ガラスの靴
そう会話をして踊り続ける。
少し私がうまく踊れない事があると、手を取って、合わせてくれる。リードしてくれる。私の間違いを、自然に、指摘、してくる……。
その後、私はアラン王子に連れられるがままに、宮殿の奥へと進んだ。
「ここは王国の中でも限られた者しか入れない中庭だよ」
蒼く茂る芝生に白く輝くブランコ、ベンチ、それらが月の光に照らされて、とっても綺麗で、私たちはそこで、ロマンチックに会話をしている。
「僕は、貴方に恋をしたみたいだ。舞踏会にいる他の女性は全然いい人いなかった。今まで出会ってきた女性も酷い人ばっかりだったよ。でも、君のような美しい女性に出会えるなんて……」
「酷い人、って、どんなふうに?」
「あ、ああ、どんなふうにって聞かれると、困るけど……貴方みたいに、あんなに僕の指図する通りに踊ってくれたり、この中庭に来てって、言ったらきてくれたり。そんな人は、あんまりいないかも」
フフッ、と笑みがこぼれた。
「なにそれ」
「もし、もしだよ、シンデレラが俺と一緒になってくれたら、僕の家来に好きに命令してもいいよ。あいつらは僕の言うことを全部聞いてくれるから。君は、僕と結婚すれば、全てを手に入れられるんだ。一緒に、幸せに暮らそう」
好きに命令……。
指図する通りに……。
一緒に、幸せに暮らす……。
十二時の、鐘が鳴りはじめた。
やばい。
魔法が、切れる!
「ごめんなさい、私、行かなきゃ!」
「え! 待って、待ってくれよ!」
中庭を出て、スカートを両手で持ちながら大広間の階段を一気に駆け下り、外で待っていたカボチャの馬車に乗り込んだ。
「早く、できるだけ早く戻って、お願い!」
ドアを閉めると馬車は全速力で走り始めた。
後ろを見ると王子様の家来の馬車が追いかけてくる。
やばい。
でも、これは魔法の馬車。
とっても速く走り、そのまま、追っ手を撒いた。
そして魔法が切れ、カボチャと動物に戻ってしまい、服はみずぼらしいものになってしまった。
結局、また、この生活に逆戻りか。
はあ。
あれ……?
片足に、ガラスの靴が残ってる。
これは……。




