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リアは私室でリンと一緒に眠った。夜遅くにリアは起き、リンを起こさないようにそっと寝台を離れて、居間へ行った。居間にはリアルがいた。リアルは長椅子の向かいの椅子に座って、コーヒーを飲んでいた。リアはたまにリアルが夜中に聖杯城に来ていることを知っていた。リアが聖杯城に来る前は、きっとリンが出迎えていたのだろう、とリアは思った。リアルは夜の客にふっと笑った。
「何か飲み物を飲むかしら?」
「はい。自分でココアを作ります」
リアは厨房に灯りをつけ、自分用の飲み物を作った。愛用のカップを持って、長椅子に座った。リアルは言葉を投げた。
「リンは言葉が上手いでしょ?」
リアはふっと笑う番だった。リアは肯定もせず、否定もしなかった。リアルは続けた。
「ここに来たということは、リンとの付き合い方に慣れたのでしょ?」
リアは肯定した。
「はい。なぜリアルが僕を許したのか何となく分かりました」
「許す、ね。そうね。そりゃリンが好きだからだけど。なかなか難しいことを求めるわよね、リンって」
「そうですね。僕はずっとリンへの愛情の返し方が分からなかったのですが、やっと分かりかけました」
「そう。良かったわね」
リアルはコーヒーカップを口に傾けた。リアは呟くように言った。
「リンの愛し方を素直に受け止めることです」
「ああ、それは確かに私も苦手だわ。難しいわよね。リンは独占欲も一緒に愛すると言うけど、それは成り立たないのよね。百歩譲って優越感は自分に許しても良いけど、独占欲は無理だわ。まぁ、リンの甘えね」
リアルは前髪をかきあげた。リアは同意の笑みをこぼした。リアルは話を変えた。
「不思議の国のアリスという話は知っているかしら?」
リアは頷いた。
「異界の小説ですよね。中身は詳しくないですが、有名なことは知っています」
「その話では、時間に嫌われた帽子屋と三月うさぎとネムリネズミが登場してお茶会をしているのよ」
「そうですか」
リアはリアルの言わんとしていることを察した。帽子屋はリンで三月うさぎはリアルが名乗っていることを、長年異界の夢を見て知っていた。ネムリネズミはリアのことを言いたいのだろう。リアルは続けた。
「時間に嫌われた聖杯城で、私たちはお茶会をしていましょう?」
リアはこれから長い年月、リアルと付き合うことを思った。




