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【書籍化決定】ねえ親友。今日もキス、しよっか?  作者: ゆめいげつ
最終章 俺たちは幸せなキスをする

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第324話 『脱がないのか?』

「どうした赤堀! 脱がないのか?」

「待て待て待て待て待て待てっ!?」


 長谷川がシャツを脱ぎ、上半身裸になった。

 それだけならまだ良い。

 問題なのはこの部屋に早霧とゆずるが隠れていて、しかもゆずるが長谷川の真後ろ……机の下に隠れているからだ。


「~! ~! ~~!?」


 ゆずるが言葉にならない悲鳴を上げている。

 暗いのでよく見えないが、きっと顔が真っ赤になっている事だろう。

 想い人が突然無防備に脱ぎだしたら、誰だってそうなる。


 俺も朝、そうなったから……。


「なんだ赤堀? ふっ、まさか俺の鍛え抜かれた肉体に見惚れたか?」

「どういう解釈してるんだお前は!?」

「まあ隠すようなものじゃないしな、もっと見て良いぞ!!」

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!??」


 隠せー!!

 そう口に出して叫びたかった。

 後ろで悶絶してるゆずるが見えないのか! 見えないよな! 隠れてるから!!

 

 心の中でそうツッコんでも長谷川は止まらない。

 浴衣効果か男だけだと思い込んでいるからか、ヤバい意味でポジティブモンスターになっていた。


「安心しろ赤堀。浴衣の着付けは爺さんにしっかり叩きつけられてきた!」


 ――パサッ!

 そう言う長谷川が立ち上がって、履いていた半ズボンのジャージを豪快に脱ぐ。


「――――」


 ゆずるが、石像になった。

 完全に固まってしまっている。

 長谷川が立ってくれたおかげで、両足の隙間からゆずるが良く見えるのだ。

 

 多分ゆずるの視界には長谷川の鍛え抜かれた両足、主にふくらはぎとかが広がっているのだろう。

 シンプルな無地のボクサーパンツまで見えていたら、多分大変な事になっていた。


 俺は見えてると言うか長谷川が隠していないだけだが、男なので問題ない。


「という訳で赤堀! せっかく譲り受けた浴衣だ! まずは俺達で着こなしをチェックして、ゆずるちゃんと八雲ちゃんを驚かせようぜ!!」


 パンツ一丁の男が爽やかに笑う。

 もうゆずるは驚いて固まってるんだよと言いたい。


 だが言えない。

 だってゆずるは純粋だし、長谷川だって純粋だ。


 この事実を二人が知ったらそれこそ気まずくなってしまうかもしれない。

 幸か不幸か、これぐらいなら早霧は慣れてるから安心――。


『…! …! …! …!』


 ――出来なかった!

 その視界の隅、ベッドの上では掛け布団に包まった早霧がモゾモゾしてる。

 蠢く掛け布団、小刻みに揺れるベッド。


 何してんだお前、何反応してるんだお前まで……!


「な、なあ長谷川……別に後でも、良くないか?」

「後? 後って、いつだ?」

「それは……」


 純粋な男の正論パンチが飛んでくる。

 確かにこのタイミングを逃したら後は神社に行ってボランティア活動を行い、終わったらそのままの流れで夏祭りにお客として参加するだろう。


 そうなると着付けをチェックするタイミングは多分無い。

 今、この瞬間、この場所が、長谷川にとっては間違いなく最適解だった。


「――――」

『!!!!』


 もちろん俺にとっては、最悪手である。

 長谷川の後ろで固まるゆずる、ベッドでモゾモゾしまくっている早霧。

 女子二人がいると分かっている状況で着替えるのはかなりハードルが高い。


 早霧だけならともかく、ゆずるもいるんだから……!


「ははーん? 分かったぞ赤堀!」

「なっ!?」


 そんな俺を見て、長谷川がニヤリと笑う。

 まさか、気づかれた!? あの長谷川にっ!?


 さ、流石にお顔をキョロキョロさせすぎたか!?


「ち、ちが……」

「学校じゃないから、恥ずかしいんだな!?」

「……は?」

「分かるぞ赤堀! 突然押し掛けたのは俺だからな!」


 ――気づかれてなかった!

 ありがとう長谷川、お前は本当に良い奴だよ!


 純粋なお前はそのままでいてくれ……!


「あ、あぁ……実は、そうなん――」

「だが安心しろ赤堀! そもそも俺達は男同士! 何も恥ずかしがる必要は無い! そう、自分の肉体をそのまま受け入れる……それが男の自分らしさじゃないか!?」


 だけどその純粋さが最大の武器だった。

 俺の言葉を遮って、この自分らしさ研究会副会長は何だかそれっぽい事をそれらしく宣言する。


 その姿は、生きざまは、魂までじぶけん副会長だった。

 後ろで固まっている会長がいなければ、俺もその男らしさに感銘を受けていたかもしれない。


「へへ、それにな……? 最近のお前と八雲ちゃんを見て、こう言うのは照れくさいんだが……」

「……なんだ?」


 そんな男らしさと自分らしさ全開のパンツ一丁大男が恥ずかしそうに鼻の下を人差し指の背で擦る。

 何を言うのか分からないが、猛烈に嫌な予感がして――。


「俺と赤堀だって、親友……だろ?」

「――蓮司の親友は私だけだよーーーーっっ!!??」

「おわああああああああっっ!?」

「――ごぴぃっ!?」


 ――ガバァッ!!

 ――ドサァッ!!

 ――ガタタッ!!


 長谷川の親友宣言。

 掛け布団をぶん投げてベッドから突然現れる早霧。

 それに腰を抜かして、床に腰から崩れ落ちる長谷川。

 倒れた長谷川の半裸を見て机に頭をぶつけるユズル。


 ……最悪の連鎖が、一瞬で巻き起こってしまったんだ。

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