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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-新たなる旅立ち-
45/95

☆44 剣

 暫く歩いて、俺達はホワイト・ロックの郊外までやって来た。


 目の前には広大な原っぱが広がっており、行く先には森の影が見える。

 そう、このホワイト・ロックには城壁が無い。正直、戦略的な防御力は皆無に等しい。

 これならば、どこからでも攻められてしまう。


 一応、警備の為に何人かの団員が見回りをしている様子だが、防御と言う面では余り意味はないだろうな。


 敵を速く発見出来る、それだけだ……

 まあ、それはそれで意味は大きい……


「あのー、すんませーん! 誰か話をしたいんだけど。暇な奴は居ねーかー!」


 見回りをしている団員に向けて声をかけるてみる。

 しかし、何て言うか、思った通りと言うか。

 誰も答えてはくれなかったい。


 これは無視されている。俺が干されているからか? 

 それとも、生意気な口調だからか。いや、一応、隊長なんですけど、俺?

 やっぱり、干されているからかなのかな?


「おい、誰か話を聞いたらどうなんだ? ここにいるは我が“白の師団”の隊長だぞ!!」


 俺が無視されているのを見て、ドッグが声を上げた。

 その声を聞いて、数人の団員がオタオタとした様子でこちらを見ている。


 ぶっちゃけ、無視するなら無視するでハッキリして欲しい。見てるコッチがムズムズする。


「ああ、なんだ! やっと来ましたね、待ってましたよ!」


 突然、よく通る声が響いた。

 

 涼しげに響く、鈴の様な声。

 綺麗でいて、それでいて芯の通った様な力強い声だ。


 先程までは森に居たのだろうか。その少女はホワイト・ロックの向かいに広がる森の方からやって来た。

 

 こちらに向かって、元気良くブンブンと手を振っている。


「どうも、おはようがございます。新しい隊長さん」


 そう言うと、彼女は優しく微笑んだ。

 そんな彼女を見て、ドッグが驚いたように声を挙げた。

 

「これは驚いた、貴女は“舞姫”クオン殿では!?」


 “舞姫”クオン。なんか聞いた事ある名前だな。どこで聞いたんだっけか?

 

 何となしに彼女を見る。

 

 薄い緑色の髪に、可愛らしく垂れ下がった犬耳が目に入る。不意にお尻の方を見ると可愛らしく尻尾をフリフリとしている。


 俺と目が合うと、嬉しそうニッコリ笑った。

 可愛らしい亜人の少女だ。


 だが、その手に刀が握られている所を見ると、彼女が戦士であると言うことが伺える。

 

「これが気になりますか、アルルさん」


 こちらの視線に気づいたのか、彼女は俺に向かって、刀を見せて来た。


 その鞘から僅かに刀を抜き、僅かに刃を見せる。

 こちらを覗き込むかの様に刃が怪しく光る。


 それだけで、この刀の切れ味がわかってしまった気分になる。

 

「素晴らしい刀です。美しいとすら言えます」

「貴方、刀をご存じなのですね。とても珍しいのに……」


 彼女は刀を鞘に納めると俺に視線を向けた。

 その視線は何処か嬉しそうに輝いている。


「貴女とは仲良くなれそうだ……」


 そう言うと、彼女は後ろに隠していたのだろう。もう一本の剣を出して来た。

 今度は刀ではなく、剣だ……


 所々に金の装飾をあしらった、純白の鞘に納められた剣。

 それからは、僅かだが魔力が漏れ出ている。


 驚いた、これまた名刀。

 いや、名剣か……


「綺麗な剣ですね。それに僅かですが、魔力も感じます……」

「そうですか。気に入ってくれてよかったです。これが貴女の剣です」


 そう言うと彼女はにっこりと笑い、こちらに向けて剣を差し出した。

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