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「想い人を大切にする、とは普通の人は一人の人に絞ることなのでしょう。優越感と独占欲は愛情です。二人以上と同時に付き合うと、相手の思い通りに十分に応えることができなくなります。
ですが、私は二人の人と伴侶でいたいのです。愛情を分けている訳ではなく、私が二人分いると思って下さい。
リアが聖杯城の管理者になったことで、聖杯城を消し去る魔術もできるようになったのです。私の生殺与奪の権利をリアにも預けたのです。私はリアルと初めて会った時、なぜかこの人には殺されても良いと思いました。それが恐らくリアの感じるリアルと私の間柄の立ち入れなさではないでしょうか。私は好きになった人には、全てを預けたくなるし、殺されても良いと思うようです。この感覚は大事にしていることです。私の心にはリアに命を譲る想いがあります。
私はリアとは、二人で愛情を分け合いたいのです。伴侶が二人で分かりづらく、普通の夫婦とは違いますが、リアが普通の夫婦が持つ愛情を抑える必要はないのです。私はわがままなのでしょう。リアと共にいたいのが、私の愛情です」
リアはうっすらと納得した。リンの夫婦観は、居心地の良い人とずっとそばにいたい、なのだ。その心は児童書のように優しい。リアは何となく、リンの愛し方が分かった。それはたぶん、リアルも同じなのだろうと了解した。この稀有な魔術師の優しさと、それが型に嵌まらないために相手に伝わらないもどかしさを知った。リアはただ、リンに甘えても良いのだということが伝わった。リアルと愛を奪い合うことはしなくて良いのだ、とうっすらと理解した。リアは顔が晴れた。
「リンは人からわがままだと思われるかも知れませんが、僕はリンのわがままに、ありがとうと伝えます。まだ追いついていなかった頭が、少し整理できました。この場所はリンにとって危ないです。城に戻りましょう、リン」
舟はリアの言葉に従って、城へ戻った。リンは舟の梶をリアに任せた。




