第4話 探す
精神保健福祉手帳を取得したからと言って、それまでの不安や心配がなくなるわけでもない。
そして、僕は高校を卒業した。統合失調症はよくなっていない。進路は決まっていない。元々大学に進学する気もなかったし専門学校に行って学びたいこともなかった。母さんはとりあえず進学してほしかったようだったが、学力よりも、体調が許さなかった。
受験勉強をすればするほど不安は強まり別の精神疾患を併発していた。毎日毎日不安で不安がピークを迎えれば呼吸が荒くなる。
1年。
高校卒業後、1年はゆっくりしていいということだった。
卒業してすぐは文字通りゆっくり。好きなマンガを読みに読んだ。ファンタジーから日常系までなんでもありに手持ちのマンガを読んだ。
ただ、小遣い制度は廃止され、この金額を渡すから光熱費以外のすべてをここから使うようにとなった。昔からの悪い癖で手元にお金があればバンバン使うのだ。
いつの頃からか携帯電話からスマートフォンに移行した。格安スマートフォン端末に変えた。その頃には手元のお金は2万円で残り4か月だ。
「母さん、就職がんばるよ!」
そう、僕は高卒で働ける正社員求人から働こうとした。まだ、僕は障害者雇用というものを知らなかった。まずは、有名な転職サイトに登録して探してみた。何個かいい感じの求人に応募した。書類選考すら何処も通らず、だいぶ経った。
今日は診察の日だ。
「……お仕事見つかりましたか?」
主治医が聞いてきた。僕は不思議だった。なぜ、医療職の先生が労働のことを聞いてくるのだろう?
「……有名な転職サイトに応募してるんですけど、どこも書類選考から通らなくて……」
「ふむ、めんどくさいかとしれませんが、1度当院のケースワーカーに話してください」
ケースワーカーさんと精神保健福祉手帳取得の相談以来の面談となった。ケースワーカーさんが使っている面談室に入った。事情を話した。
「……なるほど、元々先生からはうちのリハビリ施設を利用してから体調が安定してきた頃から働くのを勧める気でした」
「はぁ……」
何かとんでもない提案されそうな気がしてきた。
「その労働意欲の高さから勧めたい制度があります。就労移行支援という制度を使う事業所なんです」
「就労移行支援……?」
「そうですね、障害を持っている方や難病の方たちが利用する制度で、ある程度の期間訓練して一般企業を目指しましょうという感じなんです」
「なるほど」
ケースワーカーさんとの面談は終わり、就労移行支援制度をしっかり検索しようと思った。
帰り道のバスの中でブラウザで制度の名前を入れて検索した。ケースワーカーさんの言うような制度で、いくつもの障害福祉のサイトに書かれている。さらに不思議なものでよく似た制度で『就労継続支援』というものがあった。
就労継続支援A型は最低賃金は保証されていて、B型は工賃という賃金だそうだ。僕はまず就労移行支援に通おうと思った。
高校を卒業して1年も経っている。先々月から母さんも父さんも早く働くよう言ってくる。両親が揃っているときに事情を説明した。2人とも早く働けるなら何でもいいということだった。
第5話 謝る




