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リンは朝早く目が覚めた。隣ではリアが眠っている。リンは一ヶ月間ずっと待ち望んでいたことが叶えられ、朝から幸福感が胸に滲んだ。リンはリアの頭を優しく撫で、額にキスをした。物足りず、リアの唇に唇を付け、口の中を舐めた。リアは夢の中だった。リンは微笑み、リアの背を撫で、リアが起きるまで温もりを愛でた。
リアはゆるりと目を覚ました。リンに抱かれて温もりがある。眠気の頭に多幸感が沸いた。
「リン、起きていましたか。すみません。リンに抱きしめられていると心地良くて、ゆっくり眠っていました」
リンは瞳に喜色を浮かべて言った。
「今日は雨上がりの部屋へ行きませんか? 空気の澄んだ、心地良い部屋です」
「分かりました。一緒に行かせて下さい」
リアはまたリンのテンポに合わせる生活が始まり、にこりとした。リンはリアに耳たぶへのキスで答えた。
リンは朝の支度を整えると、リアと共にする朝食を作った。リアの厨房で鼻歌を楽しげに歌う。リアは、西大陸の有名な情を交わした恋人たちの朝の歌だと気付いた。リアはリンの喜びに恥ずかしがり、夫婦の温かな空気を愉しんだ。朝ご飯は、粥と鮭の切り身のサラダと、イカの姿焼きだった。リンが支度が整い、食堂でリアと席を共にすると、リアは言った。
「リン、昨日はマグロのステーキは美味しかったです。今日の昼ご飯は、僕が作ります」
「楽しみにしています」
リンは機嫌よく答えた。
食事が終わり、リンの白茶で一服すると、リンはリアと手を繋ぎ、城の中を歩いた。リンの足取りは弾んでいた。リアは聖杯城の摩訶不思議な部屋を歩き、リンが止まった部屋の前で胸を弾ませた。リンが扉を開くと、部屋は森の中だった。緑が濃く、木の葉には雫が溜まり、土は柔らかだった。空気は澄み、水気を含んだ心地良い雨の跡が部屋を満たしていた。リンは足を踏み入れると、木の根元に腰を下ろし、リアも隣に座った。リンはリアの肩に腕を回し、リアの体を自分の体に寄せた。リアはリンに体を預けた。リアは独り言のように呟いた。
「リンの隣は温かいですね」
リンは心を返した。
「私はリアと共に生涯を過ごしましょう。リアの心が温まると、私は悦びます。何度でも口付けをして、体を寄せ、情を交わし、心の繋がりを深めましょう。私もリアをそばに感じられるのが心地良いです」
「僕は旅の中で、リンがリアルと過ごしていることに、心の奥底に冷たさを感じていました。リアルは僕たちの仲を許してくれた懐の深い人で、僕は恩を感じ、リアルは僕と会っている時も気を使ってくれていることが分かります。でも、リンの時間を取り合う仲で、リンの過去と強い繋がりがあり、苦手意識は克服できません。僕はそんな曖昧な中で、聖杯城の居場所を築こうと思っています。これから、城の中でリンがリアルと過ごしていることを感じながら、同じ場所で生活をすることは不安があります。難しいかも知れません。僕は強くないです。旅の中で夢に会いに来てくれたように、支えて下さい、リン」
リンはリアの弱音に白い眉を寄せ、リアの肩を撫でた。
「ええ。私がリアルの時間にいても、リアを傷付けないように、私の中に住むリアの心を守ります。リアが傷付かないことは難しいのでしょう。私も二人の妻を持っている自覚を持ち、適度な均衡になるように、気を付けます。リア、私はわがままです。リアに無理をさせて、私の愛情を満たしていることは、どうしようもなくて、申し訳ありません」
リンはリアに唇を重ねた。リンの許しを求めた口付けに、リアは答えた。
「僕はリンと心を交わせただけで幸せです。僕はリンと友人でも愛人でもなく伴侶になった時点で、痛みを受け入れます」
リンは再びリアに口付けした。今度は感謝を長く伝えた。リアは無言の甘い言葉に、心が熱くなった。
「僕はリンと夫婦になれて良かったです」
リンはリアの耳に口を付けてささやいた。
「共に過ごす時間は大切です。共に過ごせなくても、大切です」
リアはリンの言葉を心にしまった。リアとリンは無言で睦み合った。




