戦いの結果とジョルジュでの日々
一方、ニルは剣を構えて男達と戦闘をしていた。 一対三人なのに対して善戦できていた。
「くっ。 女! 何故邪魔をする。 彼奴は、シノビなのだぞ?」
男は杖を構えて防壁呪文を無詠唱で唱えニルの剣戟を防ぐ。
「んー硬いわね。 まだやる気なのね」
肩に剣を添えながら優雅に首を傾げるニル。 完全に旅人の仕草ではなく人を惑わす魔性の動きがそこにはあった。
「女!」
老魔導士は、怪しんでいた。 既に口調が無知の旅人ではなく歴戦の戦士の余裕のある口調へと変化している。
何より、目の前の女が自身の演技と身体コントロールをやめている事に納得がいかない。 むしろ不気味すら感じるまるで人が目の前にはいない違和感を老魔導士は感じていた。
「お前。 あのシノビを殺したいと思わんのか? シノビは悪党にとっては癌そのものだぞ!」
「ん? 思わないわ。 彼女達は観察対象よ? まぁ変な動きしたら容赦なく殺すけど私の計画としてはまだ駒が必要なの。 だから彼女達は殺させないわ」
老魔導士の言葉を一蹴し、ニルは剣を構える。
徹底抗戦つまり、手抜きはしないと言う意思表示である。
「貴様の方がどうやら危険らしい! お前から消してやる。 シャイニス! お前達前線を固めろ」
「「おう!」」
老魔導士の言葉に前衛の二人が反応する。
すぐさま老魔導士が光の魔法のビームを放つと、ニルは寸分狂いなく魔法を切り捨てた。 足を前へ踏み出し、前線を担う戦士の一人を斬る。
「がぱぁ!?」
その動きに澱みはなく、何度も死線を潜った人物の動きであった。
その一刀だけで男の命を奪った。
「あーあ。 勿体無いちょとしたら解析してエネルギーかスキル奪ってあげたのに」
「……貴様。 本当に何者なのだ? よければ私達と手を組まないか?」
老魔導士の脳内は、生存本能でいっぱいだった。
この女とは戦うな。 そして、それに連なるシノビ達の命を奪うのは諦めろ。
そんな言葉が脳内に響く。
老魔導士は感じ、身震いすると。
「頼む! 私に力を貸してくれなんでもする金も出す。 なんなら魂も差し出そう!」
老魔導士は尻餅をつき冷や汗を掻く。
口が渇き、絶望した。
「あいにくとお気に入りを殺そうとするあなたはいらないの」
「ごふぁ?」
老魔導士の心臓に穴が空いていた。 剣での一刺しで既に致命的だった。
「ぜんえ」
前衛を呼ぼうとするが、既に絶命しておりいつのまに殺されていた事に気づく。
「あっ……いつ」
「いつの間に? って?」
声が被さる。 目の前に女性はいなかった。
背後に、ラベンダー色の髪に緑色に瞳を宿した少女がいた。
目の前にいた少女と違い生気を感じる。
つまり、生きた人間だった。
「残念」
そう告げられて、老人は死んだ。
「さてと、意識同期解除しないと」
ニルがそう言うと、瞳の色が緑から青に変わった。
「さて行きましょうか。 フレイム」
ニルは、遺体に炎の魔法を放ち遺体を火葬した。 スラムなので誰も悪党の死を気にしないので遠慮なく燃やせる。
「さて、後は後ろから見ましょうかねこの舞台を」
妖艶に笑い、ニルは街を歩いた。
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「えっと。 私はどうすればよろしいのですか?」
タマキは、ティルナを運びベッドに寝かせた後、マナティオンからの言葉を待った。
ティルナの事は心配だったが、任務の確認が先だ。
そう心に言い聞かせてタマキは言葉を待つ。
「今日からあなたは、そこに寝てる魔術師の子と一緒にウェイトレスをやって貰うわ。 うちはホールの人手がいなくてだからお願い力を貸して」
マナティオンは、両手を合わせてタマキに頭を下げた。
上司の威厳はないものの、親しみがあり不思議と力を貸してあげたくなる魅力をマナティオンは持っていた。
だからこそタマキの答えも決まっていた。
「はい。 全力でウェイトレスを頑張ります」
そう笑ってタマキは頭を下げる。
「ええ。 よろしくタマキ」
こうしてタマキは、波乱に巻き込まれながらジョルジュでの生活を開始した。
ニルの事は気掛かりだったが、追ってがいる今は無理に探す事など出来なかった。
ー明日必ずニルと会おう。
そうタマキは決意して、風呂に入り眠りについた。
「んーよく寝た」
タマキは、起床すると服を脱ぎ支給されたメイド服を着る。そしてティルナの顔を見るべく自室を出てティルナのいる部屋へ向かう。
まだ本調子でない事に気づくと軽く開けた扉をそっと閉じて一階に行きメルクニの作ってくれたチャーハンを食べる。
その後、皿を片付けて洗い昨日の夜洗った皿を片付けてテーブルを拭く。
「……よしティルナの分まで私頑張るぞ!」
そこからの一週間は大変だった。
酒の注ぎ足しにご飯オーダーの受け取り。
そしてメルクニから貴族の護衛を頼まれて服を着替えて一日護衛。
夜はピークの時にホールの店員として二時間動き、貴族のオーダーに応えてご飯を配膳し姫として接する娼婦の態度と客の会話から情報を盗んだりと大忙しだった。
たまに、ソウルスキルである努力真面目ーマジメーを使い演算と共に一時的な身体能力や五感を拡張させて体力消費の軽減を図った。
タマキは既にソウルスキルの拡張を行い、思考の加速ではなく脳の電気信号による身体神経による感覚操作を習得した。
最初は、難しかった。
「くっ」
思考がまとまらなくなり、視界もブレるだが呼吸を使い神経を整えて安定を図る。
「大丈夫。 私は出来る!」
シャヤやスミレ。 そしてエールニなどの動きの速いタイプの剣士や格闘術の使い手と手合わせをして来たおかげで動きながらの並行で感覚を開く事は造作もなかった。
これまでの努力によりタマキは、ジョルジュのホール作業をこしながら一週間で完全にソウルスキル努力真面目ーマジメーを演算補正や思考加速だけでなく、身体能力や五感を研ぎ澄ませる事の拡張に応用出来るようになった。
そして二週間で、ソウルの解放による強化や魔力による強化が無くても疲れを感じないほど体力がついた。
だがティルナはそれでも目覚めず気がつけバリエンツに来て一ヶ月が過ぎた。




