表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星壊のブネリョトル  作者: 百合百合
骨星のドゥパリ
11/14

9.

私に駆け寄るレヘルちゃんに肩を貸してもらい、なんとか立ち上がる。砕けた仮面の破片に混じって、一つの金のバングルが。


「……これが星遺物。確かに一目で分かる。」

「どうする?ブネちゃん。」

「どうって、持っていくしかないでしょう。」

「渡しちゃうの?こんな命懸けで倒したのに?」

「……渡さないと後が怖い。」

「倒したのバレないんじゃないの?」


レヘルちゃんの言葉は、私の胸にスッと収まった。いや、だけども


「バレるでしょ。」


するとレヘルちゃんは、はにかんで


「刃向かう奴は殺せばいいよ、ブネちゃん。」

「んな馬鹿な。」


笑おうとしたが、口元が歪んだだけだった。


「よく考えて。覇者は力の象徴。他人から貰った力を、ニルバルが扱うと思う?それに、私はあの人が権力をチラつかせて、ブネちゃんから星遺物を奪うとは思えないなぁ。」


確かに、そんな姿は思い浮かばない。


「貰っちゃっていいんじゃない?さも当然のように着けてれば、あれはきっと何も言わないよ。」

「確かにそうかも。」


私は、ゆっくりとバングルを拾い上げた。そして、右手の手首に装着すると、何とも言えぬ高揚感がじんわりと滲んだ。

手をひらひらとさせて、着け心地を確かめる。そのバングルは不思議とサイズがぴったりで、手首にフィットした。


「……私の手首にピッタリなら、ニルバルには小さいもんね。」

「そうだよ、ブネちゃん。」


私の目を真っ直ぐと見て、レヘルちゃんが頷いた。

踵を返して、ドゥパリの星域を後にする。

後ろ髪は引かれない。

ただ一度だけ、バングルが月明かりをキラリと返した。

回廊に戻ると、冒険者たちがへたり込み、体力と魔力の回復に努めていた。その彼らの奥。包帯だらけのニルバルが、浅く上下に体動する。

一人が振り返ると私たちに気がついて、瞠目すると歓喜の声を上げた。素直に生還を喜ぶ声は、私の手首にあるバングルに気がつくと、その色を変える。


「……まさか、倒したのか?」


信じられない。そう続きそうな声。私はゆっくりと頷いた、警戒しながら。


「……そうか。」


目をいっぱいに開いて、その一言を捻り出す。ざわざわとする冒険者たち。彼等を押し抜けるようにして、ソラスが前に出ると落ち着くように言って、私がドゥパリを倒したことは他言しないように周知する。


「……生きていて良かったぜ、これは本気でそう思ってる。だが、勝つと勝つで問題が発生する。分かるか?」


私はとぼけて、首を傾げる。


「その星遺物。本来ならばニルバル様に渡すべきだが、あの方は決して受け取らないだろう。自力で勝ち取ったものではないと、俺たちは知ってしまっているからな。状況は悪い。このことが知れ渡ると、馬鹿がお前らにも、果てにはニルバル様にも喧嘩を売る。」

「……そんな人いる?」


私がそう言ってみると、ため息を吐かれる。


「いる。だから此処は一つ、お前ら自身の為にはこのことは喋るな。……こんだけの人がいる。漏れるのは時間の問題だが、噂程度に留めないといけない。」


ソラスが小声でそう言って、他の冒険者たちを見渡す。


「ありがとう。優しくされても、何も出来ないよ?」

「ただのお節介だ。あわよくば、というか程度の狙いしかない。」


ソラスはそう言って笑うと、ニルバルの方へと。

野営してるうちに、ニルバルの傷は埋まり、身体は回復する。そして起き上がって、私の手首を見ると、何も言わずに顔を背けた。

帰りは順調で、何事もなく橋を下った。

報酬はたんまりと。

金貨の輝きで失明しそうな程に、受け取った。これだけでも充分なのに、更に撃ち落とした怪鳥の換金があれらしい。後日、冒険者ギルドの窓口で受け取るようにとのことだった。


--入学金。


元はそれだけの為。そう思うと、変な笑いが口から溢れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ