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二人は城の居間に行き、リアは長椅子に落ち着いた。リンはリアの厨房で白茶を淹れた。リアはリンが長椅子に座ると、白い鞄から小さな直方体の食べ物を出した。
「これは、赤バラの王の王都のお店にあった、羊羹という食べ物です。東大陸の東の島が由来の、甘い食べ物です。リンのお茶に合うかと思います。一緒に頂きませんか?」
リンは羊羹を受け取ると、にこりとした。
「それでは、切り分けてきましょう」
リンは厨房で羊羹を切ると、小皿に盛り、楊枝を刺して居間に戻った。リアとリンは、羊羹を食した。リンはお礼を込めて言った。
「お茶に合いますね、お師匠」
リアはにこりと微笑んだ。羊羹を食べ終わると、リンはリアに大切な用件を切り出した。
「リアに相談があります」
「『チェス』のことですね」
リアはすぐに話題を察した。リンは穏やかに続きを話した。
「七月から九月の間は、私はリアルとすぐに連絡を取り合えるようにしなければなりません。その間、私はリアとは離れたくはありません。夜はリアルとの時間を持つことになります」
リンはリアルに相談した内容をリアに伝えた。
リアは城に帰ってきたばかりで、来月から三ヶ月間またリンに会えないことを選択したくなかった。リアは俯いて答えた。
「そうですか。僕は城にいていいのですね?」
「この城はリアの家です」
「分かりました。僕はリンと離れたくありません。リンが創った『チェス』を楽しむ所を、隣で見たいです。できたら客としてではなくて妻として。いいのですか?」
リンは微笑んだ。
「はい。リアルにはそのように伝えます。ありがとう、リア」
リンはリアに抱きついた。ゆっくり腕に力を込める。
「これからは三人で顔を合わせることもあるかも知れません。互いの生活感の匂いを消すのは難しいでしょう。ですが、リアが無理に遠慮したり寂しくならなくて良いように、私は夫として努めます。リアは私の妻です」
リアは不安もあったが、リンと一緒に過ごす『チェス』の時間を楽しみにした。リンの大切な時間にリアが一緒にいられるのは嬉しかった。
「分かりました。僕もリンが二人の伴侶を持っていることに慣れるようにします」
リンは質問を重ねた。
「リアは旅の間、ずっと城に戻らないのではなく、時間の許す時に帰城はできないのでしょうか?」
リアは俯いた。
「僕が複婚をリアルに許されたのは、僕が旅で城を空けることが多いからだと思います。僕が帰らないのは、リアルとの暗黙の了解からです。僕は本の複製をするのは、夜の時間もあるので、毎日帰ることは難しいです」
リンはリアを見つめた。
「リアはどうしたいですか?」
リアは小さな声で答えた。
「旅先で城に帰ることができる日は、リンに会いに戻りたいです」
「週の前半の三日間は、もしリアが城に戻っていたら、私は朝食はリアと共に食べることをリアルに許して頂きましたが、それでリアは城に戻りやすくなるでしょうか?」
リアは答えに困ったように、リンの気遣いを喜ぶように、眉を寄せて微笑んだ。
「戻ると確約はできませんが、僕の予定を調整することはできます。ありがとうございます、リン」
「では、これでひとまず動いてみましょう。また事情が変われば、相談しましょう」
リンは話を締めた。リアは温かな声で語った。
「旅の中で僕はリンの夢を見ていました。もう僕の生活の中でリンがいるのが当たり前になっているみたいです。僕は目が覚めた時、もっとリンと居たかったと思ったり、夢に出て来てくれて嬉しく思ったりしていました。夢で会ってくれてありがとうございました」
リンは眼を細めて笑った。
「こちらこそ、リア。今日はこれから私の部屋へ行きませんか?」
リアは照れながら肯った。
「はい。リアルにリンの部屋を使うことの許可を取ってくれて嬉しいです。僕はリンの生活空間を共有できて、少し妻らしくなれるように思います」
「私も嬉しいです」
リンはリアと手を繋いだ。二人はリンの部屋へ行った。




