21
「ココアではなくカフェラテなのですね」
リアはシエララントの城へ行き、新しく城の書庫に所蔵された本を借り、複製を終えた。夕食が終わり、リアが城のいつもの客室でカフェラテを飲んでいると、スターチス王がふらりと部屋に顔を見せた。リアは察しの良い城の主に、にこりと微笑んで部屋へ招いた。
「僕も新しい味を覚えました。コーヒーは大丈夫ですか?」
スターチス王もにこりと微笑み、椅子へ座った。
「宜しければご相伴します」
リアは白いカップを現し、スターチス王へ渡した。スターチス王はカップを傾け、温かな飲み物を味わった。高揚感と柔らかさが口に残った。
「新しい味も美味しいですね」
「ありがとうございます。リンと聖杯城に住むようになって、色々なことを知り、色々なことを覚えました。……僕はリンと心を通わせることになりました」
スターチス王は少し恥じらいを見せる旅人を祝福した。しかし、リン・アーデンには伴侶がいたはずである。やはりこの旅人は苦労を背負う所があることに、心でため息を吐いた。リアは察しのよい聞き手に苦笑を返した。
「リンの伴侶が僕を認めてくれたので、僕はリンの二番目の伴侶になりました。西大陸では珍しい結婚形態ですが、僕は居心地が良いです」
「おめでとうございます、リア。良かったですね」
スターチス王は心からリアを祝った。リアは想い人と結婚して、素直さが増したように思った。
「何だか恥ずかしいですね。リンに心を受け入れてもらえて、それを自分で認めていいとは思っていなかったので、ふわふわしています。僕も帰る城ができて、西大陸に強い根ができたようです」
スターチス王は、結婚したてでほわほわしている旅人に、自分の新婚時代を思い出した。
「そうですね。願いが叶って私も良かったと思っています。新しい伴侶を得ると、新しい発見があったり、食べ物が変わったりしますが、一つ一つが楽しみになりますね。きっとリアとリン・アーデンも、楽しみが続いていくことでしょう」
その後、リアは二言三言、新しい生活について言葉を重ねた。
「惚気に付き合って下さって、ありがとうございます」
リアは照れながらお礼を言った。
「飲み物をごちそうさまでした」
スターチス王はカップを飲み干し、にこやかにお礼を返した。




