前へ目次 次へ 50/101 50 大図書館二階総合カウンターでは、夜八時を過ぎ、優しげなオルゴールの館内放送とともに閉館作業が始まる所だった。髪の短い女性の司書が、同期のくりに言った。 「今日は館長、もう帰宅したみたいだよ。職員の在館確認一覧の在館中のランプが消灯しているよ。館長って、いつ帰宅しているのか分からないほど、最後までランプが点灯しているのに、珍しいね」 くりは眉を寄せ、苦笑のような仕方ないと勘案するような、微妙な顔をした。 「館長にも帰りたい家があるみたいね」