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65話の続きです
リンは朝起きて、厨房に立ちリアルと共に食べる朝食を作っている時、機嫌良く鼻歌を歌っていた。それが西大陸に伝わる恋人を待ち焦がれる歌だとリアルは知らなかったが、何となく気付いていた。リアルは食堂に朝食の白身のフライが運ばれると、呆れながら言った。
「ご機嫌ね」
リンは心の高揚を隠さず、にこりと笑っただけだった。
リアルが大学図書館へ仕事に行くと、リンは自分の部屋へ戻った。西大陸でも旅人が朝食を終えて朝の活動に入っている時間だった。リンは寝台の端に座ると、左の足首のアンクレットを優しく撫でた。足首にリアの気配を感じた。リンはアンクレットをそっと外し、魔術で足飾りを洗った。それから指で銀の輪をゆっくりなぞった。リアと繋がっている感覚があった。リアが耳を傾けていることが魔力で伝わり、リンはアンクレットを口元へ持っていき、軽く唇に触れた。リンは銀の輪を口に含み、歯を軽くあてた。そのまま甘く噛みながら舌で舐めた。小声で思慕をささやくように、舐め続けた。リンは心が上気した。リンは唇を外すと、足飾りにはぁと温かい息を吹きかけた。それから再び軽く唇に触れると、水で洗い、足首に戻した。
リアは馴染みの老城主の城の書庫にいた。書庫の空気は静謐として、古き本たちの眠る気配がした。リアが書架の前に立ち、複製する本を手に取ろうとした時、リンが呼ぶ気配を感じた。ほどなく右耳が温かくなった。リアは本を戻し、リンのささやきを聞いた。耳たぶに温かな指でなぞられる感覚がした。軽く魔力が触れたかと思うと、耳たぶに甘い痛みが走り、リアの心を酔わせた。それから生温かな熱が耳のふちを撫で続けた。リアは顔を赤く染め、俯きながら、粛然とした空間でリンの睦言を聞いた。温かな熱が止まると、ぬるく心地の良い息が耳に吹きかけられる感覚を覚えた。再び軽い魔力で触れられると、耳への魔力は終わった。リアはしばらくぼんやりと幸福感に浸っていると、そっと書庫から、自分の泊まる客室へ空間を伝って戻った。
リアは城の客室で一人になると、左手首を熱い視線で見つめた。リアは紅潮した心を抑えきれずに、リンの施した魔術の跡を撫でると、唇を当てた。そのまま跡を吸う。何度か繰り返した。リアはリンに心が届いたか分からないまま、激しく跡を舌で舐めた。息が熱くなった。リアは哀切を遠い伴侶に伝えた。落ち着くと、はぁ、と跡に温かな息を吹きかけた。唇で跡に軽く触れ、返事を終えた。
「リン、ちゃんと会いたいです……」
リアは呟いた。
リンはリアへの愛情を伝え終わると、寝台で待っていた。ほどなくして、リアから返事が届いた。軽く頭を撫でられたかと思うと、首筋が熱くなり、軽く痛む感覚がした。痛みは甘く、何度か続いた。リンは睦言を心地良く聞いた。その後、激しい酩酊感がやって来た。リンは心が溶け、リアからの愛情にたゆたった。リンは首の後ろに生温かい風を受けると、唇に軽く触れられる感触で終わった。リンはゆるりと足首を撫でた。
リンは立ち上がると、部屋の鏡を見た。首筋にリアの愛情の跡が残っていた。リンは首筋を手で押さえ、リアルには跡が見えないように魔術で隠した。




