってるの⁉︎」

【サイレンスハウルの性能テストですので、模擬弾では性能を測れません、ですので本テストは実弾で行なってます】

「ふざけんな! それって、当たったら死ぬってことじゃん!」


 アンフェリアは文句を言いながらも砲撃を続ける、だがフィアネリスはそれをひらりとかわし続けながらアンフェリアを追従する。


【砲撃精度に難があります、もっとよく狙ってください】

「んなことやってるよ! でもファーストが避けるから!」


 そう言っていると、視界内のHUDにWarningと文字が出る。フィアネリスがフォースシールドを射出し、脚部から多弾頭ミサイルを撃ってきた。


【フォースシールドビットの射撃で迎撃してください】

「……あーもう!」


 アンフェリアがフォースシールドビットからガンを射撃し、ミサイルを迎撃する、全弾撃墜するも、フィアネリスのフォースシールドが迫ってきていた。


【盾による攻撃が接近してきています、バスターライフルをアックスモードにして弾き返してください】

「このっ!」


 アンフェリアはバスターライフルを変形させ、斧を展開させると、フォースシールドを弾き返した。


【バーストモードを使用してください】

「バーストって何⁉︎」

【口頭でコマンドを入力するのです】

「ええと、バーストモード!」


 すると、フォースシールドビット六枚が重なり合い、一つの力場を形成するそして、アンフェリアは銃口をフィアネリスに向けると叫んだ。


「なんとかなれー!」


 トリガーを引くと、最大火力のバスターライフルが砲撃され、力場を通ると、巨大なビームが放たれる。


「っ!」


 フィアネリスがバレルロールをすると、攻撃を回避してみせる。ビームが途切れると、アンフェリアはもう一度砲撃しようとするが、ビームが出ない。


「今度は何⁉︎」

【バーストモードの使用で、エネルギーが一時的に尽きてしまったようです、再チャージまで30秒】

「30秒って…ちょっと!」


 そう言ってる間にフィアネリスが迫り、剣で斬られる。フォースシールドビットで再び防ぐが、先程より防御が甘く見えた。


【フォースバリアも不安定、こちらもバーストモードの使用でエネルギーが尽きたのでしょうか】

「欠陥だらけじゃんこの装備!」


 アンフェリアが盾でフィアネリスを弾き返すと、アックスモードにし、フィアネリスに切り掛かる。


「これでも食らえぇえええっ!」

「その意気です!」


 鍔迫り合いになり、互いに武器をこすりつけ合う状態に。だが、フィアネリスが一枚上手だったか、サイビットが再び飛び、アンフェリアを捉えた。その時だった。


【そこまで、テストは終了とします。戦闘データは収集できました。二人とも、お疲れ様です】

「…終わった?」

「はい、終わりました」


 そう聞くと、アンフェリアから緊張が解け、互いに武器を下ろす。


【フィアネリス、貴方から見て、彼女の戦闘のセンスはどう思いましたか?】

「まだまだひよっ子ですね、今後に期待です」


 フィアネリスはテストの指揮官にそう告げると、アンフェリアと共に空高く飛び上がり、再び雲海の中へと戻っていく。


「はぁ…疲れた」

「模擬戦とはいえ初めての戦闘、緊張したでしょう? 帰ったら何か奢りますよ」

「そりゃどうも」


 そうして二人は飛んでいくが、その時、通信が入った。


【これは……! 警告! 当空域において謎の力場が発生! 何かが出てきます!】

「っ!」


 フィアネリスは反応があった方を向く。すると、そこには以前見かけた黒いもやがあった。


「次元転移反応!」

「次元転移? 待って待って、聞いてないんだけど! これもテスト、だよね⁉︎」

「いいえ、違います。これはテストじゃありません」


 次の瞬間、黒いもやから空域内に侵食された天使の模倣体が四体現れては編隊を組んで飛んできた。


「実戦です」

「…嘘?」


 フィアネリスのその言葉と共に、アンフェリアは顔を青ざめるのだった。

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