親友の優しさ
「...っ。」
私は、学園内を行く宛もなく走っていた。
でも、結局、途中で走るのが疲れて歩いていた。
そのまま一人になれるところを探していると、ハーフバルコニーが目に入った。
ハーフバルコニーは、中庭を見下ろせるⅡ階にあって、誰もいなかった。
ハーフバルコニーでミネルヴァとの会話を思い出す。
多分、あのミネルヴァは、実際にはいなかった。
私が、勝手に作り出した妄想のミネルヴァだ。
多分、あいつが、あれをオリビアに言うとか言い出したからだ。
本当に、吐き気がする。
ミネルヴァもイリスもヘカテもリリスも、私が今度こそはって望んでしまったから...。
ごめん...みんな...。
「ソフィア!」
私が、4人のことを考えていると、聞き覚えのある声がⅡ階の廊下に響いた。
「オリビア...追いかけてきたんだ...。」
「あんな風に出ていかれたら、誰でも追いかけるわよ。」
「そっか...。」
「本当に大丈夫なの?」
「...うん!全然大丈夫だよ!」
「本当に?」
「......うん...。大丈夫......。」
「大丈夫じゃなさそうな顔をしているけど、それでも大丈夫だって言えるかしら?」
「...............。」
「...ソフィア、過去になにかあった?」
「...っ!なん、で...?」
「それくらいわかるわよ。」
「...あはは、流石だね。賢いオリビアらしいや...。」
「褒めてくれてありがとう。それで、過去のことは―――」
しつこく聞かれたら、誤魔化しきれないな...。
そう思って身構えていたら、オリビアが予想外の言葉を発した。
「―――言いたくないのなら、言わなくても構わないわ。」
「え?」
「言えるようになる日まで、待ってるわ。」
「......!」
「でも、いつかは言ってほしいわ。」
「...いつかわからないよ?それでも良いの?」
「それなら、言ってくれるまでずっと一緒にいるわ。」
「...............。」
どうしよう...。
言える気がしない...。
でも、折角オリビアが待ってるって言ってくれたから、応えたい...。
「―――ありがとう、オリビア。言えるか...わからないけど、オリビアの思いに応えたい。」
「そう言ってくれて嬉しいわ。」
そう言ってオリビアは私に微笑んでくれた。
「それで、帰りにカフェに行きたいのだけど...良いかしら?」
「勿論!行こっ!」
私とオリビアは隣に並びながら、校門へ向かった。
そんな私達を淡い蒼玉色の太陽が優しく照らしていた。
いつか...言える日が来るといいな...。




