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22話の前の、リアがシエララントから帰ってきたお話です。
リアはシエララントから聖杯城に帰城すると、城の前の湖で釣りをしていたリンに挨拶をした。
「戻りました、リン」
リンは立ち上がり、優しく迎えた。
「お帰りなさい、リア」
リアは伴侶の柔らかい笑顔に、顔が緩んだ。
「シエララントのお城で、マヨルのお茶を少し分けてもらいました。一緒に飲みませんか、リン」
「では、私がお茶を淹れましょう」
リンはリアの手を取り、城へ戻った。
マヨルのジャスミン茶は、落ち着く香りがした。リアとリンは居間のいつもの長椅子に並んで座り、一緒に温かいお茶を飲んでいた。
「懐かしい味ですか、リン?」
マヨルのお茶は、リンが青年王アーサに仕えていた時に、よく宮廷で飲んでいたお茶だった。リアはリンが喜んでいるか確認した。リンは微笑んだ。
「変わらない味ですね、リア。アーサ様とチェスをしていた頃を思い出します」
「シエララントの王城では、エーデル女王が出産の準備をされていて、賑やかでした。スターチス王も女王のお手伝いをされていて、一緒に子育てをする準備ができているようでした。祝福された雰囲気でお祝いの挨拶をしてきました。また新しい命が続いていくのですね」
リアは祝いの空気を声音に乗せて伝えた。リンは控えめに問うた。
「お師匠、尋ねてもいいですか?」
「何ですか?」
「お師匠は子を得たかったでしょうか?」
リンの繊細な質問に、リアはからりと答えた。
「僕はあんまり考えたことがなかったです。時間の違う異界に旅をすると、子どもはできないと言われていたので、外勤の司書になったことで、子どものことは気にしなかったです。異界に渡る人たちは皆、子を持つことは考えず、子が欲しい人は、自分の故郷に帰るか、同じ時間軸の世界へ渡るようにしているみたいです。リンはすでに後裔をもうけているので、僕も気にしなくて良いと思っていました」
リンは、さっぱりした答えがリアらしいと思った。リンはもしリアが子を得ることを望んでいたら応えることが難しいと少し心配していた。リンは眼を細めて笑み、リアに後ろから抱きついた。リアはリンの心を察することができず、戸惑った。
「何かありましたか、リン?」
「何もなくて、それでいいのです、リア」
リアはよく分からなかったが、リンが喜んでいるならそれでいいと思った。
「そうですか。分かりました」
リアはしばらくリンと温まった。




