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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第5章 その2『RDW+RTA+ADV ~鈴木の大冒険(アドベンチャーゲーム)~』

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31 鳳凰暦2020年8月21日 金曜日 国立ヨモツ大学附属高等学校1年職員室(1)



「佐原先生、お忙しいところ、すみません」


 声をかけられたわし――佐原秀樹が顔を上げると、そこには生徒指導担当の岩崎先生がいた。その手にはA4サイズのバインダーがある。


「どうしました? 岩崎先生?」

「生徒配布文書の確認をお願いします。これです」

「ああ、あれですか……わしが見る必要はないのでは? もう職員会議も通ったものですが?」

「校長からの指示なのでそのへんは……申し訳ないですが」

「そうですか」


 すでに職員会議を通過している内容だ。

 教頭ならともかく、わしが見る必要はないと個人的には思う。

 ただ、この件にわしが深く関わっているという意味では、これも仕方がない仕事なのだろう。


 ……どこまでも鈴木に巻き込まれとるな。陵でもこんなことはなかったぞ。


 受け取ったバインダーにはさんである文書に目を通す。

 面倒だという気持ちは抑えて、誤字や脱字だけでなく内容もしっかりと確認する。こういったものはどこかに見落としがあるものだ。

 何人も見たのに、配ったものに誤字がある、なんてことも起きる。


「……結局、1年部としては佐原先生が適任ということで? そういう判断なんですか?」

「まあ、今、副担任をやっとる先生方は来年度からという形がよかろうし……人数が少ないから兼務の負担もそこまではないはず……」


 新設される特進コースの0年度……現在の1年生から選抜される8人だけの担任を誰にするのかという話は、いろいろとモメた。

 モメたというか……誰かがやりたいと思うものではなかったと言うべきか……あまりにも予想外すぎたのだ。先生方にとっては。


 現在、すでにどこかのクラスの担任をしている先生はそもそも候補にならない。今の担任を外すのは不自然だからな。

 つまり、副担任か、学年部所属の教科担当から選ぶ話だ。


 ……まあ、現状で副担任になっとる先生に、特進なんぞをいきなり任せるのは無理な話だというのも理解できる。そんな力や余裕があるんなら最初から副担任にはなっとらん。


 結局、この話にもっともくわしい学年主任のわしが兼務する形に落ち着いた。誰かにやらんかと声をかけて、いざ自分となったら……そりゃ、やらんとは言えん。


 ただし、来年度の担任は必ず別の誰かになるという取り決めのもとで、だ。そこだけははっきりとさせておいた。今回はあくまでも特別なこと……のはず。


 さすがに来年も学年主任との兼務はしたくない。


 ……陵がいた頃、毎年おかしな立場に変化したな、そういえば。まさかこの学年もそういうことになるんじゃなかろうな?


 嫌な予感がしたので、軽く頭を振ってわしはその考えを追い出した。


「……てっきり、0年度生は鈴木たちがそのままなんだと考えてましたよ……その方が話は早いだろうに」


 岩崎先生から見ると、それが効率がいいのか。

 後藤教授は……もっとがめついというべきか。上の判断だから何を言っても変わらん部分ではあるが。


「そのへんは大学側の要望だったもので。むしろ、1年生全体に投げかけた上で鈴木たちが選ばれたらデキレースだという批判を受けそうな気がしますな、わしは」

「そういう見方もありますね……確かに、生徒から見ると当然、鈴木たちが選ばれると考える、か……」


 後藤教授としては……鈴木たちを0年度生として受け入れて40%の吸い上げがないというのは避けたかったのだろう。

 鈴木たちではない0年度生を集めて、最初から40%の吸い上げを組み込む。

 0年度生に鈴木たちが入ると、吸い上げられる後輩に対して吸い上げられていない先輩という、不公平な見え方になることも問題点ではあった。


 ……収入面でのカバーという点の方が、後藤教授には重要だったとは思うが。


 想定していた買取金額の倍くらいは支払うことになったのだ。可能な限り早く、赤字となる期間を減らしたいという後藤教授の気持ちは理解できる。


 それに……わしとしても、特進0年度生の担任になって鈴木の相手をしたいとは思わん。

 そういう意味でも、0年度生が鈴木以外になるというのはいいだろう。


「……1年のトップクラスの子たち、本当に希望しないと思いますか?」

「40%の吸い上げについては明言しとりますからな。すでに犬ダンで稼ぎ始めとる者にとっては大きなマイナス要因だろうと思うんだが……」


 犬ダンの4層4000円が2400円、5層5000円が3000円になるのは懐が痛むはずだ。

 特に……1組の、鈴木のアレを喰らった連中は。


「基本方針の『退学』がなくなるので、4組や3組の完全に出遅れている子たちが希望すればいいんですけど……そっちはそっちで『特進』とか言われたら怖がって希望しないなんてことも考えられませんか?」


「4組では伊集院先生が個別に後押しする予定にはしとります。そういう発言をさせると公平性には欠けますが、まあ、そのくらいならいいでしょう。心配だからという理由づけもできる」

「まあ生徒には『希望者から職員会議で選抜』としか伝えませんからね……くわしい選抜の基準は示してないですし。まさか、成績が悪い者から選ぶとは生徒も思わないでしょうし……」


 そうなのだ。

 ウチの校長はそのへんが優しいといえる。


 ……新たな特進コースが退学にならない仕組みなら、退学になりそうな者を救いたいというのだからな。






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