何も無い初戦果
オメガを倒し、永戸達は無事に帰還した、トラックは少しダメになったが、修理すれば治るのでよしとして、永戸達は、フィアネリスが記録した映像を、確認して行く。
「これがオメガ……このような生命体が、何千、何万、何億と存在するのかね?」
「はい、そうです」
それを聞いて、永戸達は冷や汗をかいた。
「さっき話してた、取り込むまでは無敵って言ってたよな、つまりは」
「あいつらは、全てを食い尽くすまで止まらない。何億といるあいつらが、やがてこちらの世界にやってきて、世界を食い散らかし始める」
永戸は息を呑み、火乃香に聞いた。
「ゲル状のあいつらを先に倒す手段はないのか?」
「残念だけど、現状は…ないよ」
これは困った所ではない。倒す手段がなく、一度捕食するまで弱点を見せない相手、それが何億といるのだ、単純な特性と物量の差で勝ち目がない。
「アレから何か得られたサンプルなどはないのかね?」
「…残念ながら、一つも」
フィアネリスは現場の映像を見せるが。死んでも最後まで徹底されてるのか、死体のかけら一つすらなかった。それにユリウスは悩む。
「現状、有効な弱点が見つからない、弱点を探そうにも見つけようがない、ふむ、これは、詰みの状況かね」
ユリウスがチェスの駒を手に、次の手に悩む。すると火乃香はこんなことも言い出した。
「向こうの世界で試せる手段は全部試しました。あらゆるエレメントによる攻撃、魔術、妖術、神術、試せる方法は全て、でも奴らは、ゲル状の姿だと、どのような手段を用いてもたおすことができません」
「なら…何とか…奴らを取り込ませずに捕獲することはできないのかね」
「それも試しましたが、全て食い破られました。奴らは、あの姿だと、無敵なんです」
その言葉に、ユリウスはふーむと悩む。
「現状の救いは、奴らが本格的にこちらを探知する前に、早期に倒せたことです。おそらくあの個体は、こちらを攻めてくる時の斥候にすぎません」
「つまり、まだ時間があると?」
「そういうことです」
そう聞いて、ユリウスの表情が緩み、微笑んだ。
「なら、調査する時間はあるね。奴らについてはこちらでも調査しておく、君たちは、今日はもう帰って休みなさい」
「分かりました。帰るぞ」
永戸がそう指示すると、はーいと言っては皆帰宅準備に入る。本当にこんな感じでいいんだろうかと火乃香は思うが、フィアネリスが火乃香の肩に手を置き言った。
「今は、大人達を信じてみてください、子供のあなたには、少々身が重すぎますから」
「……うん、そうする」
こうしてオメガとの初戦闘を終え、永戸達は、これからの戦いの予感に、士気を整えていくのだった。




