目から水が零れる
「待って、私もいます」
継母や姉が慌てて誤魔化そうとする。
それを家来たちが止め、私にアラン王子がガラスの靴を履かせようとするが、継母や姉の抵抗も強くて……。
ごたついていたから、ガラスの靴が宙に舞い、そして、パリーンという音とともに、地面に落ちた。
「ああ、これじゃあ、もう、誰のものか、わからくなってしまった」
「わかりますよ。だって、もう片方は私が持っていますから」
そのサイズは私の足にぴったりで。
そりゃそうだよ、だって私が、私が、私の、私の味方の、魔法使いのお婆さんからもらった大切な、大切なガラスの靴なんだから!
「あなたが、シンデレラ……」
アラン王子は、箱を取り出し、スッと膝をついて、私の方を見つめ、箱を開けた。
中には、今までに見たこともないような、この世界の全ての光を集めたように輝く、ダイヤモンドの指輪が入っていた。
「僕と、結婚してください」
「……はい、喜んで」
これで、よかったんだ。
これで。
これで……。
あれ。
なんでだろう。
目から、水が。
目から、たくさんの水が出てくる。
私、なんで、こんなに、嬉しいはずなのに……。
なんで。
こんなに。
苦しいの……?
「アラン王子、シンデレラ姫が泣いて喜んでおられるぞ」
「ああ、僕はとっても嬉しいよ。こんなに喜んでもらえるなんて」
違う。
違うの。
私は……。




