温泉③
私は一人温泉から出ていた、なぜならもうやることがなかったからだ。
一人でいた私に浮かんだ考えは、温泉という場所に行って私は何を得られたのだろうか?そんなものだった。少し考え、2つ思い浮かんだ、少し心が和らいだ気がしたこと、そして自分が死んでしまっているかもしれないことへの確信だ、この事実は少し悲しい、というかなぜ私はここに存在しているのだろうか、ここはいわゆる死後の世界というものなのだろうか?そんなことを考えていると、後ろから肩を叩かれる、振り返ると
「お待たせ!雪花ちゃん」
「待たせたな雪花」
ニオとグリムがいた。
「全然大丈夫だ、あとグリム、なれなれしく呼ぶのはやめろ。」
「いいじゃねえか、裸の付き合いってやつだよ」
「そうだよ~グリムさんはいい人なんだから」
全然理由になってない、そんなことを言いたかったがニオのことを考えると私はそういえなくなる。
「お風呂上りだったら、あれしない?雪花ちゃん」
「あれ?あれってなんだ?」
「あれだよ、毎回飲むじゃん」
「飲む??」
とてつもなく悩んでいると予想外のやつから答えが出る。
「牛乳だろ、誰だってわかるぜ、まさか雪花わからなかったのか?」
唐突な返事だったため少し反応が遅れるが返答を返す
「牛乳か知っているぞ、じゃあ飲もう」
「おいおい待てよ雪花、お前牛乳知らないだろ」
急にかましてきたグリムに少ししていた感謝を取り下げ私は
「知らないわけないじゃないか、」
と咄嗟に返してしまった、正直こんな知ったかぶりは恥ずかしい行いだ、するだけただ虚しいだけ、そう思っていたのだが、不思議とこいつに対しては弱みというものを見せたくないそう思ってしまった。
「おいおいおい本当かよ、まあいい飲もうぜ牛乳」
私が知らないことを察したのか、この状況をグリムが終わらしてきた、もう止まる意味もないので私はこう返した
「いいぞ、じゃあ飲もう」
「じゃ、何飲む?雪花ちゃん」
「え、何って牛乳じゃないのか?」
「あれぇ?知ってるんじゃなかったのか?雪花」
こいつ…と思いながら私は再び悩む、こいつに何度感情の起伏を使わなければならないのだろうか、という考えが先に浮かんだが、牛乳について悩むことにした、まず最初に周りを見渡した、見つかったのは自販機牛乳がたくさん並んでいる自販機だ。中にはフルーツ牛乳、コーヒー牛乳、いちご牛乳、牛乳、といろいろな種類があったのだ、それが分かった私はニオに
「じゃあ牛乳を飲む。」
そう返した、そうするとニオが
「え?普通の牛乳でいいの?温泉に来たならフルーツ牛乳一択じゃない?」
また新たな疑問が増えてしまう、知ったかしている私からすると修羅場でしかない。
どうするべきか考えていると
「まあ普通の牛乳もいいんじゃねえか?私はコーヒー牛乳にするけどな」
「えーコーヒー牛乳にするの?グリムさん、じゃあ私も!」
そのグリムの発言に、私は驚いた顔をしてグリムの方を向いてしまった、そうするとグリムはこちらに向かってウィンクをしてきた、正直気持ちが悪かったが、今は感謝するしかないだろう。
「じゃあ牛乳買うね、雪花ちゃん」
「おいまてこの場の支払いは俺に任せな、年下が目の前にいると払いたくて仕方なくなっちまう」
「いいんですかグリムさん」
「いいぞ」
ピッっと音が鳴り自販機から3つの牛乳が出てくる
「どうぞニオ」
そういってコーヒー牛乳をニオに渡した
「ありがとうございます!グリムさん!」
「じゃあはどうぞ、雪花ちゃん」
謎にちゃんをつけわたしには牛乳が手渡される、それに私は
「感謝する」
そう宣言をした後みんなで牛乳を飲み始める
「いただきまーす、これ甘くておいしい!」
「そうだろ、コーヒー牛乳が一番なんだよやっぱり」
二人がそんな会話を交わしている横で私も牛乳を飲み始めた、飲んでみたがやはりみんなが味わっているような味は感じない、正直この事実はとても悲しいものだ、なぜ感じれないのだろうか、過去の記憶すらないのは不自然でしかない、私の体が動くうちにこの真相がわかればいいのだが。
そんなことを思いながら私は牛乳を飲み干すのだった




