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リアは居間でリアルと会った後、私室に戻り、床に入った。リンは珍しく起きてリアを迎えた。リンは眼を細めて不安そうにしていた。リアはリンの胸の内に体を寄せた。リンはリアを胸に抱いた。
「リア、怒っていますか……?」
リンはリアと舟で湖に行った翌日の朝、床の中でリアを抱きしめながら、心配そうにリアに尋ねた。昨日は舟で、リンはリアに、リンの消滅を賭けた夫婦の営みを求め、リアに辛い思いをさせてしまった。リアはその後、元気が無さそうで、リンは解決の手を打てていなかった。リアは困ったように微笑んだ。
「大丈夫です、リン。今は複雑な気持ちです。リンの気持ちに寄り添えない時もあるんだなぁと、自分で納得しようとしています。でも僕はできるだけリンに寄り添いたいです」
リンは、リアの『大丈夫です』は、自分で重荷を背負って下ろさない時の答えだと知っていた。リンはリアをか細く感じた。
「夫婦とは折り合いを付け合うものです。私はリアの傷付くことはしたくありません。でもまた、私を知って欲しくて難しいことを言うでしょう。その営みを続けていただければ、私は幸せです」
「そうですね、リン」
リアはそっと微笑んだ。リアは力を抜いた。リンはリアの背を押して胸に招き入れた。
リンは床から起き上がると、十代半ばの少年の姿に変化した。その姿は旅の頃の懐かしい姿であり、後裔のレンとも似ていた。リンはすっと扇を現し、にこやかに顔に風を送った。リアはその扇に見覚えがあった。
「リン、それはレンさんがパズルさんに作ってもらった羽扇ですよね?」
リンはにっこりと笑った。
「レンさんはもう冒険に出る必要がありませんので、私は夢でレンさんに告げて、こっそりもらい受けました。チェスプレイヤーになった職人が作ったアイテムは品が良いですね」
扇で顔を扇ぐリンは、昔、参謀をやっていた者の威厳があった。リアはまるで羽扇がリンのために作られたように様になっていると思った。
「似合っていますね、リン」
「この羽扇は、顔を扇ぐと心が落ち着く魔法が備わっています。リアも使ってみませんか?」
リンはリアに羽扇を渡した。リアは頬へ扇いでみた。風は涼しく、外の初夏の風に当たったように気分転換ができた。リンはリアの顔の影が薄らいだのを見て、言った。
「それはリアの部屋に置いておいて下さい。私が使いたくなったら、リアの部屋に来ます」
リアはリンの気持ちを受け取った。
「分かりました。ありがとう、リン」
「今日は昔の話をしましょう」
リンは子どもの笑顔に老夫の眼差しを乗せて言った。




