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澪の過去その1

2007年7月

澪が誕生し、美咲の住む家の隣の人間に購入された澪。

幼いながらもオーナの為に健気に頑張る妹分の澪を優しく見守る美咲。

ドジをしながら真っ直ぐに育つ澪は美咲にとっても自慢の妹だった。

しかし

2018年澪のオーナさんが自身の体調や運転技術を配慮し澪を手放す事を決意してしまう。

ずっとこの土地で暮らしていけると思っていた澪。突然の別れに焦りを覚えるものの、

『ごめんね…、澪…、もう私は運転が出来なくなってしまったの…、』と涙を流し澪に謝るオーナ。


積載車に乗せられ運ばれる澪を見えなくなる迄見送るオーナ。そんなオーナの視線を気づきながらも、自身では身動きが取れない澪。

同じ車の美咲もオーナと共に澪を見送る事しか出来ず涙を流す事しか出来なかった。


オークション会場に連れて行かれ、新車の頃の半分以下の値段を付けれ絶望する澪。

いくら大切に扱われていても

いくら綺麗にして愛されていても

年式が10年経っていたり

何の変哲も無い普通の車には価値が無いのかと。


私の価値はそんなに安くない!私の事を舐めないで!

拳を強く握り、歯を食いしばる澪。

目には沢山の涙を溜め、声を出すのを必死に耐える澪。

それでも1台、1台と売却先に運ばれる車を眺め、最後の1台になった時に我慢の限界が訪れ声を出して一人泣き叫ぶ澪。


11年間

あんなに大切にしてもらえたのに。

あんなに人間の為に頑張ってきたのに

それなのに手放すとなると、あんなに簡単に居場所が無くなってしまうのかと。

人間にとって車はそんなに簡単に手放せる存在なのか?

どんなに頑張っても年式が経てば車には価値が無いの?

悔しい

そんなの絶対に認めない

私は凄いのよ!

私の事を舐めないで!

広島で過ごしていた時には感じなかった人間に対する敵意にも似た感情。


幼気な表情をしていた澪の瞳に力が宿り、現在の澪の表情と性格になる。


あけみが澪を購入した直後の澪は、人間への敵対心が薄れてはおらず、あけみにも攻撃的だったのだが、あけみは澪の心の隅にある孤独に耐える為に強がっていた気持ちを理解し、少しずつ澪の心の敵意を取り除いていく。


あけみの優しさが、前オーナの優しさと彷彿とさせ、澪の心には少しずつ安らぎを覚える事が出来たのであった。

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