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リアは旅先の宿屋で一人で夕ご飯を終え、酒場の片隅で楽士達の音楽にヴァイオリンで加わった。陽気な音楽や賑やかな舞曲を演奏した。その土地に伝わる恋人を異郷で焦がれる音楽を奏でると、ふとリアは城で待つ伴侶のことを想った。リアは曲を終えると楽士達から離れ、宿屋の部屋に戻った。
リアは一人の部屋に落ち着くと、そっと左腕の手首を見た。リンが付けてくれた跡が残っていた。この跡は、付けられた翌日いっぱいしか残らなかった。リアは跡を見つめると、そっと唇で触れた。特に変化は無かったが、リアは何となく遠い人に想いが届いたような気分になった。リアは物足りず、跡を舌で舐めた。しばらく心を伝えるように手首を舐めると、最後に口付けしをして、床に入った。
リンは夜の時間、早く帰ってくるようになったリアルと食事を終えて、リアルの部屋にいた。のんびりとリアルと同じコーヒーを飲み、カップを置くと、ふとリンは唇に優しく触れられる感覚が起こった。一瞬のことでそれきりかと思ったら、頭に酩酊感がやってきた。それは口の中に恋人の舌を迎えた時のものだった。リンは遠くからキスを送る相手の寂しさを受け止め、引き込まれ、同調した。最後に再び唇に軽く触れられる感覚が起こると、落ち着いた。リンの白い頬がほんのり染まった。遠くから伝えられた愛情に、ひととき心を預けた。リアルはリンが受け取ったものに気付き、尋ねた。
「どうしたのよ、リン?」
リンは眉を寄せながら、心を温かな気持ちで満たした様子で答えた。
「リアが旅先で寂しがっていると、私に伝わるのです。すみませんが、リアル、リアの気持ちを受け取ることは私は大切にしたいので、一時的なものだと思って許して下さい」
リアルは、何となくリアとリンの繋がりは消せるものではないことを悟った。リアはずっと、リンに寂しさを伝える方法が欲しかった、それを今手に入れただけだと思った。リンと付き合うとは、こういうことだとリアルは改めて思った。自分は優しいリンが好きであり、独占できるリンだけを欲してきたわけではなかった。リアルはリンを許した。
「仕方ないわね、眼を瞑るわ」
リンは微笑んだ。




