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秋の部屋は澄んだ空が高かった。柔らかな陽気が空気を暖め、イチョウの葉が地に黄色い絨毯を敷いていた。リアとリンは木に背を預け、秋の空気に身を置いていた。
リアは静かにリンに尋ねた。
「リンは僕と一緒に旅をしたいと言ってくれましたが、リアルとも旅をしたいですか?」
リンはリアの言葉に棘はないが、ささやかな寂しさが含まれていることを感じた。リンはリアに手を重ねて指を絡ませた。
「リアルとはずっと離れることは望みませんが、それぞれが別々に好きなことをできる自由を尊重しあう間柄です。お師匠とは長く旅を一緒にしましたが、リアルとはずっと近くに居すぎるより、距離を保って互いを信頼する関係が心地良いのです。旅で仲を深めたい間柄ではないのです。愛情の触れ合い方が違うのです」
「そうですか」
リアは俯いて短く答えた。リンは真顔になった。
「お師匠、言っても良いですか?」
リアはリンが真剣な顔になり、不安になった。
「どうしましたか?」
「怒らないで聞いて下さい」
リアは背筋を伸ばした。
「はい」
「お師匠、可愛いですね。リアルのことで悩むお師匠は、重たい気持ちを抱えて大変なのでしょうが、私は深く愛されていて微笑みが浮かびます。嫉妬の深さは愛の深さです。リアが嫉妬が浮かんだ時、私は誠実に心を説明しようと思いますが、心の中では愛を受けて嬉しいことを覚えておいて下さい」
リアは困ったようにきょとんとした。嬉しいような、照れるような、一矢報いたいような感情がぐるりと沸いた。
「リンには敵わないです」
リアはどう答えたらいいか分からず、リンの服を掴んだ。
「私の気持ちは許していただけますか?」
リンは言葉でじゃれついた。リアはこくりと頷いた。
「はい。リンが愛情だと受け止めてくれるなら、僕もそうなのかなと思って心を温めます。恥ずかしいですね。でも、ありがとうございます」
リンは眼を細めて微笑むと、リアに口付けした。ゆっくりと、じっくりと、丁寧に。リアは嫉妬の深淵からリンの愛情を受け止めた。
リンは口付けを終えると、にこにこした。
「今日は獣になってリアと温まりたかったのです」
「そうでしたね」
リアは酩酊感のまま答えた。リンは姿を変え、白いカピバラになった。カピバラはリアの横に座って寄り添った。リアは獣の背を撫でた。




