戦争の火種
「やれやれ。 他国がうるさい我ら異界宗教国を邪教とは。 ふん。 まぁいい我らが天下を取るのだ」
鼻を鳴らして、異界宗教国の長バイカル法王は嘆息した。
「まぁ良い。 ネクストチルドレンが全て潰す」
独り言のように呟き、バイカル法王はワインを一口飲んだ。
二十四歳の外見をしてるが、金髪に青い瞳をした青年の実年齢は千四百である。
「異界宗教国は負けぬよ」
異界宗教国。 それは、異世界召喚人を神として崇め戦力として英雄として崇める国である。
「フッ。 これが才能と血筋による暴力よなぁ枢機卿ども」
「ええ! オウルド錬金国の血液の遺伝子の結合を操作する錬金術のおかげで強いネクストチルドレンが量産出来ましたからなぁ!」
「そうですそうです! 千國歴の初期から二百名の異世界召喚人を召喚し、他国を圧倒! さらにはその子供達はより強いスキルを発現させた! これぞ神の見技よ」
一人の枢機卿がゲラゲラ笑い、肉を頬張る。
他の枢機卿もそれに同調して頷く。
「そうですなぁ。 教皇様! 千四百年の神による守護! まさしく神の加護とはこの事ですよ」
「ええ。 ええ! 我ら異界宗教国こそがこの世界の頂点に立つべき!」
目の前にいる十五名の枢機卿。 彼らはネクストチルドレンを教育する先生にして、異界宗教内の政治を担う文官である。
無論、使えぬチルドレンは彼らの裁量で左遷をしたり始末が可能など闇が深い。
「さぁ。我らが天下を取るべく動こうではないか!」
「「おぉ!!」」
こうして枢機卿と教皇はグラスを打ち合わせて乾杯した。
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「ったく。 同期は腐っているな」
そう言いながら枢機卿の一人レラルド・ユーティスはため息を吐いた。
タバコをふかし、思考を煙と共に空に浮かす。
「あらパパどうしたの?」
くすくすと笑いながら、自身の部下であるメイベルがやって来た。
紫の髪に緑の瞳を宿した少女が現れた。
血の匂いがする事から恐らく戦場に出ていたであろう事が分かる。
「……メイベルどうした? 何かあったか?」
レラルドは席を立ちタバコを灰皿に押し付けて消し、メイベルの言葉を待った。
「ええパパ。 どうやらオウルド錬金国が動いてるらしいわ。 あそこのケーキと紅茶美味しいから少ーし、掃除して来たわ。 ゴミ掃除してきたの」
そう言いながら、メイベルはニコニコ笑っている。
どうやら良い収穫があったようだ。 長年付き合って来たレラルドにはメイベルが現在とてつもなく期限が良い事が察せた。
「……その緩んだ頬を見れば分かる。 何か面白い子でも見つけたか」
「ええ! シノビの子を見つけたわ。 とても強そう。 うちのネクストチルドレンと引けを取らない程の!」
「……そうか気をつけろよ?」
そう言いながら、レラルドは湯を沸かしてインスタントコーヒーを飲む。
苦味が舌と胃を満たして、目が冴える。
「私にも貰えますか? レラルド長官」
「ヘレナちゃんにもくださいな!!」
すると、扉から金髪に赤い目をした少女と白とピンクのビスチェにピンク色の髪をツインテールにし、ピンクの瞳を宿した女の子がやって来た。
「……久しぶりだな。 アシュリット。 ヘレナ」
「はい。 魔獣退治終えました」
「ヘレナちゃんへとへとですぅ。 プンプン」
レラルドの言葉にアシュリットは敬礼し、ヘレナどこか猫を被るように気だるげな口調で返事を返した。
「それで次の任務はどうするの? パパ」
「そうだな。 どうやら上がバリエンツに侵攻して物資を奪う予定らしい」
「……それって」
レラルドの言葉に、アシュリットが眉を寄せた。
「ああ。 全面戦争になるだろうな大規模な」
そう告げて、レラルドはコーヒーを飲み干して夕焼けを窓から見つめた。
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「いらっしゃいませ! 何名ですか? 四名ですね分かりました! ティルナおしぼり出して!」
「わ、分かった!!」
一方タマキは、倉庫での暗闘から二週間後目覚めたティルナと共に娼婦館ジョルジュでホールの役割をしていた。
相変わらず娼婦を取ろうとする人。 食事をする人。 商売をする人などたくさんの人がこの娼婦館ジョルジュにはやってくる。
「ティルナ覚えるの早いね」
「ソウルスキルの冷静参謀-チンチャクーがあるからね」
そう言ってティルナはウィンクをしてテキパキと動く。
こう言った細かい事はタマキは得意なのだが母親と共に家事を手伝っていたティルナの方がより丁寧に素早く出来る。
それに嫉妬する事もあるがタマキは仕方ないと思っている。 ティルナは村娘で自分はシノビだ得意分野が違うのは当たり前なのだ。
「それで? 次の任務わかってる?」
「ええ。 異界宗教国がくるのでしょう?」
タマキが確認の為に目を合わせると、ティルナも頷き笑った。
「必ず勝ちましょう」
「ええ」
シノビと魔術師は夜の満月を見ながら勝利を胸に誓った。




