前へ目次 次へ PR 25/42 陰陽師・安倍晴明 「……貴方は」 男は少し会釈をする。 「私は安倍晴明。しがない陰陽師でございます」 「陰陽師……」 「道長殿。貴方は今、何をお望みでいらっしゃいますか?」 私は何かを望んだことなどなかった。 ただ、気づけばそこに、名誉も富もあった、それだけだった。 そして今、私はこれまでにないほどに。 あの船を、あの船を追いかけることを、望んでいる。 ちょうどその時に話しかけてきた、そんな不思議な男、安倍晴明。 青く輝いて見える、そんな彼の瞳には、月灯が映し出されていた。