62/98
62
「最近は調子はどう?」
つつじ市のいつもの居酒屋で、秋藤和はリアルに尋ねた。和は、リアルが初めて伴侶に新しい妻ができた話を聞いた時より、リアルが落ち着いていて、覚悟を決めた者の風格を感じた。リアルは和が夫婦のことを心配していることが伝わった。リアルは愚痴をこぼした。
「私の休日でも夜に一緒にいられない日があって、ちょっと残念だったわね。伴侶が私一人だった時とは違うことは仕方が無いんだけど」
「それは微妙に悔しいわね」
和はお通しの小皿をつつきながら答えた。リアルは和の心の温かさに触れ、重ねて打ち明けた。
「それにリンが一人の部屋で寝た次の日に、夜に一人で起きて自分の部屋に戻るのよね。リアと繋がっているみたい」
「まぁ、それじゃどんどんリアルさんの時間にもう一人の奥さんが入り込んでくるのね。大変ね」
リアルはふうとため息を吐いた。
「だけど帽子屋は私の部屋に戻ると、寝ている私の頭を撫でるのよ」
和はリアルの言葉が温かいことに苦笑した。
「ダンナも罪作りな人ね」




